WWW search Gensuikyo search
 

 

 

 

2000年再検討会議とその準備委員会会議に関する
非同盟諸国運動参加国および核不拡散条約締約国の見解

(1997年4月)
(部分のみ)


I. 実質的な問題

一般的見解
1. 核兵器の不拡散に関する条約(NPT)締約国の2000年再検討会議にむけた準備委員会の今度の会議は、同条約の前文と条項の目的が全体として実現され、同条約締約国の1995年再検討延長会議でなされた誓約が果たされるように、私たちがひき続きおこなっている同条約の実践過程の見直し強化の努力において、新しい時代の先駈けとなるだろう。

2. 1995年再検討延長会議の決定と決議は、全体の一部分として肝要な共通の保証となっている。この**不可欠性**は維持され、尊重されるべきである。

3. この条約は、核兵器の垂直・水平拡散を停止する重要な協定である。国際社会は、核兵器の完全廃絶を達成するという観点から、核保有国と非保有国との間の相互義務および責任の公平な均衡にむけて努力すべきである。

4. カルタヘナ首脳会議において、NPT締約国かつ非同盟諸国運動に参加する国あるいは政府の首脳は、1995年再検討会議で採択された決定と決議に沿って、すべての国とりわけ核保有国にたいし、自分たちがおこなった誓約とりわけ以下の誓約を完全に果たすよう求めた。
(a)条約の普遍性の達成
(b)核兵器の使用・使用威嚇からの非核保有国の保護を保証する法的拘束力をもつ協定の締結
(c)兵器目的のための分裂性物質とその他の核装置の禁止
(d)一致した優先課題とされねばならない、核兵器とその他の大量破壊兵器の廃絶
(e)非核地帯の設置
(f)例外なくすべての締約国にたいする、平和目的のための核技術の制限されないかつ無差別な譲渡

5. 近年、軍縮において重要な前進が成し遂げられた。とりわけ、化学兵器の開発、生産、貯蔵、使用の禁止とその廃棄に関する条約の締結と発効、包括的核実験禁止条約履行のための準備プロセスの採用と開始、過度に傷害を与えまたは無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止または制限に関する条約の修正議定書IIと議定書IVの採択、東南アジア(バンコク条約)およびアフリカ(ペリンダバ条約)非核兵器地帯の設置に関する条約の締結である。これは、事実上、南半球全体が非核兵器地帯で占められることを意味する。また、核兵器の威嚇および使用の合法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見があげられる。しかしながら、非同盟諸国運動は、今も目前に多くの重要な課題、とくに核軍縮のための将来の議題を具体化する課題が残されていると考えている。

6. きたる準備委員会会議の目的は、NPTの条項の全面的な実施および全般的遵守を促進する方法を考究し、2000年再検討会議に勧告をおこなうこととなるだろう。準備委員会会議は、再検討会議が同条約条項の全面的な実現と効果的な実施を評価し、将来さらなる前進が追求されるべき分野を明らかにできるように、1995年の「再検討過程の強化」および「原則と目的」に関する決定で考慮された「実質的な貢献」をするべきである。

7. 2000年再検討会議にむけた準備は、同条約に記された目的を実現する機会を与えるものである。再検討会議の成功にむけ、準備委員会は、会議の検討のために提出されることになる、最終文書の基礎としてのローリングテキスト(回覧草案)作成のために、実質的な準備をおこなうべきである。この点から、非同盟諸国運動は、以下の予備的見解を述べるものである。

普遍性
8. NPT締約国は、同条約の普遍性を達成する緊急性と重要性を強調する。
9. 準備委員会会議と再検討会議は、とりわけ核能力を有する諸国の条約早期加盟によってこの条約の普遍性を達成する方法と手段を考究するべきである。

不拡散
10. この条約は、核兵器の不拡散をあらゆる面で維持するという点で、重要な役割を担っている。国際社会は、締約国による核エネルギーの平和利用を妨げることなく、核兵器とその他の核爆発装置の拡散を防止するための可能なあらゆる努力をおこなうべきである。

核軍縮
11. 締約国は、核軍縮の段階的プログラムに関する交渉開始と核兵器条約を含む期限を区切った核兵器完全廃絶のための核軍縮特別小委員会を、優先課題として設置するよう、軍縮会議に対し勧告をおこなうことに合意すべきである。すべての締約国を核兵器完全廃絶および、核兵器とその他核爆発装置用の核分裂性物質の生産・貯蔵を禁止する条約の交渉開始に関与させる、普遍的で法的拘束力のある多国間協定が締結されるべきである。この核軍縮に関する特別小委員会は、軍縮会議の21カ国グループに属する28カ国が提出した核兵器廃絶のための行動計画提案およびこの点における他の既存の諸提案や将来のイニシアチブを検討する。この中で、核兵器保有国は、条約第6条に述べられている、核軍縮に関する効果的な措置につき誠実に交渉をおこなうという自らの誓約に配慮し、柔軟なアプローチを採用すべきである。

12. 核兵器保有国は、核の脅威の段階的な削減と、核兵器の漸進的で大幅な削減の段階的プログラムを実施し、核兵器完全廃絶をめざす効果的な核軍縮措置を実行するという誓約を表明すべきである。

