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反核平和運動・原水協の声明と決議

〈2011年度運動方針〉
核兵器のない世界へ、核抑止力論を克服し、
さらに大きな核兵器全面禁止の高まりを創りだそう

日本原水協第83回全国理事会決定(2011年2月3日〜4日、東京)

 2010年5月のNPT再検討会議・ニューヨーク行動、8月のヒロシマ・ナガサキデー、原水爆禁止世界大会の成功を経て、いま、核兵器のない世界を達成する次のステップへ、日本の運動のイニシアチブへの期待が高まっている。

 この1年、日本原水協は、創立以来、核戦争阻止、核兵器全面禁止・廃絶、被爆者援護連帯を基本目標として掲げ続けた唯一の被爆国日本の運動として、世界的な共同行動の実現、非核・平和の日本をめざす全国的な草の根行動、被爆の実相普及と被爆者援護など、多くの面で奮闘し、内外で真価を発揮してきた。

 第83回全国理事会は、これらの成果の上に、それぞれの意見と経験を交流し教訓を学びあうとともに、核兵器廃絶をめぐる世界政治と運動の到達点、現在の情勢の特徴と課題を明らかにし、新たな国際署名「核兵器全面禁止のアピール」の提唱・発足をはじめ、各分野にわたる2011年度の運動方針を討議、決定する。また、会則に沿って、決算、予算を決定し、次期の運動の先頭に立つ役員を選出する。

I 核兵器のない世界へ−情勢と運動の到達点、課題

 広島・長崎の被爆から66年を迎える2011年、核兵器をめぐる世界の大勢は、抵抗や逆流を含みながらも、ひき続き核兵器全面禁止・廃絶の方向へと流れている。

1、核兵器廃絶の到達点−2010年NPT再検討会議

 いま人類は、「核兵器のない世界」実現にむけた歴史的な転機にある。

 世界の反核平和運動と世論の高まりと、大国主導の秩序から国連憲章に基づく平和の秩序への世界の流れのなかで、大きな変化が生まれている。NPTは1970年、「冷戦」下で既存の核保有国の核独占体制固定化を主な目的として発効したが、21世紀前夜の2000年5月に、核保有5カ国が「自国の核兵器の完全廃絶」を「明確な約束」として受け入れることを余儀なくされ、いまやNPT再検討会議は核兵器廃絶を求める世界の世論と運動の結集の場へと発展し、圧倒的多数の政府と、核の特権を延命させようとする一部の逆流との国際的な対決の場となっている。

 日本原水協は、21世紀最初の10年の世界の変化を受けて開かれる2010年再検討会議(5月3日から28日まで、ニューヨーク、国連本部)を、文字通り「核兵器のない世界」への具体的な転換の場とさせるために、全世界の反核平和運動と目的を分かち合う多くの政府と協力し、核兵器廃絶を求める日本と世界の世論を動員するために全力を挙げた。

 その結果、達成された会議の合意、運動の取り組みの成果と教訓は、今後の世論と運動を発展させる上で重要な意義を持つものとなった。

 第一に、2010年NPT再検討会議は、2005年5月、当時のブッシュ米政権の横暴によって引き起こされた再検討会議の決裂を克服し、「核兵器のない世界の平和と安全の達成」を「目標」「原則」とし、2000年5月の核保有5カ国による「自国の核兵器の完全廃絶」を達成することをあらためて確認した。

 同時に、2010年再検討会議は、核兵器のない世界を達成し、維持するための「枠組」の確立が必要であることを確認し、そのための特別の努力をすべての国に求めたこと、また、その具体的内容として、「とりわけ核兵器条約の・・・交渉開始」を含む2008年10月の潘基文国連事務総長の提案に具体的に言及することによって、核兵器禁止条約に焦点をあてるという、前進を築いた。

