【反核平和運動・原水協の声明と決議】
原水爆禁止日本協議会第292回全国常任理事会
(2010年9月20日〜21日、東京)
報告: 2010年NPT・ニューヨーク行動、2010年世界大会の成果を確信に、核兵器廃絶・非核日本の世論と運動をさらに大きく前進させよう
�T 2010年NPT再検討会議・ニューヨーク行動と世界大会の成果と教訓
1、NPT再検討会議・ニューヨーク行動のとりくみ
2、原水爆禁止2010年世界大会の成果と教訓
�U NPT以後の情勢と当面の活動
1、核兵器禁止、廃絶の世論の強化 − 現在の署名の継続と新たな署名の探求
2、核兵器廃絶条約の提唱、「核の傘」からの離脱、非核三原則の実行・法制化を求める運動の促進
3、被爆の実相普及、被爆者援護・連帯のとりくみを前進させる
4、日本原水協の拡大・強化
はじめに
広島・長崎の被爆から65年目のことし、日本原水協は2010年核不拡散条約(NPT)再検討会議への署名提出・ニューヨーク行動と原水爆禁止2010年世界大会の二つの重要な行動に連続的にとりくみ、核兵器廃絶への世界的な世論動員と結集を牽引する役割を果たした。また、世界大会では、国連、政府、自治体などの代表とともに核兵器廃絶のための次のステップを探求し、行動に踏み出す上で重要な出発点をつくり出した。
第292回常任理事会は、この間のとりくみについて総括し、成果と教訓を確認する。また、核兵器をめぐる当面の情勢と原水爆禁止運動が直面する課題を検討し、2010年世界大会の諸決議に応えて、当面の行動を決定する。
�T 2010年NPT再検討会議・ニューヨーク行動と世界大会の成果と教訓
1、NPT再検討会議・ニューヨーク行動のとりくみ
2010年NPT再検討会議は5月3日から28日までニューヨークの国連本部で開催された。会議に先立って世界の反核平和運動は、核兵器廃絶のために核保有国や自国の政府、世論への働きかけを強め、開催地ニューヨークでも国際平和会議の開催、市内の行進と署名提出、再検討会議での意見表明など、多彩な活動にとりくんだ。再検討会議開会前日の5月2日の行進は、前回の05年再検討会議以来最大の行動として成功した。
再検討会議は、21世紀の最初の10年を特徴付けた諸国民の反核、反戦世論の高まりと国際政治での変化を背景に、「核兵器のない世界の平和と安全を達成する」ことを「原則と目標」の第一項として決議した。会議では、非同盟運動が2025年を目標とする「核兵器廃絶の行動計画要綱」を提案したのをはじめ、NATO加盟国のノルウェーなども含む圧倒的多数の国が、核兵器廃絶を達成する具体的な期限や方法について提起し、合意を実現するよう主張した。
合意された最終文書は、すべての国に「核兵器のない世界」を達成する「枠組みを確立する特別の努力」を義務付け、核兵器(廃絶)条約の交渉開始をふくむ潘基文国連事務総長の5項目提案に留意した。会議は、いくつかの核保有国の反対によって核兵器廃絶を達成する期限や道筋を定めるに至らなかった。だが、米ロなど核保有国も、2012年の中東非核兵器地帯化の国際会議開催をはじめ、次回2015年の再検討会議にむけて、これまで合意された諸措置の実行、「すべての種類の核兵器の総合的な削減を急速にすすめる」ことなど「核軍縮・廃絶につながる諸措置」の履行には合意せざるを得なかった。
核兵器独占条約から核兵器の廃絶の場へ、日本原水協はこの再検討会議を核兵器廃絶実現への転換点とするために、以下の行動にとりくんだ。
1) 核兵器全面禁止・廃絶の提唱
日本原水協は、すでに05年5月の再検討会議の決裂とともに、核使用と先制攻撃の戦略を掲げる米・ブッシュ政権をさらに大きく孤立させ、好核・非核の力関係を変えていくために、国連に向けて核兵器禁止・廃絶条約の交渉開始を求める新署名「すみやかな核兵器の廃絶を」を提起し、06年1月1日を期して全国的に運動を開始した。
