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被爆者との連帯【チェルノブイリ】

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チェルノブイリ医療センター
ゲディミナス・リムデイカ(1997年国際会議)

チェルノブイリ

原水爆禁止1997年世界大会 国際会議

チェルノブイリ医療センター
ゲディミナス・リムデイカ

チェルノブイリ事故から11年後のリトアニア


  リトアニアのチェルノブイリ医療センター(LCMC)は、1986年から1990年まで、チェルノブイリ原発の爆発事故による汚染除去のため、原発から30キロ以内の地帯に派遣されたリトアニア人の健康状態を調査しています。1991年からは、汚染除去労働者全員に、毎年、健康診断を受けるよう要請しています。またチェルノブイリ原子力発電所(NPP)汚染除去にたずさわった労働者の名簿を、リトアニアのチェルノブイリ労働者名簿のデータを基にして作成しました。

  リトアニアのチェルノブイリ労働者名簿は、1991年に、以下の情報源に基づいて作成されました。

1.1 旧ソ連軍事人民委員会名簿
1.2 内務省名簿
1.3 建設・都市開発省名簿
1.4 運輸省名簿
1.5 イグナリナ原子力発電所職員名簿
1.6 旧ソ連チェルノブイリ汚染除去労働者登録カード
1.7 (リトアニアの)地方医療機関およびリトアニア社会運動「チェルノブイリ」の名簿の補足的リスト
1.8 その他

  チェルノブイリ医療センターは、この名簿を作成した他に、以下の業務を行なっています。

2.チェルノブイリ原発(CNPP)の汚染除去労働者で、ビリニュスおよび周辺地域に住む人々のプライマリー・ケア。
3.リトアニアの他の都市や地方に住むCNPP汚染除去労働者の診療、専門家による検診、分析および入院治療。
4.リトアニアの保養地でのリハビリの手配。
5.共和国専門委員会に患者を送り、患者の疾病とチェルノブイリ事故現場での汚染除去作業との関連を証明する。
6.科学的研究を行ない、低レベル電離放射線の被曝が人体にどのような影響を及ぼすか、その過程をより良く理解する。
  6.1 患者の免疫系の状態を分析する。
  6.2 ガンに罹るリスクの研究。
  6.3 甲状腺の検査。
  6.4 末梢血管内のリンパ球における染色体変異の判定。
  6.5 死亡原因の分析。
  6.6 過去の被曝量の測定。

  現在、リトアニア・チェルノブイリ名簿には5、626名が登録されています。

  チェルノブイリ原発事故による汚染除去には7、000名以上が参加したと推定されています。このうちの約1、700名の汚染除去労働者はリトアニアのチェルノブイリ医療センターに登録せず、今後も登録するかどうかわかりません。登録しなかった人の一部は、チェルノブイリで働いたことを忘れたいと思っているか、あるいは自分で問題を解決しようとしています。

  チェルノブイリで被爆した人の比率は、リトアニアの男性100人につき1人で、その大半が1945年から1958年に生まれ、事故発生時には18歳から40歳でした。これまでに264名が死亡しましたが、その多くは、事故や外傷が原因でした。

  放射線に被曝したことは、汚染除去労働者の一生の重要な側面です。チェルノブイリ医療センターのデータでは、被爆した放射線量が分かっているのは、汚染除去労働者の69%にすぎません。平均体外被曝量は114ミリ・シーベルトでした。線量計を自分の身につけていた労働者は少なく、多くの場合が労働者グループ全体の被曝量を測る線量計で測定した値しかありません。1986年における汚染除去労働者の平均被曝量は200ミリ・シーベルトで、1987年では約100ミリ・シーベルトでした、汚染除去労働者の大半が90ミリ・シーベルト前後、被曝しています。健康を害する危険が高い200ミリ・シーベルト以上被曝した労働者はそれほど多くありません。

