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2005年NPT再検討会議第2回準備委員会
核兵器も戦争もない世界へ決断、行動、共同を

2003年4月
原水爆禁止日本協議会

(1)米英両国は、圧倒的な軍事力をもってイラクを攻撃し、全土を制圧し、イラク政権を崩壊させた。この攻撃は、大量破壊兵器問題の、国連を主体とした査察による解決の努力を破壊し、安保理事会の支持と承認を得ることもなく強行された。それは、イラク国民に多大な犠牲を強い、国連の原則と役割を傷つけたばかりか、核兵器と大量殺戮兵器の「拡散」への対応についても、きわめて危険な先例をつくりだした。しかもアメリカは軍事占領を継続し、そのもとで自分の言いなりになる政権をつくろうとしている。この無法な軍事攻撃と民族自決権を乱暴にふみにじる軍事占領統治への批判と、米英軍のすみやかな撤退、国連主導のイラク復興支援を求める声が高まっているのは当然である。
 国際社会は、2度の大戦から紛争の平和的解決などのルールを、また広島・長崎の惨禍から核兵器は廃絶以外にないという合意を築いてきた。いま、この人類の痛苦の体験にもとづく到達がじゅうりんされようとしているもとで、これを許さず、その回復と新たな前進のための決意と行動が、世界諸国政府と諸国民に求められている。


(2)イラク攻撃の実態は、米国政府の核兵器使用をふくむ「先制攻撃」戦略の危険性をあらためて浮き彫りにした。相手からの侵略も差し迫った脅威も存在しないもとで、国連憲章に基づく安保理事会の権限と役割を踏みにじり、みずからの勝手な判断の下で他国に武力行使を行うことは、国際法違反の侵略行為である。しかも、米国政府の新たな「核態勢見直し」は、非核保有国に対しても核兵器使用を想定したものであり、イラクに対しても、核兵器の使用さえ選択肢のひとつとする発言がくり返しおこなわれた。
 世界の大多数の国々が核兵器保有を放棄し、みずからを条約上の拘束下に置いているにもかかわらず、核保有国が自由に、一方的に核使用を許されるということであれば、それは核保有国の側から、NPTの枠組みそのものを、破壊するものとならざるをえない。
5カ国のみに核保有国の特権を認めるNPT体制の矛盾、危険が拡大するもとで、その解決は核兵器廃絶以外にないことが明らかになり、2000年会議では「核保有国による核兵器廃絶の明確な約束」が、核保有国を含め合意された。いま、この核兵器廃絶の方向に立ち戻るのか、核兵器をふりかざした無法状況を許すのかが問われている。
 このもとで我々は、すべてのNPT締約国に、核兵器廃絶を正面から課題として取り上げること、同時に、核兵器先制使用の禁止、非核保有国に対する核兵器の使用・威嚇の禁止を拘束力ある合意とするため緊急の課題として追求することを求める。さらに核保有国にたいし、「核兵器の使用や使用脅迫を防ぐ唯一絶対の保証」は「核兵器廃絶」であることを確認し、2000年NPT再検討会議で「明確」に「約束」したとおり「自国の核兵器完全廃絶」達成に着手することを要求する。核兵器全面禁止の普遍的な努力抜きに「拡散」のみを抑えることはできない。2005年の再検討会議はこの合意を繰り返すだけでなく、実際に目に見える進展を確認する場とすべきである。


(3)朝鮮半島の緊張も、アメリカが北朝鮮を先制的武力行使、核攻撃の対象とし、一方、北朝鮮のNPT脱退をめぐるうごきなどによって、一挙に激化している。もともと北朝鮮の核開発問題は、アメリカ・北朝鮮の間の「枠組み合意」、南北首脳会談、日朝首脳協議などにより、北朝鮮が核兵器開発をおこなわない方向で合意され、確認されてきた。2000年NPT再検討会議の合意に見られるように、核兵器廃絶は世界の流れである。北朝鮮側はこれらの合意を厳格にまもるべきであり、核兵器開発の問題を「外交のカード」などに使うべきではない。
 問題の平和的解決のためには、核保有国の側も当然、核威嚇の停止、先制的核使用や非核国に対する核兵器使用政策の放棄を明確にすべきである。また、我々は、日本がアメリカの「核抑止力」に依存し、実際上、アジア諸国に対する核脅迫の前線拠点となってきたことに強い懸念を持っている。北東アジアの平和・非核化のためには日本も、核兵器を「持たず、つくらず、もちこまさず」とした非核三原則を厳守・法制化し、「核の傘」から離脱すべきである。


(4)この間、イラク攻撃をめぐって、世界的に反戦平和の世論が空前のひろがりを示した。国連の公開審議でも国連安保理事会でも、平和解決は圧倒的多数の声であった。この基礎には戦争の違法化をすすめ、武力行使・威嚇の原則禁止を平和の国際ルールとして確立してきた、世界の進歩の歴史がある。この流れをさらに強めるならば、戦争を防ぎ、核兵器廃絶を実現する新しい状況をきりひらくことができる。
 そのためにも、国連憲章の平和のルール擁護と核兵器の廃絶という共通の目標を達成するために諸国政府と諸国民の運動との連帯をさらに発展させることが重要である。我々は、原水爆禁止世界大会に核兵器廃絶のために努力する政府代表の参加をえるなど、政府とNGOとの協力を発展させてきた。第2回準備委員会が、この夏、広島・長崎で開催される原水爆禁止2003年世界大会をふくめ、NGOの協力の強化を確認することを強く希望する。

 

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