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反核平和運動・原水協の声明と決議

09年2月5日〜6日
於:日本原水協第81回全国理事会

2009年度運動方針

はじめに
一 核兵器廃絶をめぐる世界の流れ
二 核兵器廃絶へ、被爆国日本が果たすべき役割
三 核兵器廃絶の実行を迫るさらに大きなうねりを
四 被爆の実相の普及、被爆者援護・連帯活動の強化
五 非核日本宣言運動の推進、非核・平和の日本への転換のために
六 日本原水協の強化

はじめに

 核兵器のない平和で公正な世界を−世界大会が掲げるこの目標に向かって、いま、地球規模の大きなうねりが広がっている。核兵器の全面禁止をという原水爆禁止運動が被爆者とともに掲げてきた目標が諸国民の共通の声となり、国際政治を動かそうとしている。
 2000年5月、核保有5カ国が受け入れた核兵器廃絶の「明確な約束」実行が問われる次回の核不拡散条約(NPT)再検討会議を14カ月後にして、日本と世界の反核平和運動にはいま、核兵器の禁止・廃絶を現実の政治日程に載せさせるための圧倒的な世論動員と協力・共同とが求められている。
 第81回全国理事会はこの間の運動の前進と到達をふまえ、今日の情勢の特徴を捉えて核兵器廃絶、非核平和の日本、被爆者支援の運動を大きく発展させ、またそれをささえる全国の原水協を強化・発展させるための条件、方針、行動について討議し、意思統一を行う。

一 核兵器廃絶をめぐる世界の流れ

 1月20日、米国にアフリカ系アメリカ人初の大統領バラク・オバマ氏の政権が発足した。就任式に集まった200万人の米国市民の歓迎にも見られるように、「変化」を掲げたオバマ氏の勝利は、単独行動主義と先制攻撃の戦争というブッシュ政権の覇権主義的政策がもたらした害悪への米国民と世界世論の審判を反映するものである。
 21世紀の最初の年、2001年1月に発足したブッシュ政権は、「冷戦」を生き残った唯一の超大国として膨大な軍事力に依拠した「力の秩序」を追求し、「ミサイル防衛」と結んだ圧倒的な核優位、核と通常兵器の境界を取り払った「使える核兵器」、「テロと拡散の脅威」を口実とした先制攻撃戦略を進め、2000年5月に合意された核兵器廃絶の「明確な約束」をはじめ、平和と安全を求める諸国民の願いを踏みにじってきた。
 同時に、重要なことは、こうした動きに対して核兵器廃絶、反戦平和、地球環境や破滅的な投機経済への規制など、より理性的で公正な秩序をめざす流れが圧倒的な規模に発展してきたことである。
 とりわけ核兵器廃絶を求める流れは、世界118の国々を結集する非同盟運動や7つの非核国で構成する「新アジェンダ連合」の一貫した努力に加えて、核保有国や同盟国の体制内部にも「核兵器のない世界を」とのよびかけが広がり、圧倒的な勢いを創りだしている。
 オバマ大統領は選挙戦の最中から「私が大統領になれば、アメリカは核兵器のない世界を追求する」(07年10月)と述べ、昨年7月には「すべての核兵器廃絶という目標を政策の中心的要素とする」ことを宣言、大統領就任後もホワイトハウスが発表している外交政策で、「オバマとバイデン(副大統領)は、核兵器のない世界を目標とし、追求する」と述べている。
