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被爆60年-核兵器廃絶・国際フォーラム

ジャッキー・カバソ
「廃絶2000」全米コーディネーター/全米平和正義連合核軍縮部会責任者
西部諸州法律基金執行理事

アメリカの反核運動の展望と国際連帯の必要性

 2005年ビキニデー行事に招待していただき日本原水協に感謝いたします。ここに参加することができとても光栄です。第2次世界大戦後に生まれたアメリカの市民として、1954年3月1日、ビキニ環礁で行われた「ブラボー」水爆実験の熱線、爆発、放射線による耐えがたい被害をうけた、第五福竜丸と1000隻近い日本のまぐろ漁船の被害者の方々に個人として謝罪を申しあげます。また、この恐ろしい事件によって生活が永久に破壊されたロンゲラップとウトリックの人々にも謝罪を申し上げます。被爆60年に再び、広島と長崎の被爆者の方々にも謝罪します。私の政府が原爆投下を行ったのです。私は大人になってから、核兵器廃絶のために全人生をかけてきました。広島、長崎の原爆投下と太平洋の核実験は、不埒で、不道徳で違法なものです。このとてつもない大量破壊兵器の使用を何ものも正当化することはできません。残念なことに、核軍縮の当面の展望はきびしいです。その悪いニュースについてまずお話します。

ジョージ・W.ブッシュが2期目の大統領に再選されたことにより、当面の核軍縮の見通しは、いっさいのあいまいさがなくなりました。多くの人が、ジョン・ケリーが大統領になることで核軍縮の進展に道が開かれることを望みましたが、現実にはそれもおそらく事態を複雑にするだけだったでしょう。ケリー候補は「新たな」核兵器に反対すると言い、また同盟構築とか北朝鮮との直接対話の用意があるとか、あいまいながら前向きの考えを支持しましたが、それも、彼自身述べたように「世界最強の軍を新たな脅威にあわせて近代化する」ことを前提とした新しい国家安全保障政策を背景としたものでした。
米国の核政策について言えば、ケリー政権はクリントン政権ときわめて似通ったものになっていたでしょう。冷戦終結とともに先例のない歴史的機会が訪れていたのに、現在の米国の核政策は1994年、クリントン民主党政権による逆行的な核態勢見直しによって築かれました。97年のクリントン大統領による大統領指令は、核兵器第一撃使用脅迫が米国の国家安全保障の「土台」であることを確認し、さらに核兵器の役割を、核・化学・生物兵器を「抑止」するものへと拡大することを企図しました。
ブッシュ政権は、この政策を強め拡大するばかりか、条約にもとづく国際法への長期の明言された約束を省みず(それがしばしば弱い約束であっても)、より無謀なものにしました。2期目に同じことがさらに強引に行われるということを確実に予測できるわけですから、私たちは、軍備管理と軍縮に対する過去のアプローチの批判的評価をおこない、今後何年も通用する新しい戦略をつくらなければなりません。

ジョージ W.ブッシュは、再選により国民に信任されたと言っていますが、投票した米国民の半数近くがブッシュに反対したのです。しかし、上院で共和党が大幅に増加し、長年の間ではじめて共和党が政府、上院、下院のすべてを制したことは重大な事実です。その上、選挙後早々とブッシュのホワイトハウスが示唆したことは、新たに任命される閣僚には、いかなる手段であれ同政権が必要とみなす手段を使って中東やその他の緊張した地域に「自由」と「民主主義」をもたらすことを決意したアメリカ帝国の一方的軍国主義的世界観を支持する者を優遇することでした。ブッシュに忠実な国家安全保障担当補佐官のコンドリーサ・ライスが国務長官に昇進し、それに代わって国家安全保障担当補佐官にスチーブン・ハドリーが任命されました。彼は、核のタカ派であり、次のような覇権主義的見解を示しています。「世界が永続的に核兵器なしで存在し続けるなどということは確信し得ないため、アメリカなど一部の国は、他国による核兵器の取得や使用を抑止するために核を保有し続けなければならない」。ハドリーはこうも述べています。「もし核兵器が本当に必要であるなら、それは他国の核兵器を抑止するためにだけである」ということが、「しばしば暗黙の前提となっている。」「この暗黙の前提が真実であるか、私はわからない。」