ついで、08年8月、セルジオ・ドゥアルテ国連上級代表を迎えて開かれた08年世界大会は、2010年再検討会議にむけ、「核兵器禁止・廃絶条約の交渉を開始し、締結する」ことを求める署名「核兵器のない世界を」を提案し、内外でとりくむことを決定した。
日本原水協代表団はこの間、3度のNPT再検討会議準備委員会、毎秋の国連総会など、国際政治に対してあらゆる機会に核兵器全面禁止を働きかけ、2010年再検討会議でも各国政府、日本政府のそれぞれに提言を行い、核兵器全面禁止が世界諸国民の運動の統一要求となるよう、イニシアチブを発揮した。
2) 国際行動デー・ニューヨーク行動の提唱と1600余名の代表を派遣
第2に、日本原水協は、2010年NPT再検討会議に先立つ5月2日(日)を「核兵器のない世界のための国際行動デー」とし、ニューヨークで核兵器廃絶の大行動をおこなうことを提案し、在外被爆者、核実験被害者を含む1600名余の代表団を派遣し、行動の成功を支えた(詳細は、別途、経過文書を参照)。
最大規模の行動となった03年2月15日のイラク反戦から7年目のことし2月15日、国際準備委員会は、「核兵器廃絶の国際条約交渉のすみやかな開始」を共通の目標としてニューヨーク行動への結集をよびかけるアピールを発表し、これを支持する団体はイラク反戦行動以来最大の300団体に達した。
アメリカが、サブプライムローンの破綻を発端とする深刻な金融・経済危機に見舞われ、ニューヨーク行動の計画が財政的にも困難に直面する中で、日本原水協代表団は一人最低20ドルを参加費として提唱し、行動全体を支えた。メディアや世論の関心が金融・経済問題に移り、他方でオバマ政権の重点が核抑止と不拡散に移っていく中で、日本原水協の提唱ととりくみは、とりわけ草の根の運動を重視する全米の運動を励まし、多くの人が、「原水協の力がなければ実現できなかった」というように、行動を成功させる上で決定的な力を発揮した。
3) 政府、公的機関、反核平和運動の協力・共同の前進
第3に、2000年NPT再検討会議で「核兵器の完全廃絶」が「明確な約束」として合意されて以来、日本原水協と世界大会が追求してきた核兵器廃絶のための政府、公的機関、反核平和運動の協力・共同の方針が大きな力を発揮した。
日本原水協は、日本と世界の人々の願いを結集し、再検討会議に提出する署名の共同提出をニューヨーク行動全体の核心として提起し、カバクテュラン再検討会議議長、ドゥアルテ国連上級代表に申し入れた。両氏は、再検討会議前日のもっとも多忙なときに、多くの時間を費やして署名を受理し、カバクテュラン議長は翌日、再検討会議開会の冒頭、4日の議場内における署名の受理、7日のNGO代表の意見表明と、3度にわたって署名の受理に言及し、会議がこの市民社会の要請に応えるよう呼びかけた。
5月1日、潘基文国連事務総長は、国際準備委員会の招請に応え、国際平和会議で基調演説を行った。このなかで事務総長は参加者の努力と行動を高く評価するとともに、再検討会議にたいして「いま、核兵器廃絶を!」と求め、核兵器廃絶を達成する決意を表明し、世界の運動には人類の良心の声として行動し続け、それぞれの国の政府に行動を迫ることを呼びかけた。
再検討会議前夜から開会直後の多忙な中を、多くの国の政府代表団が原水協の要請団を歓迎し、新アジェンダ連合のスポークスマンを務めたエジプトのヒシャム・バドル大使は再検討会議開会の日の午後、日本原水協代表団の公開シンポジウムに出席し、アメリカフレンズ奉仕委員会、ピースアクション(アメリカ)、イギリス核軍縮運動の代表とともに報告を行った。
4) 世界を動かした草の根の署名
第4に、今回のニューヨーク行動を成功させ、NPT再検討会議を核兵器廃絶の方向へと動かす上で、全国の草の根での署名のとりくみは決定的に重要な役割を果たした。
