原水爆禁止2001年世界大会

国際会議宣言


  核兵器のない世界を—。国際世論の上でも、国際政治の場でも、この声が大きな流れとなる中で21世紀をむかえた。原水爆禁止2001年世界大会に参加したわれわれは、人類の生存をおびやかしつづけている核兵器をすみやかになくし、公正で希望に満ちた世界を実現するために力をあわせるよう、世界のすべての人びとによびかける。

  20世紀最後の年となった昨年、核不拡散条約再検討会議で、アメリカをはじめとする核保有国は、世界の世論におされ「核兵器廃絶を達成する明確な約束」を受けいれた。「ヒロシマ・ナガサキをくりかえすな」という被爆者のさけびは核兵器廃絶をもとめる世界の声となり、いま「新アジェンダ」諸国や非同盟諸国など多くの非核国政府の努力ともむすんで、国際政治を動かしている。

  だが、核保有国は、自ら率先して核兵器廃絶の実行に踏みだそうとしていない。米ロは一定数の核兵器削減を口にしつつも、「自国の安全」や「新たな脅威」などを口実に核抑止力にしがみつき、核兵器独占の特権を維持しつづけようとしている。

  とりわけ米ブッシュ政権は、核兵器と「ミサイル防衛」システムをくみあわせた新しい体制をつくりあげ、絶対的な核優位を確立しようとしている。これは核攻撃をおこなう自由を拡大することによって、世界から非難をあびている先制核攻撃戦略を強化する企てであり、アメリカ覇権主義の危険性をいっそう鮮明にしている。また、包括的核実験禁止条約の死文化をもくろむなど、これまでの合意をも次つぎに踏みにじろうとしている。このような新たな危険な策動をゆるさず、核兵器廃絶にむかって前進することは、世界平和のための緊急の課題である。

  環境破壊、失業、飢餓、貧困、債務の克服の問題でも、自国の「国益」のみを優先する大国の横暴に大きな批判が広がり、諸国民、諸国政府との矛盾を深めている。国連憲章にもとづく公正で平和かつ民主的な国際秩序の確立は、ますます切実になっている。

  日本政府は「ミサイル防衛」計画への理解、協力を表明し、アメリカの核政策にいっそう深く関わろうとしている。日米軍事同盟のもとで100以上の米軍基地がおかれている日本を、さらに本格的な軍事行動に組み込もうとする動きも顕在化し、アジア諸国の警戒感を強めている。軍事同盟が反核平和の願いとあいいれないことは明白である。日本の平和勢力が政府に対し、被爆国にふさわしい核兵器廃絶のための積極的行動、非核三原則の堅持をもとめ、「歴史教科書問題」など侵略戦争の正当化を許さず、憲法第九条の実践のために行動していることは、アジアの平和の流れを強める上でも重要である。

  広島・長崎の悲劇が教えるように、核兵器の脅威を一掃してこそ、世界の安全も人類の未来も確かなものとすることができる。21世紀の最初の原水爆禁止世界大会は、核兵器のない世界をすみやかに実現するため、次の行動にとりくむことを世界によびかける。

  1. 核保有国に「核兵器廃絶の明確な約束」をはたすよう要求しよう。すべての政府に、その実行として、国連総会やジュネーブ軍縮会議をはじめ国際諸機関で核兵器廃絶・全面禁止条約の即時交渉開始を決定するようもとめよう。
  2. 「ミサイル防衛」計画の危険な内容を広く知らせ、その中止をもとめ、国際的な共同の行動を緊急に発展させよう。
  3. 核兵器の開発・実験の中止、核実験禁止条約の批准・発効、核兵器大幅削減、核兵器先制使用政策および非核保有国への核兵器使用政策の放棄を要求しよう。外国領土・領海への核兵器の持ち込み・配備・通過反対とその撤去、非核自治体・非核兵器地帯の拡大・強化を要求しよう。軍事同盟の解消、外国軍事基地の撤去、基地被害の根絶を もとめよう。
  4. 広島・長崎の被爆、核兵器の開発・実験および生産にともなう被害の全容の解明と実相の普及、および、被害の補償と被害者に対する援護をすすめよう。核燃料サイクルにともなう被害を根絶するたたかいに連帯し、プルトニウムや劣化ウランなどの危険な利用に反対しよう。

  いま世界の反核平和運動、NGOの責務はきわめて大きい。これまでの到達点にたち、国家や民族、思想、信条の違いをこえ、核兵器全面禁止・廃絶での共同を広げよう。核大国の横暴に反対し、道理ある外交努力をつづける諸国政府との協力を発展させよう。核兵器廃絶の巨大な流れをつくりあげ、人類の未来を切りひらくため、ともに前進しよう。

2001年8月5日

原水爆禁止2001年世界大会国際会議


原水爆禁止2001年世界大会へ