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原水協(原水爆禁止日本協議会)
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機関会議の決定書類/談話/声明

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運動方針第88回全国理事会決定・2016年度運動方針
被爆者とともに
核兵器全面禁止、非核平和の日本の実現へ、新たな前進を切り拓こう

はじめに

被爆70年を経て、いま諸国民の世論と運動が、草の根でも国際政治でも新たな転機をつくり出している。

昨年、日本原水協が世界の反核平和団体と共同してNPT・ニューヨーク行動に結集した核兵器禁止条約の交渉開始を求める633万の署名は、核兵器禁止の流れを後押しする重要な役割を果たした。一方、核保有国などは、国際世論と真っ向から対立し、「核抑止力」論に固執しつづけており、これ打ち破ることが重要な課題となっている。

日本では、戦争法に反対する国民的運動が、戦後かつてない歴史的高まりを見せており、情勢にふさわしい原水爆禁止運動の発展が求められている。

7月の参議院選挙で、改憲を狙う安倍政権の暴走をくいとめ、平和と民主主義、非核日本への展望をひらき、原水爆禁止2016年世界大会を大きく成功させることが求められている。

第88回全国理事会は、核兵器をめぐる今日の情勢と課題を明らかにし、2016年の運動方針を討議・決定する。また、会則に則り決算、予算を決定し、次期役員を選出する。

I、核兵器をめぐる情勢と課題

核兵器全面禁止・廃絶に具体的に足をふみだすのか、「核抑止力」論にしがみつき、これに背を向け続けるのか―この選択がこれまでになく鋭く問われている。

世界には依然として16000発もの核兵器が配備、貯蔵され、世界の平和と安全、人類の生存を脅かしている。ウクライナやシリアの紛争、南沙諸島問題、北朝鮮の核実験強行など、核大国を巻き込んだ緊張の激化や軍事紛争には、核兵器使用の危険すら感じさせるものがある。

核の脅威を一掃し、「核兵器のない世界」へ前進するために、「核抑止力」論を打ち破り、国際政治を核兵器禁止にむけた実効ある措置に踏み出させることが強く求められている。

1、核兵器禁止の新たな流れと核保有国の抵抗

1)2012年に16か国の共同声明から始まった核兵器の非人道性を告発する動きは、昨年のNPT再検討会議で国連加盟国の8割をこえる159か国に急速にひろがり、第70回国連総会では、核兵器を非人道兵器として全面廃絶することを求める決議「核兵器の人道上の帰結」が初めて採択された。

もう一つは、核兵器の非人道性の告発にとどまらず、核兵器を禁止する条約、それに準じる法的措置を求める流れの強まりにある。国連総会では、昨年に続いて核兵器の開発、製造から実験、保有、使用のすべてを禁止する包括的条約の交渉をただちにジュネーブの軍縮会議で行うことを求める非同盟運動の「ハイレベル会合の後追い」決議に加え、すべての国に核兵器禁止・廃絶のための法的ギャップを埋める効果的な措置を求める「人道の誓約」決議(オーストリアが主導)や、核兵器を禁止・廃絶する法的拘束力を持つ措置を求める「倫理的義務」決議(南アフリカ)が加盟国の3分の2を超える賛成でそれぞれ採択された。

さらに、法的措置を議論する「作業部会」を求める決議「多国間核軍縮撤廃交渉の前進」も138か国が賛成して採択された。決議は、国連総会の補助機関として2016年のしかるべき時期にジュネーブで15日間の日程で「オープンエンデッド(期限、参加に枠をはめない)作業部会」を開催することを求め、市民社会の参加も重視している。作業部会は2月、5月、8月に予定されており、作業部会や秋の国連総会への対応が重要となっている。

2)こうした核兵器の非人道性の告発と「法的措置」を求める流れの強まりに、核保有国はこれまで以上に反発を強めている。

米ロ英仏中5か国は、揃って「安全保障の観点を無視して、核軍縮をすすめようとするもの」と非難し、「ステップ・バイ・ステップ(=段階的な前進)が唯一の実際的な選択だ」と主張し、米ロ英仏4か国は、核兵器の全面禁止や「法的拘束力を持つ措置」を求める決議すべてに反対した。また、日本を含むアメリカの同盟国、NATO加盟国など核兵器に依存する国々の政府も、核保有国に同調して「ステップ・バイ・ステップ」を主張し、核兵器の全面禁止や法的措置につながる決議にことごとく反対もくしは棄権している。