 「核兵器のない世界」を求める動きは、他の核保有国や北大西洋条約機構(NATO)諸国でもさらに大きな広がりとなっている。イギリスではシュルツ、キッシンジャーら4氏の「核兵器のない世界」のよびかけを支持したベケット外相(当時、07年6月)、ゴードン・ブラウン首相、デズ・ブラウン国防相の発言(08年1、2月)、元外相・元NATO事務総長4氏による「タイムズ」への寄稿(08年6月)などにつづき、今年1月には元陸軍元帥、将軍など3氏が「イギリスに核抑止力は不要」と題する提言を発表した。
 同様に、ドイツでは1月9日にシュミット元首相、ワイツゼッカー元大統領、ゲンシャー元外相など4氏が連名で、「核兵器のない世界へ:ドイツの見解」を「インターナショナルヘラルドトリビューン」紙に掲載した。
 こうした動きは、昨年10月24日、核兵器(廃絶)条約にも言及した潘基文国連事務総長の講演、米ソの元大統領経験者やノーベル賞受賞者が「期日を定めた拘束力ある協定」を求めた「グローバルゼロ」運動の立ち上げ、ノーベル賞受賞者によるオバマ大統領への核兵器禁止条約の呼びかけなど、国際政治と市民世界の多様なイニシアチブとも結びついて、核兵器の廃絶を世界的なコンセンサスへと推し進めている。
 特徴的なことは、動機や当面の優先課題についてなおさまざまな色合いをもちながらも、これらの動きが、ブッシュ政権がつくりだした2005年NPT再検討会議の決裂への批判的検討のうえに、核兵器の廃絶を国際政治の共通の目標に据え、2010年のNPT再検討会議の成功を共通の展望として位置づけていることである。
 また、「もし我々が値の張るトライデント(核ミサイル積載原子力潜水艦)の更新に固執するなら、イギリスがいかにしてこの問題(核兵器のない世界)で指導性を発揮したり影響を及ぼしたりすることができるのか?」(イギリス元陸軍元帥らの提言)、「我々はまた、残存するすべての米国の核弾頭をドイツ領から撤去すべきという意見を持っている」(ドイツの元首相らの提言)など、核兵器廃絶と自国の核兵器の廃棄やいわゆる「核の傘」からの離脱を結びつけた主張が、それぞれの国から説得力を持った形で現れていることである。
 他方で、核兵器を「安全の保証」「抑止力」として正当化する議論は、既存の核保有国の政府や軍事産業をはじめ、なお、大きな力を持ち続けている。こうした議論を道義的にも政治的にも打ち破り、いま提案されている核兵器廃絶のさまざまなイニシアチブを確実に「核兵器のない世界」へと実らせていくために、ひき続き全世界で草の根から核兵器廃絶の世論と運動を発展させなければならない。
とりわけ、2010年春のNPT再検討会議を前にして、日本原水協が「核兵器のない世界を」の署名1200万筆の達成や09年世界大会の成功など国民世論を高めるために全力をあげ、また、世界の反核平和運動や多くの国の政府と協力し、国際的にも署名や被爆の実相普及などイニシアチブを発揮していくことがいよいよ重要である。