08年世界大会での「核兵器のない世界を」署名の提起を機に、2010年再検討会議にむけた世論動員のとりくみは世界的に高まり、核兵器廃絶条約の交渉開始は世界の共通要求となった。再検討会議に提出された署名は、日本原水協が提出した691万2802筆の署名を含め、合わせて1700万筆にのぼった。
今回の署名では、国際政治に生まれた変化を積極的に生かし、徳島県原水協からはじまった全階層に渡る無差別アポなし訪問、北海道をはじめ、全国に広がった自治体首長や議会議長、教育長などの署名、都城市をはじめとする自治体・地域社会ぐるみのとりくみなど、多くの創造的なとりくみがおこなわれた。また、新婦人をはじめ、全労連、民医連など多くの中央団体が全国的にも国際的にも運動を推進する上で重要な役割を発揮した。
代表団は、ニューヨークやそのほかの訪問先でも連日署名にとりくみ、その数は1万1千筆を超えた。署名のとりくみは政府、運動を問わず、核兵器廃絶の達成を願うすべての人々を動かし、励まし続けた。
また、「2010年再検討会議に提出する」ことを最初から明確にすることによって、署名者にとってもその意義がわかり易いものとなり、運動の前進の力となった、これらの教訓は、今後の運動にさらに活かされなければならない。
2、原水爆禁止2010年世界大会の成果と教訓
NPT再検討会議に続いて参議院選挙(7月11日投票)が戦われるなかで、日本原水協は、署名のとりくみを通じて国民各層とのつながりを広げながら、国民平和大行進・東京−広島コース(5月6日出発)など全国11の基幹コースと網の目行進をはじめ、2010年世界大会を成功させる諸行動に連続的にとりくんだ。
また、ニューヨーク行動の終結とともに、再検討会議の閉会を待つことなく代表団の「活動の記録」を発行し、再検討会議終了と同時に、会議の結果やニューヨーク行動の成果を反映させた「大会パンフ」を発行して、1600余人の代表を中心とする全国的な報告活動を促進し、それを力に、代表派遣を中心とする大会準備の活動にとりくんだ。
大会は、「核兵器のない平和で公正な世界を」をテーマに、8月2日から9日まで広島と長崎で開催された。大会には、世界27カ国から国連、アラブ連盟および6カ国の政府代表を含め、74名の海外代表と、広島8000名、長崎2000名の全国代表が参加した。
大会は、2日から4日まで広島で開かれた国際会議が一致して宣言「被爆65年−被爆者とともに『核兵器のない世界』への行動を」を採択し、広島と長崎でそれぞれ「広島からのよびかけ」「核兵器条約のすみやかな交渉開始を−長崎からすべての国の政府への手紙」を採択した。
1) 次のステップを明確にした大会
2010年世界大会は、5月のNPT再検討会議の前進と成果の上に、核兵器の廃絶にいたる「次のステップ」を共同で探求する国際的な努力の場として深い議論の場となった。潘基文事務総長は、大会へのメッセージで、「みなさんの努力は世界的な核兵器廃絶支持の大波をつくりだした」と、運動の役割を高く評価するとともに、8月6日の広島・国際会議場での講演で、平和市長会議の提唱する「2020ビジョン」を歓迎し、「(被爆)75周年には再び一堂に会し、被爆者の方々とともに核兵器の終焉を祝おう」と呼びかけた。また、同じ時刻、ドゥアルテ上級代表は、世界大会‐広島で「民主主義、軍縮、法の支配」と題して講演し、「国連事務総長が2008年に提案したように、核兵器条約の交渉開始を核保有国に働きかけねばならない」「また、合意された期限内に達成する意思を宣言するよう促さなければならない」と、期限を設け、条約で廃絶することが国連の意思であることを明確にした。さらに同氏は「2020年が時期尚早なら、いったい核兵器廃絶はいつなら達成されるのか」と反問し、核兵器のない世界への「この偉大な橋をともに渡ろう」と呼びかけた。