核保有国が一番恐れているのは、核兵器を「悪」と認めれば、その禁止は当然とされ、ただちに廃絶にすすまざるをえないからである。

核保有国の抵抗を打ち破り、「核兵器のない世界」に前進するために、現状打開に努力する諸国政府との共同、核保有国での世論構築が不可欠となっている。そのためにも被爆国日本の運動の役割はいっそう重要である。

2、核兵器廃絶と世界平和に貢献する日本を

1)いま日本に求められていることは、国際政治に生まれている核兵器禁止の新しい流れに合流し、これを促進する被爆国にふさわしい行動をとることにある。

しかし、日本政府は国連総会において自ら提案した決議「核兵器の全面廃絶に向けた共同行動」でも、核兵器禁止やそのための条約、期限などに一切言及せず、「ハイレベル会合の後追い」決議、新たに提案された「人道の誓い」決議、「多国間核軍備撤廃交渉の前進」決議など、核兵器禁止条約やそのための交渉に触れているものすべてに「棄権」の態度をとり続けた。

重大なことは、こうした日本政府の態度が「極限状況」を理由に核兵器の使用をも前提としたアメリカの核戦略と直接結びついていることにある。

オバマ米大統領は、2013年12月に「核兵器使用戦略」を採用し、その中で「核兵器は、アメリカや同盟国の死活的利益を守るための極限状況においてのみ使用を検討する」ことを明らかにした。昨年4月に改定された日米防衛協力の指針「ガイドライン」には、米国はひき続き「核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じ、日本に対して拡大抑止を提供する」ことが改めて明記された。

戦争法案をめぐる国会審議で、中谷元防衛大臣は、他国軍の後方支援(兵站支援)において自衛隊が核ミサイルなど核兵器を輸送する可能性も「法文上は排除しない」と答弁した。こうした事実は、アメリカが起こす戦争に自衛隊が参戦し、アメリカが極限状況と判断すれば、核兵器を使うという最悪のシナリオが現実の危険として存在していることを示している。

2)戦争法の施行が3月に迫るなかで、アメリカが主導する「対テロ戦争」に自衛隊が参戦し、自衛隊員が「殺し殺される」危険が増大している。安倍政権は過激派武装組織ISに対する空爆などの軍事作戦への参加について「法律上は可能」とし、「要請があれば断る」(安倍首相)と述べるものの根拠は示していない。アフリカの南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派遣している自衛隊部隊に「駆け付け警護」任務も与えようとしている。

安倍首相は予算委員会で、戦力不保持を規定する憲法9条2項の改定=削除、首相の権限強化や国民の権利制限のための「緊急事態条項」の創設に言及するなど、改憲への執念をあらわにしている。

憲法違反の戦争法廃止を求め、1月4日の国会開会日に安倍政権の退陣を求めて国会正門前に3800人が詰めかけ、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」の最初の街頭宣伝に5000人が結集し、その後も全国各地で戦争法廃止、立憲主義をとりもどす様々な共同と行動が全国各地にひろがっている。

7月の参議院選挙は、日本を「戦争する国」ではなく、憲法と非核三原則を守り、平和と安全の方向に変える極めて重要な意義をもっている。草の根からの共同で戦争法廃止2000万人署名をやりとげ、安倍政権を包囲し孤立させるために全力をあげよう。

Ⅱ、2016年の活動計画

被爆70年の到達点を踏まえて、核兵器の非人道性から核兵器禁止を求める流れを国際政治でも草の根でもさらに大きく発展させ、「核兵器のない世界」実現の実効ある措置、核兵器禁止条約の交渉開始を実現する。そのために、被爆の実相と核兵器廃絶の声を被爆者とともに内外に広める活動を抜本的に強化する。

被爆国日本が、憲法9条と国民の非核の願いに立って、「核の傘」から離脱し、核兵器の全面禁止・廃絶のために活動する国となるよう、戦争法反対の国民的運動の教訓(一点での共同)を活かし、国民各層の運動との協力と行動を大きく発展させるために全力をつくす。