 核兵器禁止条約の実現は、日本の原水爆禁止運動が生まれた当初から一貫して主張してきたものであり、日本原水協は当然この到達点を歓迎し、重視し、その実行を迫っていく。

 第二に、2010年再検討会議は、「最終文書」も「核兵器のない世界の達成に関する諸国政府や市民社会の新しい提案およびイニシアチブに注目する」と述べているように、市民社会と運動の役割、市民社会と政府・国際機関との協力の発展でも新たな到達点を示すものとなった。

 2009年5月、世界の反核平和運動のネットワーク「廃絶2000」は総会で日本原水協の提案を受け、再検討会議に向けて核兵器全面禁止の合意のための努力をそれぞれの国で政府に働きかけること、核兵器禁止条約の交渉開始を求める署名をそれぞれの国で取り組み共同提出をおこなうこと、再検討会議を前に「核兵器のない世界のための国際行動デー」を設け、その結集点としてニューヨーク行動と署名提出をおこなうこと、これらの行動でとくに青年の行動を励ますことなどに合意し、また、再検討会議を前にした2月15日には世界250の団体が核兵器廃絶の条約交渉をただちに開始することを統一要求としてニューヨーク行動をよびかけた。

 これらは、国際政治の舞台で核兵器全面禁止のイニシアチブを発揮する非同盟運動や、さまざまな角度から核兵器廃絶に合流している政府、国連事務総長をはじめ国連憲章とこれまでの国際合意に立って全面禁止のイニシアチブを発揮する国際機関関係者の独自の努力などが合わさり、核兵器廃絶への流れの大勢をつくり、推し進める力となっている。

 この間、日本原水協が発揮したイニシアチブには、被爆の実相と被爆者の願いを国際政治に反映させる日本被団協と被爆者の活動支援、国際共同行動とニューヨーク行動の提唱、2006年1月1日に開始した「すみやかな核兵器の廃絶のために」署名およびそれを継承した「核兵器のない世界を」の署名、NPT会議内外での共同の署名提出の提唱と組織などが含まれている。

 なかでも、前回05年のNPT再検討会議での「いま、核兵器の廃絶を」署名に続いて、「核兵器のない世界を」の署名が日本でも世界でも、自治体など公的機関を含め広範な団体の共同の取り組みとなったことは重要である。この教訓と、そこから生まれた世界の期待に応えて、次のステップへ、日本原水協は次の前進を開く行動のイニシアチブを発揮しなければならない。

2、核兵器全面禁止の次のステップと核抑止力

 NPT再検討会議以後の流れも、核兵器の廃絶が世界の大勢であることを示しており、その動きを見ておくことは重要である。

 9月からはじまった第65回国連総会でも、NPT再検討会議の合意を基礎に、核兵器の全面禁止を求める流れがさらに前進した。10月の第一委員会審議を経て、12月はじめにおこなわれた諸決議の採択でも、先の再検討会議「最終文書」を含め、これまでの合意の全面履行を求めた「新アジェンダ連合」の「核兵器のない世界へ・核軍縮の約束の履行」が賛成173、反対5、棄権5の大差で採択されたのをはじめ、核兵器の廃絶につながる多くの決議がこれまでにもまして大差で採択された。

 とりわけ、1996年以来、核兵器廃絶に至る交渉開始を求めてマレーシアなどが提案している決議は、ことしは核兵器禁止条約に至る交渉の開始を求め、133カ国の賛成を得たことは重要である。米、ロ、英、仏などの核保有国は反対票を投じたが、核保有国の中でも中国が賛成票を投じたほか、NPT非加盟のインド、パキスタン、脱退した北朝鮮などはこぞって賛成票を投じ、また、イランも賛成した。このことは、以前から日本原水協が主張するように、核保有国の側に真に廃絶の意思があるなら、核兵器全面禁止交渉の開始は今すぐにでも可能であることを示している。

