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反核平和運動・原水協の声明と決議

申し入れ

内閣総理大臣 菅直人殿
外務大臣 前原誠司殿

日本政府への申し入れ

 ことし5月、ニューヨークで開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議は28日、「最終文書」に合意し、「核兵器のない世界の平和と安全を達成する」ことを、その行動部分の冒頭に掲げました。また、最終文書は、核兵器国に対して「自国の核兵器の完全廃絶」の努力を求めるとともに、すべての国に対し「核兵器のない世界を達成し、維持するために必要な枠組を確立する特別の努力」を求めました。

 国際社会、とりわけ、日本は国民が核の惨禍を体験した唯一の国として、この機会を捉え、この合意を実行に移すために全力を挙げるべきです。

 これまで日本政府は、言葉では「核兵器の廃絶」を言いながらも、そのための具体的な行動は提起せず、核兵器の全面禁止やそのための国際交渉の開始については、逆に「時期尚早」として拒否し続けてきました。

 残念ながら、そうした態度は昨年9月に政権が交代し、鳩山首相(当時)が国連安保理で「核兵器廃絶の先頭に立つ」と宣言して以降も変わっていません。現在開催中の国連総会第一委員会で日本政府代表は、これまでの決議「核兵器全面廃絶の新たな決意」を「核兵器全面禁止への統一行動」をタイトルとする新たな決議に発展させると言明しました。しかし、内容は旧態依然たるものであり、核兵器の全面禁止も、そのための交渉開始も提起されていません。新たに提起された「短・中期目標」も「核リスクの低い世界」というきわめて志の低いものであり、「核兵器のない世界」のための「枠組」とは、程遠いものであることは明らかです。

 日本政府が、「唯一の被爆国」を言いながらも、核兵器の禁止に二の足を踏む決定的な要因は、日本政府がアメリカの核戦略を「核の傘」の名で美化し、事実上、日本をアメリカの核戦略に深く組み入れる態度をとっていることにあります。しかし、どれほど「核兵器廃絶の先頭に立つ」と言い、他の国に「核の放棄」を求めてみても、みずからが他国の「核の傘」に依存しているならなんの説得力もないことは明らかです。

 核兵器廃絶の国際的努力の先頭に立つこと、みずからも核兵器の破滅的破壊力に依存した「安全保障」政策から脱すること、内外政策にその一貫性があってこそ、真に国際社会でも「核兵器廃絶の努力の先頭に立つ」ことができます。

 日本が、戦争放棄の憲法9条を持ち、「非核三原則」を国是とする国として、そうした国際的信頼を得られるよう、以下の諸点を提起するものです。

1、現在開催中の第65回国連総会第一委員会での審議を含め、国際政治の場で核兵器全面禁止を提起し、合意を広げるために行動すること。とりわけ、現に核兵器全面禁止にいたる交渉の開始を提起しているいわゆる「マレーシア」案を支持し、協力すること。潘基文事務総長の5項目提案を支持し、とりわけ「核兵器条約の交渉」を具体化するよう他の国々に働きかけること、

2、「核兵器のない世界の平和と安全」を誠実に追求する証として、アメリカの「核の傘」から離脱し、「非核三原則」を厳守・実行すること。「核持ち込み」の根拠となった「核密約」を破棄し、日本が核持ち込みを許さない国であることを関係国に通告すること。日本に寄港を求めるすべての核保有国の艦船に対し、現在神戸市が採用している方式に習い「非核の証明」の提出を求めること、

3、アメリカが個々の艦船の核積載について「肯定も否定もせず」の政策を採っている現状に照らし、横須賀配備の原子力空母「ジョージ・ワシントン」をはじめ、核積載能力を持つ艦船の撤去を求めること。

以上

 

 

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