WWW search Gensuikyo search
 

 

反核平和運動・ビキニデー

 

2009年3・1ビキニデー日本原水協全国集会

2009年2月28日
原水爆禁止日本協議会事務局長
高草木博

基調報告:2010年へ連帯と行動をひろげ、核兵器のない世界の扉を開こう

 2009年3・1ビキニデーにあたり、最初に、はるばる海外からおいでくださったマーシャル諸島、アバッカ・マディソン・アンジャインさん、アメリカ、ジョゼフ・ガインザさん、オーストラリア、ティルマン・ラフさん、フィリピン、コラソン・ファブロスさん、韓国のイ・ジュンキュさん、ことしも多忙な中を駆けつけてくださった来賓の日本被団協事務局長田中煕巳さん、日本共産党副委員長緒方靖夫さん、第五福竜丸の大石又七さんに日本原水協を代表して心から歓迎と連帯のあいさつをおくります。
 私はまた、この週末をビキニデーのために当ててくださった全国の代表、そして毎年、参加者として要員としてビキニデーを支えてくださっている静岡の皆さんにも連帯と感謝の意を表明したいと思います。

 2010年春、「核兵器のない世界」への選択を問う次回の核不拡散条約(NPT)再検討会議を前にして、いま、核兵器の廃絶を求める声は地球的なうねりとなって広がり続けています。
 昨年11月、アメリカの大統領選挙で「変革」を掲げたオバマ氏が勝利したことは、ブッシュ政権の単独行動主義と先制攻撃の戦争への米国民の審判と世界の批判を反映するものでした。オバマ氏は選挙キャンペーンのなかで「核兵器のない世界を追求する」ことを世界に公約し、核兵器廃絶を「政策の中心的要素」であると宣言しました。私たちはこのことを歓迎し、アメリカのみなさんとともにその実行を強く求めて行きたいと思います。
 「核兵器のない世界」を求める動きは、核保有国やNATO諸国でもさらに大きな広がりとなっています。昨年の世界大会で私たちは、NATO加盟国ノルウェーのストゥーレ外相から「核兵器のない世界の達成にはすべての国の指導者がみずから関わるべきである」とする力強いメッセージをいただきました。核保有国イギリスでは、今月初めミリバンド外相が「核の影を取り払う」と題する政策文書を発表し、核兵器廃絶の大連合を創ることを呼びかけました。
 さらに注目すべきことは、こうした流れの中で核兵器廃絶を追求する証として、核保有国や核を配備された国の軍や政府の元指導者たちから自国の核兵器の放棄を求める声があがっていることです。今年1月には、イギリスの元陸軍元帥らはこう呼びかけました。「もし我々が核ミサイル・トライデント原子力潜水艦に固執するなら、どうして核兵器の廃絶で指導性を発揮したり影響を及ぼしたりすることができるだろう?」。またドイツでも首相、外相、大統領の経験者たちが「米国のすべての核弾頭をドイツから撤去させるべき」と呼びかけました。
 さて、こうした動きに接するたびに、情けないと思うのは、日本の政府が口を開くたびに「唯一の被爆国」と言いながら、実際にはアメリカの「核の傘」に頼り切っていることです。
 麻生首相は、1月28日の施政方針演説で、「核軍縮・不拡散、気候変動といった地球規模の課題」にオバマ政権と「連携」して取り組むと言明しました。しかし、数日前、実際にホワイトハウスでオバマ大統領と会談したさいに口にしたことは、金融危機の問題では「ドルの信認の維持」であり、日米関係ではグアムの米軍基地を含む米軍再編への膨大な負担であり、アフガニスタンへの軍事介入のいっそうの肩入れでした。
 私たちは、同じ会談でオバマ大統領が核抑止を含む「日本の防衛」を確認したことにも注目しました。核兵器が「安全の保証」だとか「抑止力」だとかいう主張は、それ自体が「冷戦」時代の遺物であり、人類を核軍備競争から核破局の瀬戸際へと導いてきた危険で誤った議論です。もし、こうした議論が正当化されるなら、その標的とされる側のミサイル開発や核兵器開発も当然正当化されることになり、核の拡散も防ぎ得ないものとなるでしょう。
 私たちは、核保有国はもとより、すべての国のリーダーに対し、核の存続を擁護するいっさいの議論に終止符を打ち、2010年のNPT再検討会議に向けて、核兵器の禁止・廃絶を緊急死活の課題とする合意を広げ、取り組みを開始するよう呼びかけるものです。