広島では秋葉市長、長崎では田上市長がそれぞれ大会に出席し、秋葉市長は2020年までの核兵器廃絶を、田上市長は、核兵器禁止条約のために「力を結集」することを訴えた。
5月の再検討会議が、「核兵器のない世界の平和と安全」の達成で合意しながら、その実現の期限と道筋についての前進を阻まれる中で、国連、政府代表をはじめ第一線の代表が、海外と全国の運動代表とともに、その制約を超えて次の発展を展望し、前進を呼びかけた。日本原水協は、唯一の被爆国の運動としてこの期待に応え、先頭に立って奮闘しなければならない。
2) 核抑止力論をめぐって
大会は、「核兵器のない世界」の実現にとって最大の障害となっている「核抑止力」論について深い分析と討論を行った。
潘基文事務総長が、核兵器の廃絶を「夢物語」と主張する議論こそ、「核抑止力への際限のない依存、あくなき軍拡競争、野放しの軍事費増大、税金の無駄遣い」を導くとして、「安全保障に名を借りた妄想」と批判したのを受け、ドゥアルテ上級代表は、「核兵器がなくなることの危険や不安を感じる人々」に、「核兵器廃絶の失敗がつくり出す危険や不安」こそを直視すべきであると警告した。
討論では、先の再検討会議でNGOを代表して「核抑止力論批判」を行った元イギリス海軍司令官ロバート・グリーン氏をはじめ、内外の代表がさまざまな角度から「核抑止力」論の問題を解明し、批判した。また、大会では、北朝鮮のミサイル・核開発などに直面している現在、「核の傘」に依存する特殊な事情があるのではないかという率直な提起についても、その悪循環から抜け出すためにも、いま、「核抑止力」から抜け出す道を、立場を超えて探求すべきであるとの指摘も行われた。韓国代表の間で行われたこの議論は、さまざまな形でなお「核抑止力論」が影響を残している下で、道理に基づいた批判を行うとともに、「核抑止力」から抜け出ることに不安を感じる人々と共通点を広げていく上でも示唆に富んだ議論であった。
国際会議から広島、長崎の全日程を通じて、被爆者が語る被爆の実相は、核抑止力論を克服する上でも、人類生存の大義に立ったもっとも力強い反撃となった。広島・長崎の被爆を原点とする原水爆禁止運動と世界大会が、被爆者の活動を支援し、被爆の実相を普及、継承していく意義がいっそう明らかになった。
3) 提起された3つの行動
大会は、「国際会議宣言」、「広島からのよびかけ」「長崎からすべての国の政府への手紙」を採択し、当面の重点的行動として、「核兵器のない世界を」署名など核兵器廃絶を求める世論のいっそうの強化と共同、日本の「核の傘」からの脱却と非核三原則の厳守・法制化、被爆の実相普及など、3つの行動をよびかけた。「国際会議宣言」は、先のNPT再検討会議についての評価、核兵器廃絶を達成していく上で立ち向かう課題、行動など、ニューヨーク行動にともにとりくんだ世界の諸団体の共通の認識と活動方向を打ち出したものであり、「広島からのよびかけ」は、大会以後、それをただちに行動に移すことを誓ったものである。また、「すべての政府への手紙」は、「宣言」を実現する最初の行動としての性格をもっている。これら3つの文書を報告活動の中心に据え、全国で行動に踏み出していかなければならない。
4) 世代を超えた連帯と運動の継承
大会参加者は、東京、大阪、神奈川などをふくむ22都道府県の参加者の集計でも、20歳代が30.5%、10歳代から30歳代が52%、初参加者が55%と、ひき続き世代を超えた反核平和の連帯と運動の継承の場としても、大きな役割を果たしていることを示した。大会は、NPT・ニューヨーク行動から国民平和大行進、国政選挙と、重要な課題での連続的なとりくみにもかかわらず、全世界からの期待に応え、世界大会に結集する中央団体、全国の原水協、その加盟・協力団体とそこで活動する無数の人々の奮闘により大きな成功を収めた。