 批准が懸念された米ロ間の新しい戦略核兵器削減条約(新START)も、昨年12月22日の米上院による批准決定に続いて、1月26日にはロシアの上院が批准を決定した。さらなる核兵器の削減や包括的核実験禁止条約の発効、兵器用核分裂物質の生産禁止などの実行が求められる。同時に、「核兵器のない世界」実現のためには、それ自身を目標として交渉が不可欠であることは戦後の歴史からも明らかであり、核兵器禁止条約の交渉開始は、特別の意義を持つものである。

 核をめぐるこの間の議論と国際政治の動きは、核兵器のない世界への前進を妨げる最大の障害が「核抑止力」論にあることもあらためて明らかにした。

 この間、11月には北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が、前置きで「核兵器のない世界の条件作り」を言いながらも、実際には「核兵器が存在する限りNATOは核同盟であり続ける」と宣言し、「核と通常兵器」による「抑止力」を「全戦略の中核的要素」と位置付けていることが、その好例である。「核と通常兵器の適切な組み合わせ」を「抑止力」として押し付け、受け入れる態度は、日米間の関係閣僚会議(いわゆる2プラス2)でもくり返しとられている。

 だが、世界の核の半分を保有するアメリカやその同盟国がこうした態度を取り続けている限り、核兵器はなくならないばかりか、それへの脅威から生まれる核拡散の潜在的危険もまたなくならない。これもまた明らかなことである。

 1978年の第一回国連軍縮特別総会以来、世界の良識として叫ばれ、いま始まろうとしている新たな署名運動「核兵器全面禁止のアピール」が指摘しているように、「ヒロシマ・ナガサキをくり返させないもっとも確かな保証は核兵器を全面的に禁止し、廃絶すること」である。

 日本原水協は、核兵器がもたらす「地獄」を見た被爆者、全世界の反核平和運動と協力し、「核抑止力論の幻想」(2010年8月、潘基文国連事務総長)を払拭し、核兵器全面禁止を迫る内外の圧倒的な世論を築き上げるために、全力を挙げて行動する。

II 2011年度の活動計画

 イラク反戦から昨年のNPT再検討会議・ニューヨーク行動、2010年世界大会まで、21世紀最初の10年の前進を踏まえ、いま、日本原水協には核兵器廃絶の努力を次のステップへと推し進める新たな世界的なイニシアチブと、その先頭に立つべき日本で非核平和の流れを前進させる新たな活力の発揮が大きく求められている。

 そのために、日本原水協は昨年9月の常任理事会および11月30日から12月1日にかけての拡大担当常任理事会/都道府県事務局長会議で、今日の到達点に立つ新たな署名運動の提唱、発足を決め、発表の日=2月15日に向け、準備に全力を挙げてきた。

 提唱する「核兵器全面禁止のアピール」は、被爆国日本発の運動として、ヒロシマ・ナガサキを繰り返させない決意を明確にし、2010年NPT再検討会議での到達を踏まえ、すべての国の政府に、すみやかに核兵器禁止条約の交渉を開始するよう求めるものである。

 発表の日に向け、国内ではすでにノーベル賞受賞者の大江健三郎、益川敏英の両氏、野球の張本勲さん、被爆者の谷口稜曄さん、広島・長崎の秋葉、田上両市長に加え、瀬戸内寂聴さん、日野原重明さん、山田洋次さん、歌手のクミコさん、元ちとせさんがいずれも「顔ポスター」への掲載を含め賛同を寄せ、その他、吉永小百合さん、沢田研二さんなど、多くの著名人のみなさんが賛同やメッセージを寄せている(1月28日現在)。