安全保障の確証
13. 核兵器の完全な廃絶は、すべての非核兵器保有国を核兵器の使用・使用脅迫から守る唯一の真の保証である。その目標が達成されるまでは、非核兵器保有国が核兵器の使用・使用脅迫から守られる安全保障を確実なものとする、法的拘束力のある消極的安全保障確証体制が、緊急に決定されなければならない。この点については、非核兵器保有国を核兵器の使用・使用脅迫から確実に保護するような国際的に法的拘束力のある措置を講ずるという考えに対して、原則として、軍縮会議および国連総会において反対意見は存在しない。よって、締約国は、2000年条約再検討会議にむけた準備委員会の中で、非核兵器保有国を核兵器の使用・使用脅迫から確実に守る法的措置をNPTの付属議定書として設けることに関する交渉をおこなうことに、合意すべきである。

核分裂性物質
14. 締結国は、軍縮会議の中で、核兵器とその他核爆発装置用核分裂性物質の生産・貯蔵禁止条約を締結することを支持している。そのような条約が、無差別的で、検証の実効性があり、普遍的に適用されるものであれば、それは核軍縮と不拡散に重要な貢献をなすものとなるだろう。

保障措置
15. 国際原子力機関(IAEA)の保障措置は、各国が条約第3条の誓約を遵守していることを保証するうえで不可欠の要素である。第3条で必要とされる保障措置協定をまだ締結していないすべての締約国は、速やかにこれをおこなうべきである。

16. NPT締約国である非同盟運動参加国は、原料物質もしくは特殊核分裂性物質または特殊核分裂性物質の処理、使用もしくは生産のために特に設計されもしくは作成された設備もしくは資材の、非核兵器保有国への移転のために、新たな供給取り決めを結ぶ際には、必要な前提条件として、全面的な保障措置の受け入れがなされねばならないと信ずる。

17. 軍事利用目的から平和活動目的に移転された核物質は、IAEAの保障措置のもとに置かれねばならない。

核エネルギーの平和的利用
18. 無差別に、平和的目的の核エネルギーの研究、生産、利用に参加するという、NPT全締約国の奪い得ない権利は、核兵器保有国、非保有国にかかわらずすべての締約国によって等しく再確認されねばならない。また、平和的目的の核技術の、全締約国への無差別の移転が、完全に保証されることが不可欠である。締約国は、条約第6条の実施についての自らの誓約を再確認すべきである。

19. 当条約で必要とされた保障措置を越えて一方的に強制された制限的措置で、平和的な核開発を妨げるものは、撤廃されるべきである。

20. 核エネルギーの平和的利用を促進するためのすべての活動においては、とくに開発途上国のもつ必要性を考慮して、条約締約国である非核兵器保有国に対して特恵的な待遇が与えられるべきである。

非核兵器地帯
21. NPT第6条および非核兵器地帯設置に関する1995年再検討延長会議の諸決定を考慮し、締約国は、締約国が一国あるいは集団でおこなう非核兵器地帯条約締結のための措置に支持を表明すべきである。そして、それらが存在しない世界の他の地域において、当該地域諸国間で自発的に達成された合意に基づく、核不拡散体制強化と核軍縮の目的実現にむけた措置としての、そのような地帯を設置する提案を、支持すべきである。締約国は、中央アジアにおいて地域諸国間に自発的に合意された非核兵器地帯設置のイニシアチブを歓迎すべきである。

22. 締約国および、トラテロルコ、ラロトンガ、バンコク、ペリンダバ各条約の調印国は、これらの条約に展望された共通の目標を促進し、核兵器のない南半球および近隣地域の地位の強化などを含む、協力にむけたさらなる方法および措置を探求し実施すべきである。

中東に関する決議
23. 1995年再検討延長会議で採択された中東に関する決議の実施においては、なんら進展が得られなかったことに留意せねばならない。準備委員会会議は、この面で達成される進展に関して再検討会議に報告をおこなうために、この決議の諸項目の実施について後追いをすべきである。

24. この決議の採択以来、中東においては、NPT遵守に関して新たな状況が生れている。アラブ首長国連邦、ジブチ、オマーンが最近NPTに加盟したことにより、イスラエルを除くすべての中東諸国がNPT加盟国であるというのが、現状である。

25. 非同盟諸国運動は、条約の普遍性と不拡散体制全体を強化するという観点から、この決議が、できる限り早く実施に移されるべきであると確信する。この点において準備委員会は、最近、当条約への加盟が相次いだことを歓迎し、イスラエルに対し、これ以上の遅滞なく条約に加盟し、その核施設をIAEAの全面的な保障措置のもとに置くよう呼びかけるべきである。

26. さらに、準備委員会は、直接当事国すべてが、中東地域諸国間で自発的に合意されるべき非核兵器地帯設置のために必要とされる実質的かつ緊急な諸措置の開始に真剣な取り組みをおこなうための方法および手段を勧告すべきである。

27. 核兵器の不拡散に関する条約の寄託国は、1995年再検討延長会議に採択のために提出した決議案の共同提案国として、またこの採択された決議が、3つの決定および当決議から成る同会議の、一括した結論の不可欠の部分であることからして、この点において特別な責任を負う。

(「II. 組織問題」以下略)

table

このページの最初へもどる あるいは GensuikyoのTop Pageへもどる

Copyright (C) 1996-2011 Gensuikyo. All Rights Reserved.
日本原水協 〒113-8464 東京都文京区湯島2-4-4 平和と労働センター6階
Tel:03-5842-6031 Fax:03-5842-6033 
お問い合わせフォーム