原水爆禁止2001年世界大会
長崎・開会総会(8月7日)

日本青年団協議会
東 和文


  核兵器のない、真に平和な二十一世紀の創造をめざし、ここ長崎の地にお集まりの皆さん。幅広い世代の方々が結集されている世界大会の開会総会にあたり、地域社会の将来を担う青年を代表して、ひとこと激励と連帯のご挨拶を申し上げます。

  今年、結成五十周年目を迎える私たち日本青年団協議会は、発足以来、かつての戦争を真摯に反省し、「青年は二度と銃を取らない」という精神のもと、一貫して平和運動に力を注いできました。中でも、ヒロシマ・ナガサキで心と体に大きな痛みを受けた被爆者の声に耳を傾け、非人道的な核兵器の恐ろしさや世界に広がる核実験被害の実相を学びながら、核兵器廃絶を一日も早く実現するため、様々な市民団体と連携して運動に取り組んでいます。

  小さな町や村で「原爆展」を開催したり、子どもたちや女性たちとともに私たち青年が被爆者を囲んでその体験をお聞きするなど、地域における地道な取り組みもその一つです。また、ヒロシマやナガサキにはなかなか足を運ぶ機会がない若者たちでも、全国の仲間たちとの連帯を身近に感じられるよう、携帯電話を利用した「平和のメッセージ」の募集にも取り組んでいます。また、核実験の犠牲となった久保山愛吉さんのご家族が育てていたバラを、平和のシンボルとして全国の地域青年団で育てていこうという取り組みも始めました。

  こうした運動の中心にはいつも被爆者の存在があったことを忘れることはできません。五十六年前の夏に、想像を絶する熱線、爆風、放射線に襲われた被爆者の方たちから私たちは多くのことを学んできました。被爆の苦しみに耐えながら、「二度と被爆者をつくるな」という崇高な目標をかかげて運動をすすめる姿勢から、私たちは歴史の主体者として未来を切り開くということを改めて教えられます。若者や子どもたちが未来に希望を抱きにくくなっている現在、被爆者のみなさんの壮絶な人生は、次代を生きる私たちをおおいに励ましてくれます。被爆者のみなさんの高齢化がすすむ中、私たちは被爆体験を継承できる最後の世代として、ヒロシマ・ナガサキの被爆の実相を伝えていく重大な責務を感じるものです。

  被爆者のみなさんの切実な願いにも関わらず、地球上には未だ三万発を超える核兵器が存在しています。圧倒的多くの市民が核兵器の存在に脅威を抱いているのに、廃絶に向けた具体的なプロセスは示されていません。そればかりか、アメリカの新たなミサイル防衛構想により、核軍拡競争がふたたび展開される危険性も出てきました。

  しかも、こうした政策を、アメリカのみならずヒロシマ・ナガサキを経験した日本政府も追随し、推し進めていこうとしています。日本政府には、国際社会の中で被爆国として核兵器廃絶の積極的なイニシアチブを発揮する義務があるはずです。それなのに、未だ核抑止という古い神話にしがみつこうとする日本政府の姿勢に私たちは疑問を抱かざるをえません。

  日本政府のこうした姿勢を転換させるため、いまこそ私たちが思想、信条を超えて連帯し、運動を起こしていく必要があります。核兵器廃絶という人類生存のための崇高な目標をかかげ、多くの人々の声をまとめあげることが求められています。そして、こうした運動の中で、次代をになう若者や子どもたちが、新たな希望をもてるようになるということを、みなさんといっしょに訴えていきたいと思います。

  ここ長崎の地で、被爆の実相を継承・普及し、核兵器廃絶の世論を巻き起こしていく決意を改めて表明し、全国の青年団を代表して連帯のメッセージとさせていただきます。

ともに頑張りましょう。


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