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原水協(原水爆禁止日本協議会)
被爆者との連帯 ビキニデー 平和行進 世界大会

ビキニデー

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【2014年3・1ビキニデー国際交流会議】
ジョゼフ・ガーソン「NPT再検討会議に向けた危機とチャンス」

日本原水協のみなさん、ビキニ被災を記念するこの会議にご招待いただき、ありがとうございます。ブラボー実験60周年にあたって、私は今、当時水爆実験の危険を世界に知らせるために署名運動に立ち上がった人々、久保山愛吉さんの最後の言葉、そしてその思いを現実にするためたたかい続ける大石又七さんを思い起こしています。原水協と被団協が、ビジョンと勇気を示しリーダシップを発揮してこられたことに敬意を表します。原水協と被団協の影響力の大きさは、先ごろメキシコで開かれ146カ国の政府と市民社会運動が参加した「核兵器の人道的影響に関する会議」でも明らかでした。

ビキニデーはまた、水爆実験で被災したマーシャル諸島ロンゲラップの被害者とその後の世代の人々への連帯を新たにする時でもあります。広島・長崎への原爆を含め第二次世界大戦で使用された爆薬の総量を超える爆発力の水爆を浴びたあと、彼らは生きるために闘い、世界に警告を発し、人間として当然の権利と尊厳が認められるよう求めています。

昨年、ほとんどの諸国政府は、NPT第6条の義務を核兵器国が果たしていないことに怒りと不満を表明しました。そのことは、国連のオープンエンド作業グループの勧告、核軍縮に関する国連ハイレベル会合での論議、オスロとナヤリット会議、核兵器禁止条約交渉開始を求める国連総会決議などからも明らかです。

また、核開発能力を持つ国々の行動も批判の対象となっています。安倍首相が戦後日本の政治体制を変えようとしていることは、15年戦争の軍事ファシズムを想起させますし、岩だらけの無人島をめぐって、核戦争の可能性を含む大国間の衝突となりかねない事態を招いていることに、多くの国々が危機感を強めています。米国の後押しを受けて、日本は弾圧的な機密保護法を成立させました。首相の靖国神社への参拝、侵略戦争、南京大虐殺、性奴隷制度の強要を否定するキャンペーンにより、軍事的ナショナリズムが煽り立てられています。NHKは、今やプロパガンダ放送機関へと変えられています。世界唯一の被爆国の外務大臣は、非核三原則にもかかわらず米国の核兵器を歓迎するとほのめかしただけでなく、極限的状況では国が(暗に日本も含む)核兵器を使う権利も認めたのです。そして、現実を否定する安倍首相の危険な動きは、憲法第9条の公式解釈をさらに歪めようとしている中にも見られます。

しかし、壊れた時計と同じく、安倍首相も日に2度ぐらいは正しいことを言うものです。まるで自分には非がないかのように、彼は今の東アジアの状況は1914年のヨーロッパと似ていると述べました。ヘンリー・キッシンジャー、ジョゼフ・ナイ、そしてアンゲラ・ケイン国連軍縮問題担当上級代表さえも、同じたとえをしています。彼らの警告を深刻に受け止めなければなりません。1914年当時と同様に、現在は新興諸国と衰退する大国の間で軍事的競争が激化している時代であり、領土紛争、資源の争奪戦、新たな破壊的技術による軍拡競争、複合的な軍事同盟関係、ナショナリズムが台頭し、安倍首相から金正恩にいたるまで、予測不能な行動をする指導者がいる時代です。1914年と同様に現在は、「大国間の戦争は人類滅亡を招くから起こりえない」という誤った思い込みが広がっている時代なのです。

米国の核政策と政治

息子ブッシュは過去の人となりましたが、米国はいまだに狂気を失っていません。外交よりも核戦争を好むダンカン・ハンター下院議員は最近、イランを核攻撃すべきだと主張しました。米国の核計画は数々のスキャンダルで難航しています。空軍では核兵器担当将校のギャンブルと試験でのカンニング、核兵器発射指令の暗号の漏えい、ずさんな安全検査と士気の低下が明らかになっています。海軍でも原子炉操作の試験で不正が発覚しました。メキシコ会議でも指摘されましたが、これらの状況は、核爆発や核戦争が人的ミス、誤算あるいはテロ攻撃で起こる可能性を高めています。