現在の情勢で、首都ワシントンでロビー活動をするといった通常の方法でせいぜい成し遂げられることは、際立って横暴な計画をやめさせることくらいです。幾分驚くべきことに、堅固な地中貫徹型核兵器(RNEP)と先進兵器構想(AWC)への予算支出で下院共和党議員はその削減を求めましたが、2006年予算要求では、RNEP予算が返り咲きました。また、新たな「信頼できる弾頭交換」計画もつくられています。RNEPとAWCに昨年反対した同じ共和党議員がこれを熱烈に支持しました。アメリカは核弾頭を維持し近代化するために、今年70億ドル近くを費やします。さらに数十億ドルが、その運搬、司令、制御システムの操作、グレイドアップのために支出されます。何度核兵器使用が必要になる状況になっても、それに対応できるように、今後数十年核兵器が使用できるようにしておくためです。弾道弾迎撃ミサイルのアラスカ、カリフォルニア配備は着々と進んでいます。
この強大な破壊をやめさせるうえで、ブッシュドクトリンが、ハリー・トルーマン(民主党)大統領が1945年に広島・長崎への原爆投下を承認して以来、民主党、共和党を問わず歴代の政権が遂行してきた計画・政策の継続・拡大であることを理解することが不可欠です。現在、2000以上の「古い」戦略核弾頭が即時発射体制にあり、地上発射ミサイルや、現在も冷戦時と同じ水準で海洋パトロールをしているトライデント潜水艦に配備され、2,3の短いコンピューターの信号を受けるやいなや、地球上どこにでもただちに標的を定める用意ができています。そして最近、アメリカはNATO6カ国に約480の核爆弾を配備しているとの報道がされました。

この暗い状況にもかかわらず、いくつか希望がもてる要因があります。
1)2004年の大統領選挙は、たくさんの若者を含め、初めて国中で多くの活動家を動員しました。これらの人々をひき続き結集し、人類が直面するもっとも重要な問題で教育する大きなチャンスとそのための課題とが存在しています。
2)イラクでの米兵士の死傷者数の日々の増加、戦争と占領に対する軍属や元政府高官の抗議の高まり、イラン、シリア、北朝鮮に対する新たで険悪なアメリカの威嚇とともに、米国に強力な、本流の反戦運動が登場する可能性が存在しています。冷戦と「相互確証破壊」の終結以来長い間、新しい世代の平和活動家に核兵器の増大する危険について教育することは容易ではありませんでした。しかし、この2年、米国の廃絶二千グループは反戦運動の中に核軍縮運動を根づかせるために活動してきました。その結果、全国でおよそ1000近い団体を擁する最大の反戦連合、全米平和正義連合が、2005年核不拡散条約(NPT)再検討会議開会前日の5月1日ニューヨークで、核を戦争の口実にしないこと、地球的核兵器廃絶の計画を要求して、大規模なデモを共催することに合意しました。
3)広島・長崎の被爆60年と、広島・長崎市長の「核兵器のない世界を創るための記憶と行動の一年」のよびかけは、米国の公教育に有益な枠組みを与えています。廃絶二千の「いま、核兵器の廃絶を」キャンペーンは、市長提案の「核兵器廃絶の緊急行動」を国際的に広げています。アメリカの市長たちに世界平和市長会議に登録し、秋葉、伊藤市長率いる5月の再検討会議への国際市長代表団に参加することをよびかけています。多分、より重要なことは、市長キャンペーンは大小を問わず全米の地方組織が、自分たちの市町村長に働きかけ、核兵器の脅威について市民を教育するための強力な組織手段を提供していることです。2005年8月6日、米国の核兵器政策に抗議する全国的な抗議行動がローレンスリバモアとロスアラモスの兵器研究所、ネバダ実験場、テネシーのY12核工場で行われます。これらは米国の活発な核兵器複合体の核をなすところです。8月9日には、全米の市町村の公民館で、キャンドルを灯したビジルを行うことを呼びかけています。ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ。
たった今、いくつかよい知らせが届きました。アメリカの異常な圧力にさらされていたにもかかわらず、カナダの首相は、アメリカの弾道ミサイル防衛構想に参加しないことを発表しました。これは、カナダの立場の劇的な転換であり、平和運動の大きな勝利です。国際連帯、特に、アメリカとカナダの平和活動家の緊密な協力の重要性を示しました。

