2004年原水爆禁止世界大会

原水爆禁止2004年世界大会

国際会議

国連ジュネーブ事務所常駐メキシコ代表/新アジェンダ連合

ルイス・アルフォンソ・デアルバ大使

核兵器廃絶の展望

 来年は、ここ広島と長崎で起こった人道上の大惨事という、決して繰り返されてはならない悲劇から60年目の年です。核兵器の廃絶という目標に、私たちがどれだけ近づいたかを検討する機会になるべきです。ご存知の通り、残念ながら、さほど前進はみられていません。60周年は、核兵器廃絶という共通の目標に向かう私たちの歩みに、あらたな勢いをあたえる年にしなければなりません。

 2005年には、あの惨事の記念以外に、核不拡散条約の実行状況を再検討するチャンスがまためぐってきます。とくに条約の第6条にもとづく核軍縮の約束の履行状況、2000年の13の措置と核保有国がおこなった、軍縮につながる自国核兵器の完全廃絶を達成するという明確な約束の実行状況を検討するのです。この約束はすでになされたものであり、新たな約束をする必要はありません。必要なのは約束の実行です。

 2005年再検討会議は、テロリズムと核兵器拡散への懸念が広がる、世界の安全保障が不安定になっている状況で開かれます。テロリズムにたいしてであれ、拡散にたいしてであれ、世界の安全は、核兵器廃絶とそして核兵器が二度と作られないことを確実にすることでのみ達成できることを、私たちは見失ってはなりません。

 新世代核兵器が開発されていること示す兆候もまた、気がかりな問題です。新型核兵器は、開発はおろか開発の計画だけでも、NPTの枠組みでなされた約束の重大違反であり、国際安全保障の強化をめざす国際社会の努力を損なうものです。私は、後者の問題が2005年再検討会議の全体の枠組みをある程度、要約しているよう思います。

 2000年以降の、13項目措置の実施進捗状況を詳しく見てみると、やはり状況はあまり期待できるものではありません。

 包括的核実験禁止条約(CTBT)という、NPTの本質をなす要素がいまだ発効していない状況には失望を覚えます。とくに気がかりなのは、この条約に対するアメリカの態度で、アメリカ政府は、いとも簡単に、CTBTという措置はもはや有効でなくなったと発言し、国際社会全体がこの乱暴な言葉を容認しているかのように振舞っていることです。新アジェンダ連合が表明してきたように、どの核保有国によるものであれ、核実験再開に向けたどんな動きも、国際の平和と安全に逆行するのです。

 軍縮会議(CD)の展望もあまり明るいものではありません。CDは、2004年度の会期を開始していますが、作業日程の合意に近づいているとはいえない状態にあります。CDが協議を再開し、核軍縮をあつかう補助機関を設置することが、不可欠な課題となっています。

 分裂性物質禁止条約の交渉にかんしては、ささやかな進展の兆候が見られます。そうであっても、この条約が効力あるものとなるためには、すでに蓄積されている分裂性物質と検証メカニズムの問題を取り上げる必要があります。これまでのところ、この問題で特別の責任を負っている国々は、検証能力の低い機構をつくろうとしておいますが、私たちの見方では、これは求めている目標を達成するには不十分です。

 宇宙における軍拡競争阻止の問題では、今年の中国とロシアの動きには希望が持てます。それ以外の国は、残念ながら、両国に倣った行動をとっていません。

 モスクワ条約に関して言えば、これを正しい方向への一歩と認めなくてはなりませんが、これが果たして効果的な核軍縮なのかはまだ疑問が残ります。すでに配備されている核兵器の削減は、核兵器の完全廃絶にむけた逆戻りできない削減に取って代るものではありません。透明性と検証機構がないことも問題です。

 非戦略核兵器の分野でもほとんど進展がありません。この点で、新アジェンダは、1991年と1992年におこなわれた〔米ロ〕大統領による核構想を正式化することで、この構想を透明性があり検証可能で不可逆的な措置とすることを呼びかけています。

 信頼性の向上にむけた報告の問題についても、まじめに問題を議論しようとしていない核保有国の態度に驚かされます。

 こうしたシナリオを見るなら、2005年再検討会議に向けた最後の準備委員会において、核保有国が、2005年会議の議題に2000年の成果を特別に位置づけたくなかったわけが分かります。これは残念なことで、極めて真剣に取り組まれる必要があります。

 現時点で、2005年再検討会議が成功する見込みはそう高くはありません。ですから、核軍縮を約束したNPT加盟国がすべきことは、すでに勝ち取られた成果を守り、これらの約束の実行に向けて努力することです。難しい仕事になるでしょう。しかし、不可能だとは思いません。NPTのあらゆる側面を支持している国が圧倒的多数を占めているからです。私たちは、市民社会とNGOの支援も頼りにしています。

 今後、広島、長崎の惨事の60周年を契機にして、私たち全員が共同して行動し、2005年再検討会議で積極的な結果をだすことの重要性について世の中の認識を高めていかなくてはなりません。私たち、市民社会と政府の全員が努力しなくてはなりません。市民社会の役割は、核兵器のない世界という私たち共通の目標をまだ支持していない政府のある国の世論を高めるうえで、とりわけ重要です。59年前に亡くなられた何十万人もの罪の無い犠牲者のためにも、目標達成にむけ決意を新たに進もうではありませんか。

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