 国際的な賛同と期待の広がりは、さらに広い。昨年2月15日、最大規模のイラク反戦行動となった2003年2月15日の行動を記念し、NPT再検討会議に向けて、「核兵器廃絶条約の交渉を直ちに開始せよ」と呼びかけた250の団体は、事前の予告を受けて相次いで賛同とメッセージを寄せ、さらに、これまで共同を発展させてきた多くの団体・個人が独自に、この運動の賛同を広げている。これまで賛同を寄せた個人・団体には、ノーベル賞受賞者のマイレッド・マグワイアさんや授賞団体の国際平和ビューロー、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)と「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」、パックスクリスチ、核時代平和財団、アメリカフレンズ奉仕委員会、ピースアクション、イギリスCND、フランス平和運動、中国平和軍縮協会の牛秘書長、「廃絶2000」のジャッキー・カバソさんやアリス・スレーターさんなど、意見や立場の違いを超えた広範な賛同と激励が寄せられており、さらに日々、広がり続けている。

 日本原水協は、内外からのこの共感と期待の広がりに応え、核兵器全面禁止へと結実させていくために全力を挙げなければならない。

1、新たな署名運動「核兵器全面禁止のアピール」の発足と推進

1)発表集会の開催

 2010年NPT再検討会議・ニューヨーク行動に向けて世界250のNGOが核兵器廃絶の条約交渉開始を求めた2月15日の呼びかけから一周年の2月15日、広島、長崎、東京の3都市で「新署名『核兵器全面禁止のアピール』発表集会」を、それぞれ日本原水協と現地原水協の共催で開催する。

 開催には、原水協参加の団体、個人とともに、被爆者や広範な各層の代表、個人、自治体関係者などを招き、共同を広げる。開催に向けて、中央でもそれぞれの都道府県でも、「アピール」への協賛と共同を広げる。

 また、3都市での発表集会と連動して、すべての都道府県で3都市での発表集会への参加、独自の発表行事、最初の署名行動などを計画し、実行する。3都市の「発表集会」の開催時間、場所は以下の通り、

  広島 13時30分〜15時30分、ホテルサンルート広島 楓の間
  長崎 14時〜15時30分、ホテルセントヒル長崎 紫陽花
  東京 18時30分〜20時30分、平和と労働センター・全労連会館2階ホール

 発表集会に間に合うよう、新しい「顔ポスター」、のぼり、チラシ、署名用紙を完成させ、さらにその後、折りたたみリーフなど、多様な宣伝資材を作成・普及する。

2)目標

 さきの「核兵器のない世界を」署名での宮崎県都城市の経験、徳島県の無差別アポなし訪問や、1954年のビキニ署名に学び、すべての市区町村、地域で思想・信条を超えた協力と住民ぐるみの運動をめざす。とりわけ、日本の自治体の過半数をカバーするまでに発展した平和市長会議に参加する首長、非核宣言自治体をはじめ、住民の安全を守ることを任務とする自治体や公的機関との協力を重視する。

 かつて、「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」を共通の行動として世界で取り組んだ「平和の波」運動などに学び、署名を軸に、楽しく創意的なさまざまな運動を発展させる。

3)集約と提出先

 当面、毎年10月上旬、最初の月曜を目処に開始される国連総会第一委員会を目処に、署名数を集約し、国連に提出する(目録)。そのために代表団も編成する。また、日本国内でも国連代表部の協力も得ながら、それに呼応した行動を具体化する。

 毎月の6・9行動とともに、ビキニデー、平和行進、世界大会の取り組み、国連軍縮週間などを集約の節目とし、全国的な署名の促進をはかる。数値的な集約は前回同様、毎月の6・9行動の結果が反映され、「原水協通信」などでの発表に間に合うよう毎月15日におこなう。

4)推進体制

 日本原水協として、全労連と主要な加盟組合、新婦人、民医連、うたごえなどをはじめ、希望するすべての加盟団体が参加できる推進体制を設ける。

 内外での普及推進のため、ニュースの発行、日英両文でのホームページ/ブログの充実、オンライン署名などを発展させる。

5)期限

 今回の運動が掲げる核兵器全面禁止条約の交渉開始は、国際政治の到達点を反映するとともに、日本の原水爆禁止運動にとって原点ともいうべき要求である。

 核兵器禁止条約は、今後どういう形で発展するにせよ、国連総会でのすべての国のコンセンサス抜きには実現しない。この先、2012年からは次のNPT再検討会議の準備委員会が始まるなど、新たな発展もでてくるが、要求自体は変わらないものとしていまの段階では期限を設けず、毎年10月、国連総会に提出することを目標に推進する。