アメリカの反戦・反核運動は、非核三原則と日本憲法第9条を守り、イラクおよび日本の米軍基地に、「自衛隊」と呼ばれる軍隊を配備することに反対する日本の運動と連帯しています。日本は、戦争における核兵器の破壊を経験した唯一の国として、特別の道義的な地位にあります。だからこそ私は日本のNGOに日本政府と日本企業に圧力をかけるよう呼びかけます。今こそ日本はアメリカの核の傘から抜けるべきです。日本はヨーロッパ諸国などと共同して、アメリカのミサイル防衛計画に反対し、戦域ミサイル防衛の研究・開発から離脱すべきです。また日本はウラン濃縮やプルトニウム再処理活動を止め、「もんじゅ」や「六ヶ所村」の核施設を永久に閉鎖すべきです。日本企業はリバモア研究所にある標準規模のレーザー施設である国立慣性核融合炉のようなアメリカの核兵器計画への参加を拒否すべきです。日本は核兵器が地域の安全保障を提供するという考えを捨て、日本および朝鮮半島を含む北東アジア非核兵器地帯の創設についての交渉開始を呼びかけるべきです。日本は新アジェンダ諸国を支持し、同じような目標をもつ諸国やNGOとともに、より強力な連合を発足させ、間近に迫ったNPT再検討会議で地球規模の核軍縮努力の先頭に立つべきです。
 
以下に私が自国アメリカの政府に要求していることを述べます。
アメリカは直ちに法の支配にたいする自らの責任を再確認し、遅れているNPTの約束を果たすとともに、核軍拡競争をやめ、自国の核兵器の廃絶交渉をおこなうべきである。アメリカは包括的実験禁止条約(CTBT)を批准し、RNEP、小型核兵器、およびこれら兵器の運搬システムの研究開発を含む、自国の核兵器戦力の「改良」をめざす全ての努力を止めるべきである。アメリカは既存の兵器製造施設のグレードアップ計画を中止し、プルトニウム・ピット製造やトリチウム生産のための新施設の建設をやめるべきである。アメリカはミサイル防衛のための計画を中止し、宇宙への核兵器配備を禁止する努力を支持すべきである。生物・化学兵器を保持しているとの疑惑をもたれている国を脅す代わりに、生物・化学兵器禁止条約を強化するよう努力すべきである。アメリカは、厳密な国際管理のもとで、検証できるような方法で核兵器を廃絶し、全世界で核ミサイルを禁止する包括的な交渉を提唱することによって、自らが始めた核軍拡競争から世界を抜け出させるべきである。
史上最強の国が、「国家安全保障」の名のもとに単独での核兵器の先制使用を振りかざしていれば、それに倣う国があっても驚くにはあたらないでしょう。9月11日のテロ攻撃の後、イラクで実行され、今なお展開され破壊をもたらしているブッシュの先制戦争ドクトリンは、私たちが緊急に新しい安全保障の定義を見つけなければならないことを明らかにしました。もはやバンカーバスター、小型核兵器など個別の兵器に反対するだけでは間に合わないところまで事態はすすんでいるのです。私たちは地球市民として、地球上の全ての人に食料、住宅、医療、教育、清潔な水と空気を保証し、武力行使あるいはその脅しではなく、多国間機関や非暴力メカニズムをつうじて国際紛争を解決するという原則に立脚した、「人間の安全保障」という、より持続可能な考え方を要求しなければなりません。
やや逆説的ではありますが、私はマンハッタン計画に参加したアメリカの核物理学者ラルフ・ラップ博士の言葉で発言を締めくくりたいと思います。今日、私たちが思い起こしている悲劇が起こって数年後に、博士は次のように書きました。
「(核兵器の)本当の攻撃力は福竜丸のデッキで明らかになった。爆発から100マイルも離れた人間を、爆弾が音もなく触れただけで殺すことができるようになったとき、世界は突如として、人間が原子を管理するには狭すぎる場所になる。23名の男たちが冒険によって奇しくも獲得したこの知識のおかげで、いつの日か彼らの航海はコロンブスの航海に匹敵するものと世界が評価するようになるかもしれない」。

ありがとうございました。



 
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