大会に参加したすべての人々が世代を超えて、被爆国日本から世界へ、核兵器廃絶のメッセージを送り、核兵器のない世界への行動を担っていけるよう、日常の結びつきを強めていかなければならない。
�U NPT以後の情勢と当面の活動
2010年NPT再検討会議の閉幕以後も、核兵器廃絶の流れは力を発揮し続けている。
今年の広島平和記念式典にはアメリカを含め、これまで最多の74カ国の大使が出席し、潘基文国連事務総長は、「被爆者が生存している間に核兵器をなくそう」とよびかけ、2020年までの核兵器廃絶の達成を掲げる「2020ビジョン」への強い支持を表明した。
秋葉忠利広島市長も、同日の平和宣言で、7月末に開催した「2020核廃絶広島会議」のアピールに基づき核兵器廃絶を推し進める強い決意を表明し、日本政府に非核三原則の法制化、「核の傘」からの離脱、すべての被爆者への援護策の改善を求めた。田上市長も長崎市の平和宣言で、「核兵器禁止条約を強く支持する」とともに、「核密約」問題を取り上げ、「過去の政府の対応に強い不信」を抱いているとして、日本政府に「非核三原則の法制化に着手すべき」と強く迫った。
次回2015年のNPT再検討会議を焦点に、まもなく開催されるジュネーブ軍縮会議のハイレベル会合、2012年の中東非核地帯会議などを含め、核兵器廃絶への動きが加速している中で、これらの動きは、日本原水協が、国連や多数の国の政府、広島・長崎両市が主導する「平和市長会議」などと協力し、世界的な草の根運動の分野で役割を果たす新たな条件を作り出している。
同時に、このプロセスを促進する上で、日本政府に被爆国政府として主導的役割を果たさせる運動は、いよいよ重要な問題となっている。
8月6日、式典に出席した菅首相は、直後に「核抑止力はわが国にとってひき続き必要」と述べ、内外から強い批判を浴びた。また、菅首相が「日米同盟の深化」を強調しているもとで、首相の諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」は、8月28日、新防衛計画大綱への報告をまとめ、提出した。報告は、批判を浴びていた「非核三原則の見直し」については、「当面、改めるべき情勢にない」と軌道修正した。しかし、集団的自衛権の行使、武器輸出三原則の見直しはそのままであり、核持ち込みについても、「米国の手を縛るべきでない」とする基本的なスタンスは変えていない。
2010年世界大会・国際会議宣言で世界の反核平和運動は、「被爆国日本が『核の傘』に依存することはアジアの平和と安全、『核兵器のない世界』の実現にとって重大な障害」として、憲法9条を守り、「非核三原則」を厳守することにより非核化をめざす日本の運動に強い連帯の意を表明した。
また、その証としても日本がアメリカの「核の傘」から離れ、非核三原則を厳守・法制化することを求め、圧倒的な世論を作り出さなければならない。
(当面の行動)
1、核兵器禁止、廃絶の世論の強化 − 現在の署名の継続と新たな署名の探求
1) 2010年世界大会の報告と署名の促進
原水爆禁止2010年世界大会の報告活動を旺盛に広げ、署名「核兵器のない世界を」を継続・発展させる。完成した大会報告集やDVD(25分)を活用して、報告会、学習会を広げ、また大会に支持・賛同を寄せた自治体の首長、議会の議長・副議長をはじめ、広範な人々に、お礼と報告を兼ね、署名を広げる。
2010年世界大会採択の「すべての国の政府への手紙」に基づき、各国政府に「核兵器禁止、廃絶条約の交渉をすみやかに開始し、締結する」よう働きかける(手紙の送付は執行済み)。
2) 2010年国連軍縮週間にむけた活動
第65回国連総会は、実質審議が9月14日から、第1委員会は10月4日から開始される。この総会がNPT再検討会議の到達の上に、目標期限を設け、核兵器禁止の協議を開始する合意を生み出す場となるよう、世論および日本と各国の政府に働きかける。