さらに昨年、米国は北朝鮮を目標にした核攻撃のシミュレーションを行いました。尖閣諸島をめぐって軍事的緊張が高まっているその時に、オバマ大統領は、中国が宣言したばかりの防空識別圏のなかを、核攻撃可能なB52型爆撃機を予告なしに飛行させました。このような挑発は破滅的な誤算を引き起こしかねないものです。

悲しむべきことに、核兵器のない世界をつくるというオバマ大統領の約束は、もはや信用できません。 彼は核不拡散イニシアチブを推し進めて核のアパルトヘイトを強め、一方でヘーゲル国防長官が「核兵器の近代化と、核発射用の新型潜水艦、ミサイル、爆撃機の開発によって米国の核兵器システムをアップグレードする野心的計画」と呼んだ近代化計画を推進しています。(1)まるで7700発の戦略核兵器では足りないかのようです。この近代化計画には1兆ドルもかかると見られています。(2)最近実験が行われたB-61重力爆弾は、米国の核兵器で初めて新型へ設計変更したものです。ロスアラモスには新しいプルトニウム工場、オークリッジにはウラン処理施設が建設予定です。オバマ大統領は、多国間軍縮外交の努力もしていません。2010年NPT再検討会議の合意事項であった中東非核兵器・非大量破壊兵器地帯会議の開催を拒否し、NPTをさらに妨害しています。オバマ政権は国連オープンエンド作業グループも、オスロとナヤリットでの「核兵器の非人道性」会議もボイコットしました。国連ハイレベル会合に参加した私たちは、米英仏3か国声明と米国代表が、ハイレベル会合やこれらの会議は「焦点を逸らせるものだ」と発言したことに唖然としました。

ロシアや中国との間で共通の安全保障外交を追求して軍縮交渉の基礎を築くのではなく、米国はNATOを拡大し、先制攻撃用の「ミサイル防衛」を配備し、宇宙空間とサイバー戦争で優位に立ちました。これによりプーチン大統領とロシア軍は、ますます核兵器への依存を強めています。中国は最近、ペンタゴンの「即時地球規模攻撃」ミサイルに対抗して自国製の超音速兵器の実験を行い、核兵器備蓄を拡大しつつあり、中国の「核先制不使用」の誓約は揺らぎつつあります。ブレティン・オブ・アトミック・サイエンティスツ誌が、世界の核兵器の98%を保有する米国とロシアに「交渉のテーブルにつく」よう求めたのも当然です。

良いニュース

ここで希望ある話題に移り、沖縄の人々の高い道義性と勇気をたたえましょう。米国と自民党の圧力、経済的な懐柔策、賄賂、仲井真知事の裏切りを跳ね返して、沖縄の人々は断固として、命を育み、平和と環境のために軍事基地を撤去する誓いを守りました。彼らのたたかいは私たちのたたかいであり、彼らの魂は、2015年NPT再検討会議に向けてとりくむ私たちを奮い立たせてくれます。

昨年8月の世界大会で、ジュディス・ルブラン(全米平和正義連合)と私は、日本の草の根の活動家たちが、「2010年よりもっと多くの活動家をニューヨークに連れて行きます」と発言する姿に深く感銘を受けました。私たちに大きな期待がかかっていることを、仲間たちは自覚しています。

いろいろな勢力を結集しなければなりません。昨年、AFSC、ピースアクション、核政策に関する法律家委員会、西部諸州法律基金、核時代平和財団が中心となって、米国の軍縮運動のリーダーたちによる協議を開始しました。政府への公開書簡への署名とEメールキャンペーンで、オバマ政権に、核兵器廃絶を目指す多国間軍縮外交に建設的に参加するよう求めています。私たちは、このキャンペーンの組織化から発展する協力関係を、NPT再検討会議にむけた大衆動員の基礎にしたいと考えています。

この春に行われるNPT準備委員会では数多くのサイドイベントが行われ、その中で私たちは5月5日に、廃絶2000の会議に続いて、世界と米国内の平和軍縮運動の参加を得て重要な企画会議を開きます。この会議では、世界の活動家が持ち寄って準備委員会の間に発展させたベストなアイデアをもとに、NPT再検討会議に向けて世界のNGOの具体的な計画を作る場となります。