二 核兵器廃絶へ、被爆国日本が果たすべき役割

 核兵器の廃絶が、国際政治の重要な焦点になろうとしているいま、被爆国日本政府が果たすべき役割は特別に重要である。
 1月28日の施政方針演説で麻生首相は、無法なイラク攻撃加担などブッシュ政権時代の対米追随にまったく無反省なまま、あらためて「日米同盟強化」やアフガニスタンでの武力行使に加担するインド洋での補給支援継続、ソマリア沖への自衛艦派遣を意味する「新たな法制の整備」などを打ち出した。麻生首相は同時に、「テロとの戦い」とワンセットで、「核軍縮・不拡散、気候変動といった地球規模の課題に(オバマ政権と)連携して取り組む」と述べている。だが現在の自公政権の政策は、核兵器廃絶に貢献するどころか、逆に足を引っ張るものである。
 実際、麻生政権は、昨秋の国連軍縮審議での討論や日本政府提出の決議案「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」でも米ロの核軍縮の促進には言及したものの、核兵器禁止・廃絶そのものを国際政治の課題とすることはなんら提起せず、そればかりか核兵器廃絶にいたる交渉の開始を求めたマレーシアなどの提案には、「条件が熟していない」「時期尚早」などと述べて水を差す態度をとった。
 このように麻生内閣は、ブッシュ政権下での日米関係の現実にまったく無反省なまま「日米同盟の強化」を唱え、世界平和の流れに逆行し続けようとしている。ブッシュ時代の8年、日本政府は、アメリカが「先制攻撃」という国連憲章違反の無法な戦略を採ろうが、核使用を宣言しようがまったく意に介することなく米国に追随し、自衛隊の海外派兵、米軍の出撃基地化をすすめてきた。アメリカの核戦略の展開を「核の傘」「拡大抑止」などと呼んで美化しながら、原子力空母「ジョージ・ワシントン」の横須賀母港化、米艦船の寄港増大、米軍基地の再編強化、「ミサイル防衛」の配備などに全面的に協力してきた。また、2003年夏の6者協議開始に先立っては、「たとえ北朝鮮の非核化が実現しても、アメリカは核不使用を確約しない」ようアメリカに申し入れるなど、先制核攻撃政策の継続をそそのかす態度さえとった。
 他方で、日本政府はオーストラリア・ラッド首相の提起に応え、次回NPT再検討会議に向けた「日豪核不拡散・軍縮国際委員会」を発足させた。オーストラリアのギャリス・エバンス元外相とともに共同議長を務める川口順子元外相は、日本のNGOとの意見交換会で、作成される報告書には「核兵器禁止条約についても言及していくことになると思う」と応えている。
 だが、問題は日本政府自身が、こうした動きを支援して核兵器禁止のイニシアチブをとるべきことである。そのためにも、日本政府として5月のNPT再検討会議準備委員会をはじめ、さまざまな機会に核兵器廃絶を最優先課題として提起し、国際的に協調して交渉開始をよびかけるべきことを強く要求する。
 また、その証としても「核の傘」からの離脱や非核日本宣言を真剣に追求すべきである。核保有国のイギリスやアメリカの核の前線配備国となってきたドイツでも、「核抑止の放棄」や「アメリカの核兵器撤去」が提唱されているいま、唯一被爆体験を持ち、憲法9条と非核三原則を持つ日本が、なお「核の傘」を主張することはもはやみずからの国際的信頼をさらに突き崩すものでしかない。
 核兵器廃絶、平和、新しい国際秩序を求める流れが世界的に広がるなかで、日本原水協は、日本政府に核兵器廃絶と「核の傘」からの離脱を要求するとともに、非核・平和の日本への「変化」をめざして、全力をあげて行動しなければならない。

三 核兵器廃絶の実行を迫るさらに大きなうねりを

 「核兵器のない世界」を求める動きが世界的大勢となるなかで、いま、世界の反核平和運動には、2010年NPT再検討会議を焦点として、核兵器全面禁止の世論を全世界の草の根から動員し、大きなうねりとしていくための特別の奮闘が求められている。
 2005年5月のNPT再検討会議の決裂以後、日本原水協は、核兵器廃絶を求める世論をさらに大きく高め、包囲していくために「すみやかな核兵器の廃絶のために」の署名を内外に提唱し、国連、各国政府、NGOや全国の広範な各界・各層の人びとと、署名、原爆展の開催、世界大会など多様な形で共同を広げてきた。
 日本の草の根で集められる署名は、核兵器廃絶への人類の願いを代表する署名として毎年10月、国連に届けられ、世界の非核国政府とNGOの代表とを励ましている。
 昨年、2008年世界大会では、世界各国のNGO代表は、2010年NPT再検討会議を核兵器廃絶への大きな転機とするため新しい署名「核兵器のない世界を」を呼びかけた。この署名は、発足に当たって提起されたように、昨年4月、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)が呼びかけた「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」や世界平和市長会議がよびかけている署名など目的をひとつとする運動と連帯し、世界の政府とNGOが共同して核兵器廃絶の実現を迫る取り組みとして広がっている。
 また、昨年10月には、アメリカの反核平和運動に2010年春のニューヨーク行動を提唱し、国際的な討論と協議を促進し、さらに世界世論を喚起する行動として、1昨年秋のエジプトに続き今年1月、マレーシア政府の協力を得てクアラルンプールでの原爆展をおこなった。
 こうした運動の到達をふまえ、核兵器廃絶をめぐる今日の情勢にふさわしく、日本原水協と世界大会が切り開いてきた運動の方向を、来年4月にむけてさらに前進させていくために2009年を内外の諸活動と原水協強化の大きな飛躍の年としなければならない。