1、核抑止力論を打ち破り、核兵器の全面禁止・廃絶を

1)被爆70年のとりくみ、「核兵器全面禁止のアピール」署名の到達と成果をふまえながら、被爆国日本での国民的規模の統一した世論の結集、それを土台にして核保有国をはじめとする世界的な世論の発展、核兵器の人道性の議論と法的措置を求める国際政治との共同を発展させる。

現在準備されている被爆者の連名による、核兵器禁止・廃絶のための行動―条約交渉の開始を含む―を全面的に支持し、積極的に協力することを内外にひろくよびかける。
・被爆者団体との相談や懇談の場を設け、運動の推進について意見交換を行う。

2)新しい署名とむすびつけて、国民各層、とりわけ若い世代が被爆の実相と被爆者の体験、願いを知り、核兵器廃絶の願いを共有するために全力をあげる。そのためにも被爆者を支援し、すべての自治体や学校、社会教育諸施設に被爆者の体験を聞く会、原爆写真パネル展の開催、映画、図書の普及などでの協力を働きかける。

3)核保有国や核依存国をはじめ、世界の市民社会の運動と協力し、被爆者とともに被爆体験と被爆の実相、核兵器全面禁止・廃絶の声を広げる。
・5月、リトアニアでのチェルノブイリ事故30年記念式典への参加(日本原水協に招待)の機会を活かし、バルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア)に代表団を派遣する。
・9月にベルリンで開かれるNGO国際会議(IPB主催)に代表団(被爆者遊説を含む)を派遣する。
・被爆組写真を海外に贈る新たなキャンペーンにとりくむ。

2、「核の傘」からの離脱、戦争法廃止、憲法9条と非核三原則を守る日本へ

1)戦争法廃止を求める2000万人署名運動を草の根から大きくひろげる先頭に立つ。とりわけ「核兵器全面禁止のアピール」署名でつながった自治体関係者をはじめ、広範な団体・個人に署名への協力を働きかける。戦争法廃止の国民連合政府をめざす市民運動の一端を担って奮闘する。

2)戦争法廃止と結びつけ、「核の傘」からの離脱、「日米核密約」の破棄、非核三原則の順守を求める対政府申し入れを行う。同じ趣旨で日本政府に対する自治体意見書運動にとりくむ。41周年を迎えた非核「神戸方式」を守り、全国化の運動を推進する。核兵器積載可能な米艦船・航空機の寄港に反対し、米国大使館(領事館)と港湾管理者への要請をおこなう。

3)日本の非核平和に直接かかわる課題として、沖縄・辺野古への新基地建設反対・普天間基地撤去のたたかいを支援する。東京湾・横須賀の原子力空母「ロナルド・レーガン」の配備についての世論の啓発(例:意見ポスター、首都圏シンポジウム)などを重視する。

3、被爆者とともに

1)被爆者の平均年齢は80歳を越え、被爆者組織も後継体制がつくれないなど、多くの困難に直面している。被爆体験とともに被爆者運動が果たしている役割の継続と継承は、被爆者にとどまらず人類史的事業である。被爆者運動をささえるために財政的に組織的にも援助を抜本的に強化する。

2)被爆者や家族、二世、三世がこれからも核の惨禍の証人、核兵器廃絶の証言者として役割を果たしていけるよう、各都道府県、市区町村でつながりを強める。被爆者訪問活動など支援のネットワークづくりを重視する。青年が参加する被爆体験・被爆証言の「聞き取り・語り残し」運動を重視する。

3)被爆者援護・連帯活動の定着と前進を目的に、学習・交流集会を全国とブロック単位で開催する。

4)原爆症認定制度の抜本的改善を求め、署名、支援募金、裁判の傍聴など、全国のノーモア・ヒバクシャ訴訟への支援を強化する。

5)被爆者運動と被爆者をささえる「被爆者援護・連帯2000万募金」を国民募金運動としてとりくみ、成功させる。「6・9」行動の実施か所を拡大し、参加をひろげる。

4、2016年3・1ビキニデー、国民平和大行進、世界大会の成功

<3・1ビキニデー>

被災62年3・1ビキニデーを、ビキニ水爆実験被災者の救援、戦争法廃止と辺野古への新基地建設に反対する国民的たたかいの結集、新たな国際署名キャンペーンの全国的スタート、2016年世界大会をめざす運動の出発点として成功させる。すべての市区町村からの代表参加を追求する。

