原水爆禁止2001年世界大会
広島(8月6日)

米軍の低空飛行の即時中止を求める県北連絡会会長(君田村長)
藤原 清隆


米空軍の低空飛行の即時中止を求めるとりくみ


  私は広島県北部の小さな村の村長であります。中国山地にある村ですから、そのほとんどは山林であり、その谷間に農地があり、家屋が点在した集落を形成して、静かな平穏な生活を営んでおりました。ところがいまから7年前、94年頃から、一瞬耳をつんざく轟音で何事が起きたか住民はなすすべもないまま、繰り返される轟音に悩まされ、行政へ苦情を寄せておりましたが、行政としても県へ対応をお願いする以外方法がなく、県としてもなかなかはっきりとした答えは返ってきませんでした。その間小学校では子供たちもそわそわして勉強にならないとか牛など引いているとき牛が暴れて危険である、また寝ている幼児が飛び起きるなど、いろいろと苦情が寄せられておりました。そのうち低空飛行も、夜間行なわれるようになり、危険と不安は増すばかりでした。97年になり地域労連を中心に低空飛行訓練に抗議する県北シンポジウムが開かれ、パネラーの要請を受け出席いたしました。

  160名位の参加でしたが住民の強い不安と早期の中止要望が強いことの感銘を受け、シンポジウムから1ヵ月位後に「米軍の低空飛行の即時中止を求める県北連絡会」が組織され、その代表に選ばれ現在にいたっております。この組織は、地方自治体、労働組合、運動団体、個人等、幅広く思想、信条、党派、政治的立場を超えて、地域住民の安全を第一に「低空飛行訓練の中止を求める」一点で結集して現在まで運動を展開してまいりました。

  その主なものは、「パンフレット『ストップ・空を飛ぶ暴走族』を発行」—訓練飛行と被害の実態を明らかにし、運動の方向などを盛り込んだもの。現在内容を見直しパート・を発売中です。「広島県で第1回、高知県で第2回の全国交流集会を開催」—1回目より2回目がより拡がりがあり、全国的に関心が高まる。「米軍機の墜落、部品等落下事故等発生のつど、抗議、要請を行なう」—特にイタリアで起こったケーブル切断事故に対しては、米国大統領、在日米軍、岩国基地、総理大臣、外務大臣、防衛庁、防衛施設庁へ抗議と要請文を送付、カバレーゼ市へ弔意文を発送。「県内各自治体議会へ『米軍機の低空飛行訓練の即時中止を求める意見書』の採択を要請」—広島県をはじめ28自治体で採択。「米軍機の訓練飛行の実態を明らかにする住民アンケートの実施」—などの運動に取り組んだところであります。

  全国的な動きの広がりの意見があり、全国交流集会においても、「米軍機低空飛行問題ネットワーク」をたちあげ、現在いろいろ準備をすすめております。また「日米合意」により安全性を最大限確保し、日本の地元住民に与える影響を最小限にすることを明確にさせておりますが守られていない点が数多く確認されております。このように公式に約束されたことが守られない状況から見ても、この運動の困難さが浮かび上がってきます。最近県北のルートでは回数も減少し、高度も高くなってと思っておりますが、運動の成果か、米軍の都合によるものか確認できません。平和なわが国でありますが、このような実態が続く限り恒久平和は一瞬のうちに崩れ去る危険と隣りあわせであります。

  わが国では半世紀余り平和が続いておりますが、世界の恒久平和のため、いずれの国も平気の必要のない、すばらしい地球建設に一人一人が心がけ努力することが求められると思います。

  終わりになりましたが、世界大会の成功をお祈りいたします。


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