メキシコ会議では、被爆者が証言し、核爆発の破局的な影響についての科学的研究が発表されました。みなさんは昔から理解してこられたことですが、これこそが世論を変えて政府を動かすための最も効果的な方法です。

メキシコ会議では、被爆者が証言し、核爆発の破局的な影響についての科学的研究が発表されました。みなさんは昔から理解してこられたことですが、これこそが世論を変えて政府を動かすための最も効果的な方法です。

それをわかっていたからこそ、核保有国のほとんどはこの会議をボイコットしたのです。人道的影響に焦点が当たることで、人々や各国政府がNATOの基盤である核戦力に反対するようになることを、米仏英の核兵器擁護論者たちは恐れています。最近彼らはこう述べています。「われわれは、核兵器の人道的影響に関する会議が長期的におよぼす意味合いを特に懸念している。この会議の根底にある目的は、核兵器を人道法違反だとして非合法化することだからである。」(3)

これが、2010年と同じく、ニューヨークに来られる被爆者と日本の活動家たちを、私たちが最大限に活用させてもらいたいもうひとつの理由です。ニューヨーク現地での様々な行事だけでなく、みなさんに、NPT再検討会議の前後の期間に全米各地の都市を遊説し、公開討論に参加して、私たちが米国内の運動を長期的に構築するのを援助していただきたいのです。

メキシコ会議では、NPTプロセスに対する諸国政府の不満を感じることができました。しかし会議でアンゲラ・ケインさんが強調したように、現実には、核保有国が交渉に参加して廃絶を実行しないかぎり、私たちが核兵器廃絶を達成するのは不可能です。欠陥はありますが、NPTは重要な条約です。そして草の根からの人々の行動がなければ、核兵器国を動かすことはできません。

残念ながら、アメリカ国内で核兵器問題をふだん考えている人は少数です。国民を動員するためには、日々の生活での懸念事項に取り組む必要があります。高い失業率、何百万人という米国民が苦しんでいる経済的不安とストレスが、今人々が一番心配していることです。それにこたえてアメリカの平和運動は今、「税金の使い道を変えよ、(核兵器を含む)軍事費を減らせ」をスローガンに、浮いた税金を、必須の社会サービス、雇用創出、インフラの整備へ回すよう要求しています。NPTに向けた動員を成功させるためには、このように諸課題を結び付ける必要があります。

私たちが計画を作る中で、核兵器のない世界をめざして国連などの場で先頭に立っている非同盟諸国をいかに動員するかについても提案させてください。まず、9月26日の核兵器廃絶国際デーを最大限に利用すること、そして中東非核兵器・大量破壊兵器地帯の実現を要求することです。2010年NPT行動計画で決定していたこの中東非核化会議を共同で開催するのを米国政府が拒否したことは、NPTそのものを危機にさらしています。

4年前に私たちが行った、タイムズ・スクエアから国連への行進は、世界の核兵器廃絶運動家たちの魂と献身性を世界に示しました。原水協が集めた、人々を鼓舞し畏敬の念を抱かせるほどの700万人分の署名、NPT国際平和会議で潘基文国連事務総長が受けた総立ちの拍手とともに、私たちは、国家権力が集まる場で核兵器禁止条約の交渉を要求する人々の意志を激励し、強めたのです。これをまたぜひやりましょう。

最後になりますが、東アジアの政治動向と軍事的緊張、核兵器近代化と拡散の危険の高まり、そして私たちが突破口を作り出してきたもとで、これからの一年、私たちは全力をあげて、2015年NPT再検討会議が、核兵器廃絶条約の交渉開始を確かなものとするよう頑張らなければなりません。団結すれば、私たちは必ず勝利できます。

(1) David Alexander. “U .S. needs modern nuclear deterrent despite high price tag –Hagel” , Reuters, January 9, 2014. http://www.reuters.com/article/2014/01/09/us-usa-nuclear-weapons-idUSBREA0806D20140109

(2) “Reality Sets In”, New York Times editorial, Nov. 10, 2013

(3) Center for Strategic & International Studies. “CSIS European Trilateral Nuclear Dialogue: 2013 Consensus Statement.” 24 January, 2014, http://csis.org/files/publication/2014_1_24%20FINAL%20Consensus%20Statement_0.pdf



 
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