1、NPT再検討会議に向けての国際活動

 2010年のNPT再検討会議の成否は、それにいたる14ヵ月、いかに広く国際的合意を創りだせるかにかかっている。そのために、日本原水協はひき続き国際活動を旺盛に展開する。
1) 核保有国をはじめ各国政府に核兵器禁止の合意と交渉開始を働きかける。次回NPT再検討会議準備委員会(5月4日〜15日、ニューヨーク)、国連総会第一委員会(10月)などに要請代表団を派遣する。
 2) 政府との協力を発展させるため非同盟運動首脳会議(7月、エジプト)に代表団を派遣し、あわせて日本アジアアフリカラテンアメリカ連帯委員会と原爆展を共催する。さらに次回の世界非核地帯会議(メキシコ)への代表派遣と原爆展開催を追求する。
 3) 2010年春のニューヨーク行動とそれに向けた国際共同行動を強めるため、フランス平和運動、イギリス核軍縮運動(CND)などが提唱する協議(5月、ニューヨーク)をはじめ、国際的協議に積極的に参加する。また、次回常任理事会(4月)にむけてNPT再検討会議への代表団派遣や国際的な共同行動の諸提案についての検討を開始する。
 4) 4月1日から5日までストラスブール(フランス)とバーデン・バーデン(ドイツ)で取り組まれるNATO創立60年の行動に、日本平和委員会などの諸団体と協力して代表団を派遣するなど、平和の課題でも積極的に共同を広げ、「核兵器のない世界を」署名の取り組みをはじめ、2010年に向けた行動を積極的によびかける。

2、核兵器廃絶世論の圧倒的強化と1200万署名の推進

 被爆国日本の核兵器廃絶世論を高めることは、日本原水協がもっとも力を入れるべき行動である。そのためにNPT再検討会議に日本国民の意思を伝える取り組みとして、国民の1割を代表する1200万筆の「核兵器のない世界を」の署名を集め、提出できるよう全力をあげる。
 1) キャンペーンポスター、著名人ポスター、リーフレットなどを活用し、全国すべての自治体で首長、議会議長、町内会長や社会的な影響をもつ各界各層の人びとに広く賛同と協力をよびかける。
2) 当面、日本原水協を構成するすべての団体と都道府県・地域原水協が目標と達成のテンポを決め、全構成員署名や家族署名から地域、学園、職場を基礎とする署名へと取り組みを広げる。3・1ビキニデーに向けて決起集会、署名推進委員会の立ち上げなど、学習を結びつけた取り組みの意思統一を強める。
3) 毎月の6・9行動を全国的行動日として、すべての市区町村での取り組みに発展させる。被爆写真の展示、青年のロック行動との連携や文化関係者や宗教者との協力など、さまざまな創意を生かした取り組みとする。「核兵器のない世界を」の署名がもつ、平和的民主的運動と広範な国民各層との接点をつくり広げる役割を活かし、国民的規模の取り組みに広げよう。

3、3・1ビキニデー、国民平和大行進、09年世界大会

 1) ことしのビキニデーは、2010年に向けた行動の出発として内外の大きな期待がよせられている。すでに、アメリカで反核反戦の先頭に立ち続けたバーモント州や日豪核不拡散軍縮委員会のオーストラリアNGO顧問ティルマン・ラフ氏など多様な国際代表、反核、平和、暮らしを守るたたかいの先頭に立つ各分野の人々が、参加を決めている。このビキニデーを、その意義にふさわしい規模と内容で成功させなければならない。全日程が金、土、日の週末に行われるという条件を活かし、国際交流フォーラム(27日)、日本原水協全国集会(28日)、「世界青年のつどいin静岡」(同)、3・1ビキニデー集会(1日)のすべての行事を、前年を上まわる規模で成功させよう。
 2) 原水爆禁止を願う人々がもっとも広範に参加する運動として、国民平和大行進を成功させることは特別に重要である。昨年の平和行進は、50周年の行進として、多くの市区町村でかつてない参加と広がりを実現し、その後の前進の重要な基礎を築いた。この運動を前進させよう。成功した多くの行進から報告されているように、沿道住民とひとつになり、核兵器廃絶の願いをNPT会議に届ける行進として、沿道署名を成功させるために全力をあげる。自治体などの公的機関や広範な団体、寺院・教会などに参加、協賛をよびかけよう。昨年好評だった平和行進リーフは、新しい版を作成し、普及する。
すべてのコースで、自治体首長、議長など自治体や各界の代表に、署名「核兵器のない世界を」、非核日本宣言への支持賛同を要請するとともに、平和市長会議の署名に協力する。
 3) 2009年の活動の結集点であり、2010年への世界的な運動の跳躍台としてことしの世界大会の成功は、歴史的な重要性を持つ大会である。
 大会が、核兵器廃絶を共通の目的とする各国政府や公的機関、世界の反核平和団体、全国の自治体や広範な国民諸階層の運動と草の根の運動との思想信条を超えた共同の場として発展するよう、内外での協力・共同を広げる。
2010年のニューヨーク行動を展望して、被爆の実相と被爆者の声の国際的普及、世界的な共同行動のいっそうの発展など、世界の運動を励ます創意とイニシアチブ、活力に溢れた大会として成功させる。また、大会が青年にとって、世界の変化を学び、連帯と友情を広げる成長の場となっていることを重視し、青年の要求にこたえた企画、取り組みをいっそう発展させる。「世界青年のつどいinニューヨーク」の開催などをともに検討・準備する。
 09年世界大会の成功をめざして、本全国理事会の終了とともに、一つ一つの取り組みを開始し、世界大会の成功へと結実させよう。