2、日本を、核兵器廃絶を推進する国とするために

 非核平和を求める世論を発展させ、日本を核兵器廃絶の先頭に立つ国へと変えることは、日本の運動に課せられたもうひとつの重要課題である。

 NPT再検討会議に続き、昨秋の国連審議に当たっても日本原水協は核兵器全面禁止条約の交渉開始を提起することや、マレーシアなどその努力をおこなっている国と協力するよう日本政府に申し入れた。しかし、政府はNPT再検討会議でも秋の国連総会でも、核兵器禁止条約の必要性やそのための交渉をいっさい提起することなく、非同盟諸国などのそうした努力に対して「時期尚早」と、逆に水を差す態度を取った。

 こうした態度の根底に、平和・安全といえば、アメリカの軍事力しか目に入らず、「日米同盟第一」「米軍は抑止力」と言いつづける対米従属の態度があることは明らかである。菅政権が6年ぶりに策定した新「防衛大綱」は「核抑止力を中心とする米国の拡大抑止は不可欠であり、その信頼性の維持・強化のために米国と緊密に協力していく」とまで述べている。

 日本原水協は、2011年3・1パンフでもこの点を取り上げ、「核の傘」「抑止力」の名による米軍の世界戦略、核戦略の正当化が日本の平和と安全にどれほどの危険と害悪をもたらすか、5つの点にわたって批判した。�@米軍基地の縮小・撤去を求める沖縄と本土の国民の願いに応えることができず、「抑止」のためといわれれば、すべて米軍の要求に屈するしかないこと、�A国民に隠れて「密約」まで結んで核兵器の持込に目をつむり、いまなお「非核の証明」も求められないこと、�B米軍のために広大な土地と施設をタダで使われ、駐留経費負担に加え、「思いやり予算」に国民の膨大な税金が費やされていること、�C米軍の自由出撃により国民の知らない間に戦争に巻き込まれる危険が増大していること、そして�D憲法9条と非核三原則に基づく非核平和の外交を完全に掘り崩していることなどである。

 2011年度、こうした日米関係の現状を国民に訴え、以下の諸活動を発展させる。

 1) 被爆国日本の政府として、国連安保理事会でおこなった「核兵器廃絶の先頭に立つ」との約束を実行し、国連や2国間、多国間外交を通じ核兵器全面禁止条約の交渉開始を提唱するよう要求し、国民的世論を広げる。

 2) 憲法9条に基づく国際紛争の平和解決の追求、朝鮮半島非核化のための6者協議の再開努力、非核三原則の厳格な実行と法制化、非核「神戸方式」に学んだ核保有国艦船への非核の証明の請求、核密約の破棄・核兵器禁止の提唱と非核三原則の尊重を内容とする非核日本宣言の推進を要求する。
 原子力空母「ジョージ・ワシントン」の出撃や放射性物質の運び出しを含む危険な作業の中止を求め、横須賀からの撤去を要求する。日米で進めている「ミサイル防衛」計画、迎撃ミサイルやXバンドレーダー、ガメラレーダー、イージス艦の配備・増強などに反対する運動を進める。核の危険を取り除く唯一の確実な道は、核兵器の全面禁止であることをひろく宣伝する。

