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プレスリリース:2022年ショーン・マクブライド平和賞受賞者

ショーン・マクブライド平和賞について

 国際平和ビューロー(IPB)は毎年、平和、軍縮、人権のために顕著な活動をおこなった個人または団体に特別賞を授与しています。これらの分野に、1968年から74年までIPB理事長、1974年から1985年までIPB会長を務めたアイルランドの著名な政治家、ショーン・マクブライドは大きな関心を寄せていました。マクブライド氏は、英国の植民地支配に反対する闘士としてキャリアをスタートし、法律を学んだ後、独立を果たしたアイルランド共和国の政府高官にまで上り詰めました。1974年にノーベル平和賞を受賞しています。
 この賞には賞金はありません。
 本年度は、IPB役員会により、この賞を以下の三者に授与することが決定されました。

アルフレード・ルバング(非暴力インターナショナル・東南アジア)
エセット(アーシャ)・マルケット・ガギエヴァおよびユーリイ・シェリアゼンコ
高草木 博

アルフレード(フレッド)・ルバング:

 フィリピンを拠点とし、平和構築、軍縮、非暴力、地域平和プロセスに向けて活動する非政府組織、非暴力インターナショナル東南アジア(NISEA)の一員。応用紛争解決学の修士号を持ち、世界的な軍縮キャンペーンでさまざまな役員を務めました。NISEAの地域代表、フィリピン地雷禁止キャンペーン(PCBL)の国内コーディネーターとして、約30年にわたり人道的軍縮、平和教育、人道的関与の非植民地化に関する専門家として知られています。ルバング氏の所属するNISEAは、地雷禁止国際キャンペーン、軍備管理キャンペーン、国際良心の拠点連合、爆発性兵器に関する国際ネットワーク、殺人ロボット禁止キャンペーンのメンバーを務め、さらに爆撃ストップキャンペーンの共同議長も務めました。フレッド・ルバング氏のたゆまぬ努力と献身なくしては、とりわけ現在戦争が続く中、フィリピンが今日、ほぼすべての人道的軍縮条約を批准している唯一の国にはなっていなかったでしょう。

エセット・マルケット・ガギエヴァとユーリ・シェリアゼンコ:

 ロシアとウクライナの二人の活動家です。平和な世界という二人の共通の目標は、今日、かつてないほど重要なものとなっています。ロシアの経験豊かな心理学者であり活動家であるエセット・マルケットさんは、2011年から人権、民主主義、平和、非暴力の分野で活動し、協力と文化交流を通じてより平和な国の実現を目指しています。心理学と言語学の学士号を持ち、現在はいくつかの女性のエンパワーメントプロジェクトでコーディネーターやプロジェクトマネジャーを務めています。ボランティアとしての立場から、女性やその他の社会的弱者にとってより安全な国を目指し、常に活動を続けています。
 ウクライナの男性活動家であるユーリイ・シェリアゼンコさんは、長年にわたり平和、軍縮、人権のために活動し、現在はウクライナ平和主義運動の事務局長を務めています。良心的兵役拒否のためのヨーロッパ事務局と、「戦争を超えた世界」の役員であり、キエフのKROK大学法学部で講師と研究員を務めています。ユーリイ・シェリアゼンコさんはまたジャーナリストであり、ブロガーとして、粘り強く人権擁護に努めています。アーシャ・ガギエヴァさんとユーリイ・シェリアゼンコさんは、IPBウェビナーシリーズ「ウクライナとロシアのための平和の声」などで、現在進行中のウクライナ戦争に反対して声をあげ、不当な戦争に直面した時の決意と勇気がどのようなものかを私たちに示してくれています。

高草木 博:

 公正な平和、核兵器廃絶、社会正義のために生涯を捧げた功績により受賞。高草木博さんは、学生および国際青年運動のリーダーとしてキャリアをスタートし、やがて原水爆禁止日本協議会(原水協)の活動に参加するようになりました。原水協のいくつかの役職を経ながら、高草木さんは運動にビジョン、戦略的思考、献身を示し、日本全国の核兵器廃絶運動、核兵器廃絶をめざす国際的なキャンペーン、原水協が毎年開催する原水爆禁止世界大会に活力を与えてきました。原水爆禁止世界大会では、国連高官や各国大使、軍縮分野の有力者の会議参加を実現するなど、主導的な役割を果たしました。このほか、被爆者に対する細やかな気配りとたゆまぬ支援、社会運動の間に団結を作り出す能力は、高草木さんの繊細さと指導者としての質の高さを物語っています。40年にわたる軍縮・社会運動への貢献を経て、現在は日本原水協の代表理事を務めています。


