原水爆禁止2002年世界大会
国際会議

ボ・アン・トゥアン
ベトナム平和委員会副会長


議長、
 始めに、実行委員会にたいし、この重要な原水爆禁止世界大会へのご招待に感謝するとともに、日本の友人のみなさんの歓迎と温かいもてなしにお礼を申し上げます。また、ベトナム平和委員会およびホーチミン市平和委員会から、日本および各国の反核・平和組織の代表の皆さんに心からの挨拶をお送りします。

 57年前、アメリカは広島、長崎に2発の原爆を投下し、二つの都市を完全に破壊し、数万人の人々を殺しました。今でもなお放射線の影響は生存者の生命を脅かし、環境を深刻に汚染しています。

 植民地主義者と帝国主義者が引き起こした長期にわたる戦争、特に数百トンの広島、長崎の原爆に等しい、数百万トンの爆弾を使用し、ダイオキシンを含むエージェント・オレンジを散布したアメリカによる戦略戦争の被害を受けたベトナム人民は、日本の原爆被害者の皆さんの被った多大な被害に深く同情しています。私たちは、勇敢に死とたたかってきた被爆者の皆さんにたいし、ベトナムの平和活動家の友情と連帯を再度表明します。

 20世紀の最後の年に開催されたNPT再検討会議で、核保有5カ国を含めた合意が、紙の上だけの合意になってしまったのは悲しいことです。当時、核保有国は「保有する核兵器を完全に廃絶する明確な約束」をしたのです。

 これまでの国際情勢の流れは、核保有国には核兵器を廃絶する意志がないことを証明しています。それどころか、核独占を特権的に維持する方法を見つけました。特にアメリカ政権は、「国家安全保障」を口実として、他の核保有国にたいする優位性を確立し、一連の「一国行動主義」の措置を実施することで、世界的覇権を実現しようとしています。このような政策の恐るべき側面が、ミサイル防衛計画です。

 アメリカ政権は、1972年にソ連と調印し、国際社会から世界の戦略的安定、平和、安全保障のかなめ石と評価されたABM条約から一方的に離脱してしまいました。ミサイル防衛を自由に開発するために、ABM条約から離脱したアメリカ政権は、核攻撃からアメリカを守ると同時に、他の国には第一撃攻撃を加えられる特権を維持するという野望を抱いています。このような行動が、全世界に広く懸念と強力な反対を引き起こしていることは明らかです。世界の人々には、ミサイル防衛計画が、軍備管理と軍縮の努力にとって大きな打撃であり、宇宙を含め新たに軍拡競争を引き起こし、軍縮関連の条約体制の完全な崩壊とその重大な影響につながることを心配する当然の理由があります。

 これを背景にして、またこれまでの世界大会の達成した成果をふまえて、今年の世界大会の主要テーマ「核兵器のない平和で希望ある世界を」は重要な意義をもち、必ずや成功するでしょう。

 ベトナム平和委員会とホーチミン市平和委員会は、世界平和評議会の150以上の加盟組織、および平和をめざし核兵器に反対する各国、国際組織と連帯・協力して、核保有国に以下を迫っています。

—非核保有国にたいして核兵器を使用しないと約束すること
—核兵器廃絶の合意を実現する交渉を直ちに開始すること。

 こんにち、ベトナム人民は30年の戦争で破壊された祖国の再建に努力しています。15年間、刷新政策を実施した結果は、希望のもてるものです。わが国の国民は、全員の繁栄、社会的平等、民主主義、文明の、東南アジアと世界の平和、安定、協調の大義に貢献する国を一歩一歩建設しつつあります。しかし、戦後の困難は依然として大きいものがあります。数百万の人々がエージェント・オレンジにやられ、環境破壊は深刻です。その他に数百万人の孤児や障害者がいます。

 この機会をお借りして、ベトナム人民は、救国戦争のあいだに貴重な支援と、現在の祖国再建にたいする友情、物心両面からの支援や協力をいただいた友人、個人、平和組織にたいし、深い感謝を表明します。

ご清聴ありがとうございました。