 3) 米軍基地撤去を求める沖縄と本土の運動との支援・連帯、民間港の軍事利用反対、米軍・自衛隊の一体化への批判、武器輸出三原則の厳守。
 アメリカの世界戦略、朝鮮半島情勢などとも関連し、増大する米艦船の民間港寄港にたいし全国的に住民の運動を強めることは特に重要になっている。2010年全国理事会でも取り組みを検討した米艦船寄港への監視と抗議の運動強化の一環として、米艦船寄港の動きをつかみ、全国的に情報を提供し、運動を促進するセンター的役割を、関係諸団体、関係都道府県とも協力し、強めていく。

3、被爆者援護・連帯の強化

 昨年のNPT再検討会議や被爆65年の取り組みは、被爆の実相の普及、被爆者援護・連帯の課題でも、国連本部・NPT再検討会議での被団協主催による原爆展の開催、再検討会議での谷口稜曄さんの訴え、潘基文事務総長の広島・長崎訪問と証言者としての被爆者の役割の強調など、新たな前進を開くものとなった。

 これらの成果と2010年世界大会国際会議宣言に即し、2011年度、内外で被爆体験を語り、「人類と核兵器は共存できない」とのメッセージを運ぶ被爆者の内外での証言活動をさらに大きく支援し、ともに取り組む。2月25、26日の両日、ジュネーブで開かれる「国際青年軍縮会議・平和は実現できるか」への被爆者の参加の援助をはじめ、海外での被爆者の証言をひき続き、系統的に援助する。

 8月6日、9日にむけて、全国の自治体に地元の被爆者などを招いた地域、学校での被爆体験を聞く会、原爆展の開催、署名などの取り組みを被爆者団体とともに申し入れ、実現に努力する。とりわけ生徒、学生など学ぶ世代への普及を重視し、教職員組合や教師、学校などに被爆体験を聞く機会を設けるよう積極的に働きかけていく。「原爆と人間展」の再刊を支援し、各地での原爆展や6・9行動での活用、自治体などへの普及などに取り組む。

 また、世界大会での被爆者訪問をはじめ、青年の被爆者訪問を積極的に援助し、全国に広げていく。

 被爆者援護・連帯のもうひとつの課題は、それぞれの地域での被爆者支援網の目ネットワークの取り組みである。その促進のためにも、それぞれの地域や都道府県での原水協が被爆者団体を積極的に訪れ、意見を交流し、結びつきを強めることが重要である。また、昨年暮れに製作したリーフ「被爆者とともに核兵器のない世界を−被爆者援護募金のお願い」をさらに広く活用し、草の根での被爆者援護募金の定着をめざす。

 東京、大阪、岡山地裁などでの訴訟、原爆症認定問題の全面解決を求める被爆者のたたかいを支援する。原爆症認定申請、被爆者手帳の取得、在外被爆者への支援、国家補償に基づく被爆者援護法への改定など、被爆者の要求と運動への連帯を強めていく。そのためにも専門家の協力を得て、原水協学校などでの被爆者援護講座の開設をはじめ、被爆者援護・連帯の全国的な活動強化をはかる。

4、原子力行政の抜本的見直し

 プルトニウムを燃やすMOX燃料計画の強行、六ヶ所村での再処理施設の稼動、高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開、廃棄物の埋め立て処理など、安全無視の原子力行政への監視と批判を強める。各地の住民運動と連帯し、原子力施設の総点検、原子力行政の抜本的見直しを要求する。代替エネルギーの開発促進を求める。

5、日本原水協の強化

1)新署名と地域原水協

 2010年、NPT・ニューヨーク行動、世界大会の成功は、全国の草の根での運動とネットワーク、地域原水協づくりこそが日本原水協強化の鍵であることを改めて明らかにした。

 新たな署名運動のキーワードとなっている「地域ぐるみ」の署名の取り組みを、必ず地域原水協の確立、市町村単位での原水協のネットワーク作りと結びつけて計画し、毎年の世界大会参加代表をはじめ、個人会員制度などを活かし、地域原水協作りに結実させよう。