若い世代の参加を特別に重視する。3・1パンフを使った学習、カラーチラシを活用した宣伝、募金帳による代表派遣活動を強める。昨年に続けてビキニデーを、日本政府に被害の全容解明と被害者支援を求める場として成功させる。

<国民平和大行進>

今日の情勢にふさわしく、国民共同の平和行進として大きく成功させる。被爆者とともに、すべての自治体を訪問し、被爆体験の継承と普及、新しい国際署名への賛同、非核平和行政の拡充を要請する。

DVD「一歩でも二歩でも」の上映会を自治体との共同開催や後援を含めて、地域・職場・学園で無数に開き、行進への参加を抜本的にひろげよう。昨年に続き、被爆者の願いをつなぐ「国際青年リレー行進」を成功させる。

<原水爆禁止世界大会>

原水爆禁止2016年世界大会は、被爆70年に切り開いた核兵器禁止・廃絶の流れを総結集し、国際的、全国的な共同と連帯の大会として成功させる。世界大会の中で誕生した日本被団協結成60年の節目の大会として、被爆者の願いに応える大会として成功させる。

また、「核兵器のない平和で公正な世界」の実現へ、反戦平和をはじめ、いのちとくらし、地球を守る諸運動との連帯を前進させる。広島を主会場に、今日の情勢にふさわしい規模と内容で成功させる。

5、福島原発事故被害者支援、放射線被害の根絶、原発ゼロの運動との連帯

「核の被害者をつくらせない」の願いを一つに、原発の再稼働と輸出に反対し、原発からの脱却と自然エネルギーへの転換を求める運動との連帯を強化する。「原発をなくす全国連絡会」に結集し役割を果たす。

チェルノブイリ原発事故から30年、東京電力福島第1原発事故から5年。被害の実態について学び、ひろげ、支援を強める。福島第1原発事故被災地への「ちひろカレンダー」贈呈のとりくみを継続し、被災者と被災自治体との連帯・支援を強化する。世界の核被害者への支援と連帯を強める。マーシャル諸島への核実験被害の調査と島民を支援するために代表団を派遣する(秋以降を予定)。

6、原水協の拡大・強化

1)核兵器廃絶の推進とともに、被爆者と結びつき、援助しささえるために、都道府県と地域原水協の役割はこれまでになく重要となっている。原水協の確立・強化を重点課題と位置付け、中央団体と都道府県原水協が連携してとりくむ。

機関会議の定期開催、事務局体制の確立・強化、地域原水協事務局長の会議(交流会)、加盟労組・団体の担当者の交流会などの努力をつよめる。

2)日本原水協の機関紙である「原水協通信」を反核平和運動の専門紙、広範な市民に原水爆禁止の運動への参加を促す機関紙として、読者の拡大と内容の充実をはかる。原水協の各種会議での活用など、機関紙を中心にした活動を発展させる。ホームページ(日英)、ブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用した情報発信を重視する。

3)各ブロック・各都道府県・地域ごとに「学び、交流」する場として、原水協学校の開催を積極的にすすめる。

4)3・1ビキニデー、国民平和大行進、世界大会など一つひとつの節目で青年・学生の結集・成長への努力をつよめる。高校生への働きかけを重視する。

5)日本原水協の国際、組織、情宣、被爆者援護・連帯、財政、事業、総務のそれぞれの部の活動を充実させる。専門委員体制を拡充する。日本原水協の事務局体制を強化する。

6)2016年11月23日(水・祝)、24日(木)に全国事務局長会議を開催(予定)する。

7)原水協財政(会費、事業、募金)の強化は、引続き日本原水協と都道府県原水協にとって重要課題となっている。年間・半年・3か月・毎月の財政方針(計画)を確立し、健全な財政活動を推進する。当面する3・1ビキニデーをはじめ、平和行進、世界大会、「ちひろカレンダー」普及などを確実に成功させ、予算に見合う収入を確保する。

以上



 
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