草木博さんを2022年IPBマクブライド賞に推薦

 7月のIPB役員会に提案された、ジョゼフ・ガーソンさんによる高草木さんの推薦理由書です。

 私たちは、高草木博さん(現日本原水協代表理事)を本年度のショーン・マクブライド平和賞の候補者として推薦します。高草木さんは、その謙虚な人柄とは対照的に、日本の地域や全国レベルでの運動構築において重要な役割を果たしてきました。核兵器廃絶のための国際的キャンペーンを、団結して目標を明確に進めるために必要なビジョンと英知を発揮し、運動を組織しました。
 タカさんは、公正な平和、核兵器廃絶、社会正義のために献身的に活動し、並外れた人生を送ってきました。学生運動・国際青年運動のリーダーとして、原水協の国際部責任者、事務局次長、事務局長、国際平和ビューローの執行委員、副会長、そして原水協の代表理事として、常にリーダーシップと影響力を発揮してきました。
 原水協が毎年開催している原水爆禁止世界大会は、数少ない世界で最も影響力のある核軍備撤廃をめざす国民的運動の基盤となっています。世界大会をはじめ原水協の諸活動は、世界の核軍縮運動に対し、一貫したビジョン、インスピレーション、そしてリーダーシップを提供しています。
 本人は否定するでしょうが、この40年間、タカさんは、ビジョン、思いやり、戦略的思考、妥協のない誠実さ、献身、そして時には繊細な組織力を提供し、日本の全国的な核廃絶社会運動や、多くの重要な国際的イニシアティブに活力を与えてきました。タカは、日本全国のそして国際的な多くの人々の模範であり、インスピレーションの源となってきました。1984年に原水協事務局の一員となって以来、タカさんは、核兵器廃絶と平和のために原水協が国内外において主導的な役割を果たせるよう、さまざまな面で原水協の再編成と向上に主導的な役割を担ってきました。世界大会に加えて、こうした取り組みには、国内外で被爆者に発言の場をつくる支援、太平洋島嶼国やアジア、北米諸国の核実験・核兵器製造の被害者との交流、国連ミレニアムフォーラム(2000年5月)やハーグ平和アピール(1999年)への「グローバルヒバクシャ」代表団の組織化などが含まれます。これらは、タカさんの被爆者への心遣いと被爆者からの深い信頼があったからこそ実現したものでした。原水協の被爆者への支援は、核兵器禁止条約の交渉開始に至る「核兵器の人道的影響に関する会議」への道筋をつけることにつながったのでした。
 タカさんは、毎年広島と長崎で開催される原水爆禁止世界大会に国連高官や大使などの参加を実現するなど、世界大会の進化に主導的な役割を果たしました。参加した女性や男性の高官たちは、日本や海外の運動のリーダーや活動家に貴重な分析や情報を提供するとともに、被爆者や日本の運動から学び、刺激を受け、原水協やパートナー団体の取り組みと協力し強化する方法を見出してきました。タカさんはまた、2010年と2015年の「平和と地球」行動の構築にかけがえのない役割を果たしました。この行動を通じて数万人の平和活動家が数百万筆の核兵器廃絶署名を集めてニューヨークと国連に参集し、五大核保有国にNPT第6条に盛り込まれた核兵器廃絶の約束の履行を迫るキャンペーンを繰り広げました。
 日本と世界の運動家、指導者、被爆者、外交官からタカさんへの信頼、尊敬、称賛を勝ち得た資質には、次のようなものがあります。

  • 核兵器廃絶、平和と正義への献身的な取り組み。
  • 一緒に仕事をするすべての人に対する誠実な配慮と気配り、そして深い傾聴。
  • 対立する進歩的勢力間の協力関係を含め、運動の結束を築くための忍耐力と能力。
  • 人々にふさわしい機会を提供すること。
  • 被爆者に対する愛情、心遣い、友情、絶え間ない支援。
  • イラクやウクライナの侵略に対応し、運動の団結を作り上げるなど、なすべきことを的確に把握し伝える一貫した姿勢と能力。
  • 戦略的な忍耐力、繊細さ、ユーモア、そして表に出さない自己犠牲の精神。
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