四 被爆の実相の普及、被爆者援護・連帯活動の強化

  被爆から63年余りを経て、国民各層と次の世代に被爆の実相を伝えていくことは、決定的に重要な課題となっている。被爆者とともに被爆の実相を掘り起こすことにも日常的に取り組みながら、2010年にむけて署名と被爆体験の実相普及を、国民世論を高めるための車の両輪と位置づけ、広く国民的運動として発展させる。
1) 被爆者団体と協力し、すべての市区町村に2010年のNPT再検討会議に向けた企画として原爆展、被爆体験を聞く会、原爆映画の上映など、被爆の実相の普及・被爆者の願いを伝える企画をよびかける。
また、日本原水協の運動の担い手が被爆体験を学び、継承者としての役割を果たしていけるよう6・9行動、原水協学校、機関の会議や学習会などさまざまな機会に被爆証言や被爆映画などを活用した学習をおこなう。各地で取り組まれている青年の被爆者訪問や被爆体験の聞き取りの活動を支援し、取り組みを広げる。
2) 原爆症認定集団訴訟をはじめ、在外被爆者を含めて血の通った補償と援護を求める被爆者のたたかいをひき続き支援する。とりわけ千葉、大阪、東京の高裁判決、広島、高知の地裁判決を目前にしたいま、宣伝、署名、募金、傍聴の取り組みを強めるとともに、日本被団協とともに日本政府に一括解決を要求する行動を強める。
被爆者援護・連帯2000万円募金を草の根での日常的活動として発展させる。また、被爆者団体との連絡を密にし、日常的な運営や相談活動の充実などの支援を強める。すべての都道府県原水協が被爆者援護・連帯部や担当者を確立し、予算措置をとり、活動を強化することが緊急に求められている。
3) 国際的にもひき続き原爆展の開催や被爆者証言の取り組みをよびかける。また日本被団協とも協力して、非同盟諸国首脳会議(7月)、世界非核地帯会議(メキシコ)などさまざまな機会に、ひき続き海外での原爆展の開催を追求する。被爆組写真の海外への贈呈運動をすすめる。
4) 世界唯一の被爆国として、日本国民が被爆体験を正しく知り、伝える国際的役割を果たしていけるよう、国民的運動の提唱を検討する。現存する被爆者の証言とともに、これまで63年余の証言、映像、文学などさまざまな財産をとりわけ、若い世代が活用できるよう検討委員会を発足させる。
5) 世界の核被害者への支援連帯を発展させる。劣化ウランなど核物質の軍事利用に反対する。

