【反核平和運動・原水協の声明と決議】
インド、パキスタンに反核メッセージと広島・長崎被爆組写真を贈ろう
1998年6月
原水爆禁止日本協議会
いま、インド、パキスタンでは、反核平和を願う多くの人たちが、「ヒロシマ、ナガサキをくりかえしてはならない」と、核兵器に反対する運動を広げています。日本原水協は、6月の全国会議で「インド、パキスタンに反核メッセージとヒロシマ・ナガサキ被爆組写真を贈る運動」を呼びかけました。
この運動は、核兵器に反対するインド、パキスタンの人たちを励まそうと願う人が誰でも参加できます。組写真の代金2000円と航空運賃500円、計2500円を添えて日本原水協に申し込むと、組写真があなたの名前を添えて日本原水協から両国の平和団体や学校、さまざまな社会団体に送付されます(申し込み先:原水爆禁止日本協議会 〒105-0004東京都港区新橋6-19-23 平和と労働会館)。組写真に同封されるメッセージは次の通りです。
インド・パキスタンへの反核平和のメッセージ
二一世紀への時代の変わり目をまえに、核兵器のない世界は、いま、世界の人々のなかに切実な願いとなって広がっています。こうしたとき、さきにインド、パキスタン政府によっておこなわれた核実験は、世界の人々に大きな衝撃を与えました。
ヒロシマとナガサキを民族の体験とする私たちは、両国の政府に対していっさいの核開発と実験の計画を放棄し、核兵器保有のくわだてをやめるよう強く求めます。紛争問題の平和的解決が求められているとき、それに反して核兵器を振りかざすことは、核戦争の危険をつくりだし、結局、対立する双方の国でなんの罪もない人々を、それも何世代にもわたって悲惨な犠牲にさらすことになるでしょう。核兵器は人類と共存できないものであり、どのような信条、どのような文明、どのような宗教にとっても許されることのない究極的な破壊と殺りくの道具です。
同時に、私たちは、インドとパキスタンの核開発を止めさせれば、問題が解決するとは思っていません。それは、いま世界の人々を不安に陥れているあらたな核軍拡競争と核戦争の危険の真の原因が、すでに繰り返し指摘されているように既存の核保有国の核兵器のみを正当化し、その保有を「無期限」に保障している核兵器独占の国際的仕組みにあるからです。すでに五十余年前、核兵器はヒロシマとナガサキの二つの都市で使われ、あわせて二十余万の市民を殺し、その後遺はいまなお、三十余万の被爆者を苦しめ続けています。その後、二千回を上回る核実験は、アメリカや旧ソ連など核保有国の国民を含め、広範な人たちのあいだに深刻な核実験被害をつくりだしました。それだけではありません。核兵器は、ヒロシマ・ナガサキ以後も繰り返し実際に使われようとし、その都度、人類と文明は絶滅の危機に追いやられてきたのです。こうした核兵器を「安全保障の手段」とか、侵略に対する「抑止力」とか言って美化し、既存の核保有国がその特権にしがみつきつづけるならば、どうして、他の国々の核兵器保有を思いとどまらせることができるでしょうか。
こうした少数の特権に固執した「核管理」の仕組みは、打破されなければなりません。しかし、それが新たな核保有国の出現によってなされるべきものでないことは自明のことです。実際、インド政府が最初の核実験をおこなってからわずか一ヶ月で、インド、パキスタン両国のあいだには一挙に核実験の応酬と核軍拡競争、ミサイル開発競争が広がりました。これこそ、それまで既存の核保有国が歩んできた核軍拡競争の「悪循環」の縮図に他なりません。
今日の核の不安を一掃する道は、一つしかありません。それは、どの国に対しても例外や特権を与えることなく、すべての国にたいして核兵器の使用、実験、開発、保有、配備、持ち込みのいっさいを禁止することです。そのために核兵器全面禁止廃絶の合意を実現することです。それも、いますぐに。
わたしたちは、インド、パキスタンの両国を含め核兵器を保有するすべての国の政府に対して自国の核兵器の放棄を決意し、核兵器全面禁止廃絶国際協定の実現のために具体的措置をとるよう要求します。これら各国の政府は、いま、全人類に対してそれに着手し、実行する責任を負っています。
同時に、私たちは、既存の保有国、新たな保有国とを問わず、核兵器をもつすべての国の国民のみなさんに呼びかけます。第二次世界戦争後、国連は、人類の生存と安全を守ることを最大の責任と宣言しました。しかし、核保有国やその同盟国の政府は、いまなお、この責任をすすんで果たそうとはしていません。この現状を打破するために、その一つ一つの国で、また、諸国民の意思を一つに結び、すべての国でその政府に核兵器廃絶を迫りましょう。
私たちは、インド、パキスタンの広範な国民が、それぞれの国で政府に核兵器を捨てさせ、これまでそうしてきたように世界の平和世論と力を合わせて核兵器の廃絶の壮大な流れをつくりだす先頭に立つよう呼びかけます。
そのための連帯の印として、私たちは、ここにヒロシマ・ナガサキの被害を伝えるメッセージと写真のセットを贈ります。
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