10月の6・9行動を皮切りに、2010年国連軍縮週間(24日−30日)最終日まで、「核兵器のない世界を」の署名を中心とする全国宣伝署名行動を行う。
10月21日(木)、22日(金)の両日、署名の国会提出、対政府交渉、各国代表部訪問、シンポジウムないし交流集会などを中心とする中央行動をおこなう(別途実施要綱案を作成)。
署名の到達と要請内容は、適切な形で国連に報告する。
3) 2020年を目標に核兵器廃絶の実現を求める新たな署名について
2020年を目標に、核兵器の全面禁止・廃絶の達成を求める新たな世界草の根キャンペーンの開始を検討する。
世界の多くの政府と国連が目標期限を設けた核兵器の禁止へと大きく動き、広島・長崎をはじめ、「平和市長会議」に結集する内外4000の自治体が共通の歩調をとっているいま、日本原水協には、一貫して核兵器禁止を主導してきた被爆国日本の運動として、この流れと連帯し、草の根から世論の動員を提唱・推進する新たな国内的、国際的役割が生まれている。
そのひとつの、共通の形態は新たな署名キャンペーンである。それは、核兵器の禁止、廃絶条約の実現を求めたこれまでのすべての署名運動の成果を継承するとともに、「核兵器のない世界」の目標が持つもっとも広範な人々の共感を実際に結集しうる明快さと平易さをもつものでなければならない。新キャンペーン発足のために別途、作業グループをつくり、アピール文、推進要綱の作成など、具体化をはかる。
4) 当面の国際活動
上記の企画を具体化し、2011年世界大会の準備へとつなげるために、当面のIPB年次総会(9月23日〜、オスロ)を始め、旺盛な国際活動、国際交流をすすめる。当面の国際活動、国際交流の一環として、欧米諸国、中国、韓国などのアジア諸国とともに、2012年中東非核地帯会議と展望して、中東諸国での原爆展の開催を追求する。
2、核兵器廃絶条約の提唱、「核の傘」からの離脱、非核三原則の実行・法制化を求める運動の促進
1) 「核の傘」からの離脱、非核日本宣言
日本政府に、核兵器禁止・廃絶条約を提唱し、国連総会でコンセンサスを実現するよう求める。日本が米国の「核の傘」に依存している限り、「核兵器廃絶の先頭に立つ」との日本政府の誓約も、国際的な信頼を集めることはできない。
日本政府に対し、「核の傘」からの離脱を宣言し、すべての国に対して核兵器の持ち込み拒否を含めて「非核三原則」を通告し、遵守を求めるよう要求する。
国連総会で、核兵器廃絶の促進と非核三原則を内容とする非核日本宣言をおこなうよう求め、ひき続き自治体・議会の賛同を広げる。
2) 「核密約」の破棄、非核三原則の厳守・法制化、核積載可能艦船の撤去・寄港拒否
米国に対して「核密約」の破棄を通告し、非核三原則の遵守を要求する。神戸の経験に習い、すべての核保有国に、寄港を希望する艦船の「非核の証明」提出を求めるよう要求する。横須賀配備の原子力空母「G・ワシントン」の撤去を求める。
すべての港湾都市の議会と行政に非核「神戸方式」の働きかけをおこなう。日本平和委員会、安保破棄中央実行委員会など関係諸団体と協議し、米艦船の寄港、とりわけ民間港への寄港に対する全国的な監視と運動のネットワーク作りを強める。
3) 「核抑止力」論克服のとりくみ
「核兵器のない世界と日本の役割」「核抑止力論の克服」などをテーマに、全国的な討論会や学習会を企画する。そのために海外を含め、専門家、研究者などの講師の編成を検討する。
4) 普天間基地の無条件撤去、外国軍事基地に反対する全国の運動との連帯
普天間基地の無条件撤去を求める沖縄県民のたたかいを支援する。米軍基地の強化、米軍と自衛隊によるミサイル防衛システムの配備に反対する。
2010年平和大会(12月2日=国際シンポジウム、3日=開会総会、5日=パレード、佐世保)を成功させる。日本原水協が運営責任を負う「核の傘からの離脱、非核の日本」に関わる第6分科会で、各地の運動の必要に応えた充実した報告、討論を準備する。
