国連ミレニアム総会にあたって、核兵器廃絶の決断をもとめます
20世紀最後の長崎原爆の日、原水爆禁止2000年世界大会・長崎につどった私たちは、核兵器のない21世紀をむかえるために、国連とすべての加盟国政府の勇気ある決断をもとめ、この手紙をおくります。
1945年8月6日、9日—55年前のこの日、広島・長崎は、わずか2発の原爆によって壊滅しました。その年のうちに20万人がころされ、生きのびた人もつぎつぎと生命をうばわれて、いまなお30万人に近い被爆者がくるしみつづけています。
この半世紀のあいだ、すさまじいばかりの核軍備競争のなかで、人類は幾度にもわたり核戦争の危機にさらされました。核軍備競争をうみだした軍事ブロックの対決がなくなったにもかかわらず、いまも3万発余の核兵器が存在し、特権的な核兵器独占への固執は、新たな核兵器拡散の危険を現実のものとしています。
核兵器の完全な廃絶により、自らのつくりだした兵器で絶滅するかもしれないという状況から人類を解放しなければなりません。この間、国連総会はすみやかな核兵器廃絶をもとめる決議をくりかえし採択してきました。くわえて、今春の核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議は「核兵器の完全廃絶」を達成するという「核兵器国の明確な約束」をもりこんだ最終文書を、核保有国をふくむ参加国が一致して確認しました。
しかし、それにもかかわらず、一部の核大国は「核抑止力」の維持をいまなお強調し、あたらしい形態の核実験の強行や「ミサイル防衛」の名による核戦略の強化など、核兵器廃絶の「明確な約束」と矛盾する行為をとりつづけています。こうした行為はただちに中止されなければなりません。
広島・長崎の被爆者と、その後の核兵器の開発・製造・実験などによって世界各地でうみだされた膨大な数の犠牲者は、「20世紀の過ちを21世紀に繰り返すな」とつよくさけびつづけています。私たちは、このさけびにこたえるためにも、核兵器廃絶への断固とした措置がとられなければならないとかんがえます。
私たちは、国連とすべての加盟国政府、とりわけすべての核保有国政府にたいして、NPT再検討会議で確認された核兵器廃絶の「明確な約束」の履行のために、ただちに行動するようよびかけます。そして、その証しとして、国連のミレニアム・サミットおよびミレニアム総会が、核兵器廃絶をただちに着手すべき課題として宣言し、核兵器廃絶のための国際協議のすみやかな開始を決定することをつよく要求いたします。
核兵器のない平和な21世紀の扉をひらき、人類のすべての能力と資源を、飢餓・貧困・環境破壊などの克服、生活の向上と経済・社会の発展のためにふりむけなければなりません。国連の原点ともいうべき第1号決議が「原子兵器の各国の軍備からの廃絶」を明確に宣言していたことを想起し、国連とすべての加盟国政府が真剣な検討と勇気ある行動にふみだされることをこころより期待いたします。
2000年8月9日
原水爆禁止2000年世界大会・長崎