 核兵器の廃絶が、国際政治の重要な焦点になろうとしているいま、私たちの運動もまた、正念場を迎えています。私は、ここで、14カ月後のNPT再検討会議にむけて、いま、原水爆禁止運動が全力を挙げて取り組むべき4つの行動を提起したいと思います。
 第一は、昨年の世界大会が提起した新しい署名「核兵器のない世界を」で、文字通り日本国民の1割、1200万筆の署名を達成することです。
 日本原水協の運動は、1954年、ビキニ水爆に抗議して立ち上がった最初の瞬間から、国民の誰もがいつでも、どこでも意思を表せる運動として署名を選びました。そして集められた3200万の署名は、NHKの人気番組「その時歴史が動いた」でも描き出されたように、まさに大きく歴史を動かしました。
 私たちはまた、核兵器の数がピークに達した1980年代半ば、世界12カ国の反核団体とともに核兵器全面禁止・廃絶を目標とする「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」を提唱し、日本で6千万筆、世界で1億筆を越えた署名は、まさに、2000年5月、NPT再検討会議が核兵器廃絶の「明確な約束」で合意をうみ出す原動力となりました。
 その後も私たちは、2005年のNPT再検討会議に向かって取り組んだ「いま、核兵器の廃絶を!」の署名、そして「すみやかな核兵器の廃絶のために」など、その時々の情勢に合わせ、日本と世界の核兵器廃絶世論を高め、広げるために力を尽くしてきました。
 新署名「核兵器のない世界を」も、これらの輝かしい署名運動の伝統を引き継ぐものです。同時に、この新しい署名が、歴史の次のページ、「核兵器のない世界」の扉を開く署名となるかどうか、それは今日を起点とする我々の奮闘にかかっています。その取り組みを成功させ、「核兵器廃絶国際キャンペーン=ICAN」や平和市長会議の署名とも協力しあって、2010年4月、歴史を動かす署名として幾千万の署名を国連前に積み上げようではありませんか。
 二つ目は、被爆の実相普及の取り組みです。核兵器の廃絶が世界的な流れとなったいま、国際的にも核兵器削減に関わる様々な構想や提案が模索されています。私たちは、当然、核兵器の廃絶とともに、その過程での削減にも賛成です。同時に私たちは、「少量の核兵器であれば抑止に役立つ」という見解は取りません。この後上映される「ヒロシマ 母たちの祈り」が描き出すように、核兵器はたとえ「一発であってもあまりに多すぎる」のです。
 いま、広島や長崎でも東京でも、青年たちが地域の被爆者を訪ね、人類と核兵器は共存できないと訴える被爆者の声を継承し、世界に発信しています。
 日本原水協は、ことし2月の全国理事会で、青年たちの努力に学び、被爆の実相を学び伝える活動を署名運動とともに、原水爆禁止運動の「車の両輪」として取り組むことを決定しました。全国の自治体や教育委員会などにも働きかけて、8・6、8・9にむけて原爆展や被爆体験を聞く会を開くことなど、被爆者のたたかいの継承を国民的な運動として発展させようではありませんか。
 原爆症認定を求める被爆者のたたかいも、3月12日、千葉訴訟の東京高裁判決、ついで広島と高知の地裁で判決、5月には大阪高裁と東京高裁で判決と、正念場を迎えています。さまざまな支援の行動にみなさんも加わっていただきたいと思います。2日前に刷り上ったばかりのパンフ「原爆症認定集団訴訟の全面解決のために Q&A」がこの会場でも売られています。非常に読みやすく、分かり易く、感動的に創られています。1部100円です。お読みいただきたいと思います。
 第三の提起は、憲法9条と非核三原則を実行する、非核日本を実現する取り組みです。昨日の「国際交流フォーラム」でも問題になりました。世界に変化が起こっても、アメリカの大統領が変わっても、当の日本の政府が言わなければ、アメリカの空母はどかないし、基地再編も止まりません。
 しかし、改憲を掲げたり核保有論議を肯定したりする人たちが相次いで政権を投げ出し、国民から見放されているように、日本国民が望むものは憲法改悪でもなければ「核の傘」でもありません。皆さんに配布されている今月の「原水協通信」をごらんいただきたいと思います。核兵器の廃絶を提唱し、非核三原則の尊重を国際的に宣言する「非核日本宣言」の提唱には、すでに全国1823の自治体のうち、700人の首長・議長が賛同し、決議した自治体は181にのぼっています。私は、この運動をさらに広げ、賛同自治体の数で、2010年にむかって国民過半数を実現するよう呼びかけたいと思います。
 第四であります。本日と明日のビキニデーに続いて、5月には広島・長崎へと、国民平和大行進が全国11のコースを歩きます。この行進を文字通りすべての自治体を訪れ、通過する行進として成功させ、国民的な核兵器廃絶・非核平和の日本を求める圧倒的な世論を発展させましょう。それをさらに、草の根と世界の政府、NGOの共同の大会=2009年世界大会へ、2010年4月ニューヨークへつなぎ、変化を作り出すため、今日からの行動に全力を尽くそうではありませんか。

 

table

このページの最初へもどる あるいは GensuikyoのTop Pageへもどる

Copyright (C) 1996-2011 Gensuikyo. All Rights Reserved.
日本原水協 〒113-8464 東京都文京区湯島2-4-4 平和と労働センター6階
Tel:03-5842-6031 Fax:03-5842-6033 
お問い合わせフォーム