2)都道府県原水協の拡大・強化

 都道府県原水協の組織・財政強化は、日本原水協強化の要である。昨年のNPT・ニューヨーク行動、世界大会など、日本原水協の役割に注目が集まっているいま、それぞれの都道府県で、平和的民主的役割を果たしながらなお原水協の外に留まっている団体などに一つひとつ丹念に働きかけ、都道府県団体と地域原水協、個人役員のそれぞれをひろく結集する組織作りを前進させる。

3)日本原水協の部活動

 日本原水協として、国際、組織、情宣、被爆者援護・連帯、財政、事業、総務のそれぞれの部の活動を充実させる。情宣活動では原水協通信の読者を着実に増やすとともに、英日二カ国語でHP(ホームページ)を充実させ、若い世代をはじめ、社会的にも国際的にも日本原水協の役割が広く知られ、理解されるよう、体制的にも充実させる。組織・情宣の活動ではまた、全国の草の根の活動を機敏、正確につかみ全国に返すための努力と体制を強める。また、情宣とあわせ、1955年の世界大会、原水協結成以来の資料の整理とデジタルデータ化などを企画する。

4)ちひろカレンダーの普及で大前進を

 「ちひろカレンダー」の普及では、ことしは総数12万6千本と、4000本の後退となった。その教訓の一つは、都道府県単位での取り組みの遅れである。たとえば、多くの都道府県で本腰を入れて取り組んだ12月の普及本数は、一ヵ月を通じても1万本に満たず、後半の15日間ではほぼ2500本程度に留まっている。

 すべての都道府県で、年度の初めに財政強化の方針と目標をはっきりさせ、そこに世界大会代表の派遣、カレンダー普及の目標と計画を位置付けて、通年での組織全体の取り組みとし、抜本的な前進に転じるよう奮闘しよう。

6、3・1ビキニデー、平和行進、歴史的な2011年世界大会の成功へ

 2011年の3・1ビキニデー、国民平和大行進、原水爆禁止2011年世界大会は、2月15日に開始される核兵器全面禁止への新たなイニシアチブを全世界に発信し、促進し、草の根をつなぐ世界的な運動の連帯を築いていく壮大な運動の発信と結集の場、非核平和へと日本の流れを変えていく新たな決意と行動の場になろうとしている。

 NPT・ニューヨーク行動の成功が示したように、いま、世界は、次のステップのための行動を発信する日本原水協と世界大会の役割に注目し、合流してこようとしている。その期待に応え、これらの行動の一つひとつが持つ意義をはっきりさせ、理解と支持と参加を広げていかなければならない。新たな署名の取り組みにとっても、これらを通じた学習と討論が決定的な力となる。

 2011年3・1ビキニデーは、2月27日(日)国際交流会議、28日(月)日本原水協全国集会(全体会と分科会)、3月1日(火)墓参行進および被災57年3・1ビキニデーの日程で開かれる。3日間のすべての行事の成功を重視し、とりわけ全国理事会以後、この方針の全国的な意思統一の場となる28日の日本原水協全国集会には、すべての加盟団体と全国全ての地域原水協から代表が参加するよう、全力を挙げて取り組もう。

 国民平和大行進、2011年世界大会の概要は、別途、総会への提案の通りである。述べ参加者数で10万人を超える全国の平和大行進は、日本の原水爆禁止運動の文字通りもっとも広範に取り組まれる活動となっている。この行進を、核兵器全面禁止のメッセージを全国すべての市区町村に運び、その願いを賛同や署名、「地域ぐるみ」の取り組みへの決意として世界大会に届ける行動と位置づけて、すべてのコースで大成功させよう。

 本全国理事会から、2月15日新署名の発表集会、3・1ビキニデー、さらに平和と地域住民の暮らしが問われるいっせい地方選挙、国民平和大行進など、すべての取り組みを確実に成功させ、核兵器全面禁止実現への里程標となる歴史的な大会として2011年世界大会を成功させるために、全国で大奮闘を開始しよう。/以上

 

 

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