原水爆禁止2001年世界大会
国際会議

中国人民平和軍縮協会・書記長
牛 強 (ニュウ・チヤン)


世界から核兵器を完全に廃絶し、完全に破棄するため手をつないでがんばろう


  初めに、この重要な会議に私と私の同僚を招待し、あたたかく迎えてくださった日本の皆さんに心からの感謝を表明します。また、これほど多くの旧知の友人や新しい友人にお会いし、世界平和と安定、共同の発展、繁栄を、維持し、守るという私たち共通の大義について意見を交換できる機会を得たことを嬉しく思います。私たちは、昨年の素晴らしい大会と同じように、今年もまたこの世界大会が大きく成功することを確信しています。

親愛な友人ならびに仲間のみなさん、

  21世紀に入ったいま、核兵器を完全に禁止し、一発残らず廃棄し、核兵器のない世界を築くという目標を達成するために惜しみなく努力することは、私たちの義務であり、責務です。20世紀に、人類は2つの悲惨な世界大戦を経験し、核爆弾使用のもたらす悲劇を目撃し、冷戦の苦難に耐え、深刻な核戦争の脅威に脅かされ、大きな犠牲をはらうことになりました。

  国際的な軍備管理と軍縮の過程は、国際的安全保障の全体的な状況と密接に結びついています。しばしば、これらは互いにお互いを補完しあっています。冷戦と二極世界の終わりとともに、国際安全保障にも大きな変化が起こりました。対話と協力を特徴とする多極化の傾向は、紆余曲折しながらも、確実に発展してきました。各国は発展を強く望んでいます。社会は進歩を求めています。これこそ私たちの時代の流れです。国際安全保障の状況が明るくなり、改善されることが、軍備管理と軍縮をすすめる原動力になることは、事実が示しています。同様に、軍備管理と軍縮が継続的に前進することが、国際安全保障を維持していく確固たる基礎を築くことになるでしょう。冷戦が終わってからの数年間、国際情勢は緩和に向かってすすんできました。それを背景として、多国間の軍備管理、軍縮では、一連の成果があがりました。しかし、広く歓迎されたいくつかの成果をおさめて以降、軍縮過程は重大な岐路にあります。この現実を前にして、平和運動と各国政府の最も重要な課題のひとつは、軍備管理のこれまでの到達点を確保し、軍縮をさらにすすめるための協力を強化することにあります。現在、優先課題のひとつは、世界的な戦略バランスと安定を維持し、軍備管理と軍縮に関する既存の条約の一般的体制を強化することです。これに関連して、私は、特に全米ミサイル防衛(NMD)計画について述べたいと思います。この計画について、世界中で広範な懸念や反対があることは明らかです。人々は、NMD計画が、国際軍備管理と軍縮を妨げるだけでなく、新たな軍拡競争の引き金になるのではないかと心配しています。いまや世界で唯一の超大国となったアメリカは、すでに世界で最大かつ、最も進歩した核兵器を保有しています。さらに、アメリカは核兵器の先制使用にもとづく、核抑止政策を続けています。このような状況のもとで、NMDは、アメリカの戦略攻撃戦力を強力に支え、拡大することになるにちがいありません。軍拡競争を宇宙空間へと拡大し、また、攻撃用兵器から防衛用兵器にまで拡大しています。NMDは危険な宇宙空間の軍事化という氷山の一角にすぎません。同時に、アメリカのNMD計画は、国際的核拡散防止の努力とその体制を根底から破壊することになるでしょう。NMDがミサイル拡散の効果的な解決策でないことは明白です。それどころか、国際的な核拡散防止体制の基盤そのものを破壊し、ミサイル拡散にいっそう拍車をかけることになるでしょう。さらに、指摘すべきなのは、NMDをめぐる現在の国際的な議論は、根本的には、どのような国際秩序を樹立すべきなのかという問題であり、一極世界を選ぶのか、多極世界を選ぶのかという選択の問題です。NMD計画の裏にある真の動機が、アメリカ自身の絶対的安全保障を確保することであることを多くの人が気づいています。いったんNMDが完成すれば、それが効果的であるか否かに関わらず、アメリカは一国行動主義化の傾向、および武力行使あるいは行使による威嚇の傾向をさらに強めることになるでしょう。その結果、国際関係において軍事的要因はさらに大きな役割を果たすようになり、経済発展、貧困の軽減、環境保護などに振り向けられるべき膨大な資金や資源が、軍備増強に使われることになるのです。私は、このような状況のもとで、世界の真の安全保障や永続的な安定が実現するとは思えません。さらに注意すべきなのは、NMD計画は、地球的な戦略バランスと安定を崩すだけでなく、アジア・太平洋地域の安全保障の努力を妨げることになります。そのうえ、誰もが知っているように、アメリカは戦域ミサイル防衛(TMD)を、アジア・太平洋地域に展開しようとしています。TMDそれ自体はABM制限条約に違反あたらないかもしれません。しかし、問題は、アメリカがアジアに配備しようとしているTMDの規模、性質、機能がどのようなものかということです。もし、一部の人が考えているように、このTMDがNMDの一環として利用され、アジア地域におけるNMDの前方配備に相当するのであれば、この地域の安全保障と安定にとって、その悪影響は重大で懸念すべきものになるでしょう。

親愛な友人および仲間のみなさん、

  私たちは、核兵器のない世界、核兵器のない21世紀の実現という究極の目標をめざし、共に議論し、努力しています。この崇高な目標を達成するためには、核兵器を最も多く保有している諸国は、保有核兵器の大幅削減を継続しておこなうようにと強く主張する必要があります。それによって、地球規模の平和と安定が実現できでしょうし、それより重要なのは他の核保有国が多国間の核軍縮過程に参加させるうえで有利な条件がつくりだされることです。同時に、全ての核保有国は、核兵器を最初に使用しないと無条件で約束し、非核保有国にたいし、核兵器の使用や使用の威嚇をしないことを無条件で誓約するべきです。NMDと宇宙兵器の開発と配備を中止し、早期に核兵器禁止条約を締結して、核兵器を全て廃棄・廃絶して、核兵器のない世界構築する方向に人類が大きく前進できるようにすべきです。

議長、ありがとうございました。


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