3、被爆の実相普及、被爆者援護・連帯のとりくみを前進させる
1) 被爆の実相の普及
被爆の実相、被爆体験を知らせる全国の被爆者のとりくみを支援する。国連軍縮週間などさまざまな機会に被爆体験を聞く会、原爆展、映画、演劇鑑賞など、被爆の実相普及の努力を強め、自治体などにも申し入れる。
エジプト(07年)、マレーシア(09年)に続き、海外での原爆展の開催を働きかける。12年の中東非核地帯会議の開催も視野に、海外への働きかけを強める。
これまで出された被爆者の体験や手記、映画などを掘り起こし、活用と普及を進める。そのために被爆者、文化・教育関係者、出版社など関係者との協議を進める。青年の被爆者訪問などのとりくみを全国的に励まし、援助する。被爆写真パネルの作成ないし再刊を検討する。
2) 被爆者援護・連帯の活動
原爆症認定集団訴訟の成果の上に認定行政の改善を求める被爆者の要求を支援する。申請に対する膨大な滞留と却下が行われているもとで、審査内容の開示、公正な審査を求める被爆者の要求を支援する。相談会の開催など、被爆者相談活動を強める。
韓国人被爆者の健康管理手当て打ち切りに対する提訴をはじめ、「被爆者はどこにいても被爆者」の立場で「援護法」の公正な適用を求める在外被爆者の要求を支持する。
「被爆者援護連帯活動のしおり」をつくり、草の根での「援護・連帯」のとりくみを広げる。原水協学校を含め、被爆者援護・連帯講座などを企画・具体化する。
すべての都道府県で被爆者援護2000万円募金を草の根募金として発展させる。被爆者が高齢化する中で「網の目援護体制」のとりくみは急務である。年末のお見舞い活動を節目に、全国で被爆者団体との関係強化、援護体制の強化に着手する。
4、日本原水協の拡大・強化
1) 都道府県・地域原水協の体制強化
NPT・ニューヨーク行動、2010年世界大会のとりくみなどを通じて広がった広範な団体・個人との協力関係を都道府県・地域原水協の強化に活かそう。機関会議の充実、6・9行動や当面の国連軍縮週間をめざす活動などへの参加とともに、組織の体制としても結実するよう、個人役員、専門委員、個人会員、事務局のボランティアなどさまざまな形で、協力体制を広げ、都道府県・地域原水協の強化・発展につなげていこう。
1年の活動の成果を財政につなげ、年末財政活動を成功させる。新たな滞納を絶対につくらず、滞納のある県では克服計画を確認し、2011年に備えて前進を開始しよう。
原水協募金と並んで都道府県・地域原水協の重要な財源ともなっている「ちひろカレンダー」の普及を必ず成功させる。先進的な普及経験に学び、カレンダーの普及がすべての都道府県ですべての地域原水協と加盟団体の共通のとりくみとなるよう、普及の訴えを行き渡らせよう。
2) 次回拡大担当のテーマ(11月30日〜12月1日)
次回の担当常任理事会を拡大会議として11月30日に東京で開催する。それにつづき12月1日には、全国事務局長会議を開催する。事務局長会議では、新たなキャンペーンの推進とともに、都道府県・地域原水協強化のための活動交流を行う。
5、2011年度の主な日程−全国理事会、ビキニデー、世界大会
1) 第83回全国理事会
2011年2月3日(木)〜4日(金)
2) 2011年3・1ビキニデー
2010年代の最初のビキニデーとして、2011年ビキニデーを以下の日程で成功させる。
2月27日(日) 国際交流会議
2月28日(月) 日本原水協集会
3月1日(火) 3・1ビキニデー全国集会
3) 2011年世界大会
8月3日(水)〜5日(金) 国際会議
5日(金)〜6日(土) 世界大会‐広島
7日(日)〜9日(火) 世界大会‐長崎
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