五 非核日本宣言運動の推進、非核・平和の日本への転換のために

 非核・平和への世界の流れの中で、日本政府にはなによりも憲法9条と非核三原則を守り、核兵器の廃絶と「核の傘」からの離脱へと進むことが強く求められている。日本原水協は、そのための国民世論をさらに強めることを2009年度の中心的活動のひとつとして追求する。
 1) 日本政府にたいし、5月のNPT再検討会議準備委員会、ジュネーブの軍縮会議、国連総会など、さまざまな機会に、核兵器廃絶を国際政治が追求すべき最優先課題として提唱し、核兵器禁止協定の交渉開始をよびかけること、また、非同盟諸国、新アジェンダ諸国など共通の関心を持つ諸国とただちに協議に入ることをよびかける。
2) 日本政府に、核兵器廃絶と非核三原則を「非核日本宣言」として国際的に宣言し、すべての国に通告するよう要求する。「非核日本宣言」運動への自治体の首長、議長、議会、住民の支持・賛同をさらに広げる。
3) 原子力空母の横須賀母港化の撤回、「核の傘」「拡大抑止」などの名で進められてきた日本周辺へのイージス艦配備や迎撃ミサイル、Xバンドレーダーなどの配備の中止、核積載可能艦船の配備・寄港に際しての「非核の証明」の提出など、非核平和の政策への転換を要求する。非核「神戸方式」をまもり、普及する。米軍基地の再編強化、自衛隊との一体化に反対する全国の運動と連帯する。6者協議を通じた北朝鮮の核開発問題の平和解決を要求する。
4) ソマリア沖への自衛艦の派遣、インド洋への海自給油艦の活動に抗議し、中止を求める。自衛隊の海外派兵「恒久法」をやめさせ、憲法遵守を要求する。軍事費の削減、暮らしを守れの運動に連帯する。
5) 明文改憲、解釈改憲を問わず改憲の動きに反対し、9条と「非核三原則」を日本の安全保障と外交に活かすことを要求する。
6)  六カ所村の再処理、プルトニウムを燃やすMOX燃料計画、廃棄物の埋め立て処理計画など危険な原子力行政に反対する。新たな原発建設に反対するとともに、原子力施設の総点検と結果の公表、原子力行政の抜本的見直しを要求し、住民の運動との連帯を強める。代替エネルギー開発と原子力エネルギーからの段階的撤退を要求する。

六 日本原水協の強化

 現在の世界的な核兵器廃絶のうねりは、日本原水協の組織的強化・発展にとっても絶好の条件を作り出している。この条件を活かし、日常の署名や被爆の実相普及の活動、平和行進、ビキニデーや世界大会への代表派遣などすべての活動を通じて核兵器のない世界を願う各層各分野の人々や若い世代の人々との結びつきを強め、原水協の活動と組織の強化に結びつける。
 1) すべての加盟団体、都道府県原水協、個人役員が出席し、活き活きと発言する日本原水協の機関運営を重視する。また、核兵器廃絶、アジアの非核化、「核の傘」からの離脱、被爆の実相普及や被爆者援護など、分野ごとの研究・討論を活発化し、研究者・専門家・文化人などとの協力を広げる。
2) 「核兵器のない世界を」の署名の広がり、非核宣言自治体や非核日本宣言への賛同、平和行進や世界大会など、日本原水協が推進するさまざまな運動を広く国民に知らせるため、情宣活動を大きく改善・強化する。運動分野ごとのリーフレットの作成やホームページの改善、原水協通信の紙面改善と当面6千部をめざす読者拡大などに取り組む。
被爆の実相普及について被爆者援護・連帯部を中心に検討委員会を創り、推進する。
 3) すべての地域で、三つの基本目標を掲げて活動する原水協を強化、活性化させる。当面、原水協の活動が全国で最も活き活きと活動する国民平和大行進の準備と世界大会への代表派遣を前に、すべての地域原水協で総会やそれに準じる会議を成功させ、署名や被爆の実相普及の取り組み、それぞれの自治体への働きかけ、青年の結集、個人会員の充実など、地域原水協の活性化の取り組みを意思統一する。
 4) 加盟・協力団体の結集、地域原水協の確立・強化、個人役員や個人会員の充実と機関・事務局体制の強化、会費・事業・募金を基礎とする財政活動の強化など、都道府県原水協の体制強化に取り組む。必要に応じ、全国常任理事会などで全国的な討論・交流の場を設ける。
 ブロックごとの原水協学校をそれぞれの開催地の原水協強化・活性化と結びつけて成功させるとともに、世界大会や2010年にむけて都道府県や地域ごとの原水協学校を具体化し、とりわけ、広範な青年、学生の結集をめざす。

 

 

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