原水爆禁止2001年世界大会
国際会議

グリーン・コリア・ユナイテッド(韓国緑色連合)
李・侑珍(イ・ユジン)


アンクル・サム(アメリカ)の真の狙い


  7月27日現在、アメリカのコリン・パウエル国務長官が最近韓国を訪問したばかりなのに、今度はジョージ・W・ブッシュ大統領が、10月に韓国を訪問する予定です。これらアンクル・サムの象徴ともいえる2人が相次いで韓国を訪れる理由はなんでしょうか。金大統領の「太陽政策」にたいして強力な支持を表明するためでしょうか。ちがいます。彼らは韓国政府にアメリカのミサイル防衛を受け入れさせ、イージス艦をふくむ兵器をもっと買わせるためにやって来るのです。

  ブッシュ大統領は、アメリカの経済危機を真剣に心配しています。この危機をくい止めるため、彼は軍需・戦争産業を活性化しようとしていますが、これは人類にとって潜在的な脅威です。ミサイル防衛は、アメリカの戦争産業の活性化のための政策なのです。

  朝鮮半島は、このMD政策の中心に位置しています。ブッシュは、MD政策を、北朝鮮やイラクなどの"ならず者国家"から地球を守るものとして正当化しています。

  アメリカ軍部は、すでに韓国でMD政策実施の基礎作りを始めました。7月18日に、彼らは4,000万坪(約1億3200万平米)の土地の返還計画を発表したのです。この土地は現在、在韓米軍が使用していますが、アメリカは土地再調整計画のもと、今後10年間でこれを韓国に返還するというのです。今回発表された返還計画は、「土地パートナーシップ計画(LPP)」とよばれ、アメリカ政府はこれに基いて、4,000万坪の土地の返還と交換に、韓国政府に75万坪の新しい土地の供与を求め、そこに統合基地と訓練施設を建設するつもりなのです。MD計画を実施に移すためには、アメリカはまず複合基地と航空優勢基地体系を用意しなければならないからです。

  4000万坪の土地を韓国の国民に返還する。これは、まるでアメリカが、韓国国民にパイの大きな一切れを切り与えてくれるように聞こえます。 しかし、現実はそうではありません。

  返還すると言っている4,000万坪の土地のうち、約3,900万坪は米軍が殆ど使用しなくなった訓練施設が占めています。これまで、在韓米軍は、韓国国民のこの土地への立ち入りを禁止するために保持してきたのです。

  さらに、問題となっている基地や射爆場の多くは、米軍の新しい土地計画から除外されています。しかし、韓国国民は、メヒャンリにあるヨンサン駐屯基地やクーンニ射爆場をはじめ、全国の大都市の市街地にある米軍基地の移転あるいは閉鎖を、長年にわたって要求してきました。

  環境の視点から見て、返還される4000万坪の土地の土壌や水質汚染はどうなっているのでしょうか。これまでにも、米軍基地で一連の環境汚染事故がおきています。ヨンサン第8駐屯基地当局は、基地内の土壌と水質の油汚染が深刻であることを明らかにしました。また、キャンプ・インディアンではアスベストが見つかっています。

  韓国は、この汚染地域の再生にどれだけの資金が必要かを把握しています。在韓米軍が返還する土地は、そのままでは住宅も子どものための幼稚園も建てることはできません。

  在韓米軍は、新しい基地と訓練施設のために75万坪の新たな土地を要求しています。

私たちは改めてノーと言います。
米軍の土地使用をゆるすな!
戦争準備のための土地提供をゆるすな!
核兵器配備のための土地提供をゆるすな!

  土地再調整計画は、韓国半島における米軍の駐留を永久化させ、韓国でミサイル防衛計画を準備するというアメリカの構想の一環に他なりません。

  この計画は、ブッシュ政権のもとでのアメリカが、海外基地と地上軍中心の戦略から、急速対応能力と長距離兵器中心の戦略へとシフトしたことに基いていますが、1つ決定的な要素が欠落しています。それは受入国の国民の感情と生存権です。その結果、演習場周辺の住民は怒り、大規模な抗議行動を計画しています。

  現在、韓国には95の米軍基地があり、37,000人の兵員が駐屯しています。メヒャンリ村民は、在韓米軍とロッキード・マーチン社に反対してたたかっています。半世紀にわたって、ここでは絶え間ない射爆訓練が行われ、事故で11人の命が奪われました。メヒャンリの村民は、殺され、病気にされ、生活の糧を破壊されているのです。

  韓国政府によれば、1999年に米兵が韓国の民間人にたいして犯した犯罪の件数は761件にのぼります。このうちの多くの場合、米兵は懲罰や被害者への補償などを科されることなく、釈放されています。韓国人のホステスを、言葉にできないようなやり方で殺害したとされる容疑者でさえ、殺人罪で罪に問われることはありませんでした。彼らが韓国の法律で処罰されることはありませんでした。起訴前に米兵容疑者の身柄を拘束する権利を韓国がかちとったのは、ようやく今年になってからのことです。日本は同様の改定を5年前に行っています。

  環境に関して、在韓米軍は韓国の国土をゴミ箱と見なしているようです。最近、ソウル市と在韓米軍は、ヨンサンの主要米軍複合施設一帯の地下水と土壌が汚染されていることを認めました。ヨンサン基地で起きたオイル漏れが確認されたことで、ノクサピヨン地下鉄駅付近のマンホールや貯水槽で見つかった油汚染源が米軍基地ではないかという疑いはさらに強まりました。

  現在の地位協定のもとでは、この種の環境災害にたいして私たちは何もできません。例えば、480本のホルムアルデヒド瓶の中身をハン川に捨てるように部下に命じた張本人(マクファーランド氏)でさえ、在韓米軍のなかで昇進したのです。彼は今でも基地内の遺体安置所で仕事をして、今でもホルムアルデヒドを取り扱っています。

  なぜ、このような無原則なことが韓国で起こるのでしょうか。米軍が韓国にいて、不平等な地位協定がいまでもあるからです。今では、米軍が韓国に駐留しているのは韓国を守るためだと考えている国民は一人もいません。米軍が韓国に駐留しているのは、アメリカの利益を守るためであると誰もが知っています。

  米軍基地反対運動は韓国の国民のあいだに広く浸透しています。私たちは、米軍の被害に苦しめられているのは韓国だけではないと思っています。日本の沖縄、プエルトリコのビエケスなども同じ運命です。私たちがここに集っているのも、そのためです。

  こんにち、韓国国民は、日本の新しい教科書問題、ガイドライン、閣僚の靖国神社参拝などを深く憂慮しています。これらはまさに東アジア全体の問題になっています。私たちは日本国民が、これらの問題の解決の機会をとらえそこなうことがないよう願っています。もし日本が歴史を否定し続ければ、日本が孤立化することになると私たちは危惧しています。

私たちが求めているもの、それは平和です。戦争や人殺し、流血ではありません。
世界から核をなくすことです。
世界から核兵器をなくすことです。
戦争産業の工場が全て閉鎖される日まで、
みんなで平和を築いていこうではありませんか!

*ノーム・チョムスキー著「What Uncle Sam Really Wants」 Berkeley: Odonian Press, 1986-92.


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