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反核平和運動・原水爆禁止世界大会

原水爆禁止2000年世界大会
国際会議

原水爆禁止日本協議会事務局長
高草木博

核兵器廃絶の実行を要求する世界的な行動と共同を

                   

 新しい世紀を前に、核兵器廃絶の動きが世界に広がっている。この動きをさらに太く、確実なものとし、次の世紀に人類が核破局の悪夢から解放され、そのすべての能力と資源を人類の幸福のために動員できるよう世界の人々に行動と共同を呼びかけよう。

 広島・長崎の被爆から55年目のいま、我々の前には核兵器廃絶を実現するための新たな条件があらわれている。
 昨年12月、国連では核兵器廃絶、核軍縮の決議が圧倒的多数の支持で可決された。核保有国に核兵器廃絶の明確な約束を求めた新アジェンダ連合諸国提案の決議に対する反対はわずか13カ国となり、世界政治の舞台でも核兵器の独占的特権を求める勢力の孤立は浮き彫りとなった。
 さらに、今年4、5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議では、「自国の核兵器廃絶の明確な約束」を盛り込んだ最終文書に核保有国も合意を余儀なくされた。もともと既存の核保有国による核兵器独占を保証する体制としてつくられたNPT体制の内部でさえ、こうした動きが大勢となりつつあることは、もはや、一部超大国の核兵器独占とその上に立った「安全」などという議論が、道義的にも政治的にも通用しないことを証明している。

 このかんの、アジアの動きも、核兵器廃絶、平和と紛争の話し合い解決こそが大勢であることをはっきり示している。先の南北朝鮮の首脳会談は、核脅迫やアメリカ主導の軍事同盟による武力脅迫がアジアの平和と安全を保障しているかのような虚構を打ち砕いた。また、先のアジア地域フォーラムでも核兵器廃絶とアジアの非核化が、アジア諸国の圧倒的多数の意思であることが明らかにされた。もし、日本の運動がアメリカの「核の傘」を安全の保障であるとする好核政治を打ち破れば、アジア・太平洋の非核化を大きく加速することができる。

 核大国、とりわけこうしたアメリカの孤立をもたらしたものが、自国のみが絶対的な力を持ち、世界に君臨しうるとする傲慢な世界支配戦略にあることは明らかである。1990年代の初頭、ソ連の崩壊、ワルシャワ条約寄港の解体とともに、「冷戦」の中心を担った戦略家や将軍も含め、世界の多くの人々は、いまこそ核兵器が可能であると主張した。アメリカの指導者たちは、第二次世界大戦終結のさいも当時の科学者たちの忠告を無視して核軍備競争の道を選び、人類を核破局の瀬戸際に導いたが、今回もまた、「冷戦に勝利した」(ブッシュ大統領)などとうそぶき、「生き残った唯一の核超大国」として世界に君臨する道を歩んでいる。クリントン政権は、「予期し得る将来にわたり、核兵器に代わる抑止力は存在しない」と宣言し、NATO新戦略の採用や日米新ガイドラインの導入に見られるように侵略的武力行使の体制を強め、核兵器の先制使用、非核保有国に対する核兵器不使用の保証の拒否、全米ミサイル防衛(NMD)や戦域ミサイル防衛(TND)など核先制攻撃戦略に基づく核兵器と戦略体系の開発を継続している。

アメリカのこうした覇権主義的な戦略の展開は、それ自体の危険とともに、核兵器先制使用ドクトリンの米ロ双方のエスカレーション、インド、パキスタンなどあらたな核拡散の危険を引き起こしている。しかし、このことはアメリカの覇権主義的横暴に反対する世論も急激に発展せざるを得ない。我々は、この条件をつかみ、覇権主義的横暴に反対する広範な諸分野の運動と連帯し、核兵器廃絶のもっとも広範な、共同した運動を発展させなければならない。

私は、こうした条件を実らせるために、反核平和運動の共通の行動として、国連と加盟各国政府に、核兵器廃絶を21世紀初頭に達成すべき最重要・優先課題のひとつとして宣言することを提起したい。昨年の世界大会国際会議宣言は、1999年、2000年の二つの国連総会を焦点に、核兵器廃絶を要求する国際共同行動を提起したが、その具体化として、すべての国の政府、とりわけすべての核保有国政府に「核兵器廃絶の明確な約束」を履行する証として、今秋の国連総会で核兵器廃絶決議に賛成し、その具体化の協議に加わることを要求しよう。

また、核保有国政府の最低限の義務として、核兵器先制使用戦略の放棄、非核保有国への核兵器不使用、全米ミサイル防衛(NMD)や戦域ミサイル防衛(TMD)など核軍拡計画と未臨界核実験などいっさいの核実験計画の中止を要求しよう。外国領土・領海と公海配備のいっさいの核兵器の撤去、非核の証明を出さないすべての艦船、航空機の入港拒否をすべての国、すべての自治体で要求しよう。

世界の圧倒的多数の国が核兵器廃絶に努力しているなかで、日本政府は、アメリカのお先棒を担いだ「核兵器廃絶=究極目標」論の破綻、40年にわたり国民をだまして核兵器持ち込みを許してきたアメリカとの核密約の露呈、被爆者への過酷な仕打ちを象徴する松谷訴訟の敗訴など核兵器をめぐる政策のすべての面で破綻にさらされている。
こうした好核政治への批判は、いま、広範な国民各層にかつてない勢いで広がっている。日本原水協が11カ国の反核平和運動と開始した「広島・長崎からのアピール」署名は、あと50万で6000万に達しようとしている。非核宣言自治体の数は今も増えつづけ、全自治体数の75%を超える2497に達している。
この流れを大きく加速し、結実させるために、今秋、好核から核兵器廃絶へ日本政府に核政策の転換を迫る全国的な共同の行動を展開しよう。


反核平和運動・原水爆禁止世界大会

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