  先にも述べましたが、被曝線量が名簿に記録されているのは登録者の約70%しかいません。それでは実際の被曝量をつきとめる可能性はどれくらいあるでしょうか。複雑な調査をしなければ、具体的な数値を確定することはできません。ビリニュスとピッツバーグの両大学で、汚染除去労働者の遺伝学的血液検査が行われました。この結果、物理的定量と生物学的定量のあいだに満足のいく一致が見られました。結果で、不一致が見られたケースは少数でした。ラトビアとエストニアの汚染除去労働者の血液検査からも同様の結果が得られています。

  被曝線量(約114ミリ・シーベルト)を考慮すると、汚染除去労働者は比較的少量の放射線に被曝した人々と分類することができ、従ってその健康指数もこの分類に従って推定されなければなりません。これ以上の放射線量の被曝がどのような影響を及ぼすかについては十分な調査がなされていず、また1986年やそれ以降にもほとんど知られていませんでした。

  汚染除去労働者の健康状態の観察と死亡原因の分析は、チェルノブイリ事故の影響が人々の健康に認知できる作用を及ぼしていることを示しました。また診断からは、心臓血管、消化器、神経系などの障害の頻度が、通常よりも高いことが明らかになりました。さらに死亡原因の分析は、外傷や事故の頻度が相対的に高いことを明らかにしました。
外傷や事故が原因の死亡は、減少傾向にありますが、悪性腫瘍やその他の疾病は増加傾向にあります。

  それでは、汚染除去労働者の負傷や自殺は、一般人と比べて本当に多いのでしょうか。この疑問に客観的な答えをだすために、リトアニア人の死亡原因の包括的な分析が行なわれました。年齢別の死亡の特徴と規則性は、外傷、悪性腫瘍、および血液循環系の疾患による死亡を比較することで調査しました。40歳までの年齢層の主要な死因は外傷と事故で、それ以上の年齢では血液循環系と悪性腫瘍が多くなっています。

  これらの年齢別の死亡の規則性を知ったことによって、汚染除去労働者は比較的若いことから、(チェルノブイリ事故の時点での平均年齢は34歳)、彼らが外傷や事故で死亡する確率は相対的に高くなることが予想されました。実際、死亡原因で最も多かったのは、外傷と事故であり、この死亡構造を研究することは非常に重要です。

  汚染除去労働者の死亡率を客観的に推定するために、基準となる指標を算出しました。基準としては一部のリトアニア男性の指標を使用しました。様々な原因による汚染除去労働者の死亡率は、一般男性よりも高く、特に若い年齢層と高い年齢層を比較するとこの差はよりはっきりします。特に自殺による死亡では最も格差が大きく、汚染除去労働者は一般人の1.37倍で、特に1940年から1954年までに生まれた人々では、1.8倍にもなっています。アルコール中毒による死亡も、年齢の高い層で、汚染除去労働者の方が頻度が高くなっています。もう一つの重要な死亡原因はガンで、汚染除去労働者の方が普通の人よりも頻度が高くなっていますが、ガンの罹病率でみると、一般男性と汚染除去労働者の差は僅かです。放射線の影響を分析した多くの調査でも、同様の現象が見られたことは注目に値します。

  チェルノブイリ事故は汚染除去労働者の生命を奪い、健康を損ないました。このことは決して忘れることはできません。1997年6月25日、サピエガ病院の敷地内に、チェルノブイリ犠牲者を追悼する御影石の記念碑が建てられました。この日は、11年前にチェルノブイリで働いたリトアニア人から最初の死亡者がでた記念日です。土を積み上げた塚の上に建つ記念碑は、恐ろしいものを遠ざけるように両手で顔を覆っている女性の形をしています。

  記念碑が建てられた場所は、チェルノブイリ事故の汚染除去のために働いた労働者たちが治療を受けた象徴的な場所です。汚染除去労働者たちは、サピエガ病院の公園にある塚には、やがて人々が訪れ、その前にたたずみ、花を供えるようになると言っています。病院は、彼らの第二の家になりました。

  どんな悲劇も、そしてとくにヒロシマ・ナガサキの悲劇を、私たちは忘れてはなりません。私たちはそれを記憶し続け、二度と繰り返すことを許してはならないのです。

ノーモア・チェルノブイリ!
ノーモア・ヒバクシャ!
ノーモア・ヒロシマ、ナガサキ




 
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