原水爆禁止2004年世界大会−長崎決議
各国政府への手紙
広島・長崎で開催された原水爆禁止2004年世界大会に結集した私たちは、戦争と核兵器使用・拡散への懸念が強まっていることを憂慮し、被爆60周年を核兵器廃絶の転機とするための国際的な連帯と行動をさらに強めることを誓いあいました。
原水爆禁止世界大会は、1955年以来半世紀にわたって営々と歴史を刻み、核兵器の使用をはばみ、「核兵器なくせ」の声を世界にひろげることに貢献してきました。しかしいまなお、核兵器の存在が人類の生存に脅威をあたえつづけているもとで、私たちは、日本政府に被爆国としての積極的な行動を求めるとともに、各国政府が、核兵器廃絶の実現のため勇気ある決断と行動に踏みだされることを希望して、被爆地・長崎から、この手紙を送ります。
1945年8月6日広島、9日長崎に投下された原子爆弾は、一瞬にして街を壊滅させ、おびただしい数の人びとの命を奪いました。死を免れた被爆者も体と心に深い傷を負い、いまなお苦しみつづけています。この惨害を決して繰り返してはなりません。核兵器の使用を阻止し、すみやかな廃絶を実現することは、今日の国際政治における緊急の課題です。
来年5月にニューヨークで開催されるNPT再検討会議にむけて、前回再検討会議で自らが合意した核兵器廃絶の「明確な約束」を果たすことは、核保有国の責務です。この「約束」の実行をせまる声は全世界で日に日に高まっています。この声に背をむけて核兵器先制使用政策をとり、新たな核兵器の開発に踏みだすことは、世界平和を脅かすものにほかなりません。
私たちは、すべての核保有国が、核兵器の使用・威嚇の政策を放棄し、新たな核兵器の研究・開発・実験を完全に停止するとともに、来年のNPT再検討会議にむけて、核兵器廃絶の「明確な約束」の履行にただちに着手することを要求します。
私たちは、すべての政府が、核兵器廃絶国際協定の交渉開始と実現のために努力をはらい、今秋の国連総会で核兵器廃絶のための諸決議に賛成するよう要請します。核抑止力に依存する「安全保障政策」を放棄し、領域内から核兵器を撤去するなどの行動に踏みだされるよう強く希望します。
平和と核兵器廃絶を願う諸国民の声と行動は、国境をこえ、民族、社会体制、宗教などの違いをこえて全世界にひろがっています。原水爆禁止2004年世界大会は、「いま、核兵器の廃絶を」を共通の目標に国際的な署名運動の強化をよびかけました。また、広島・長崎両市長をはじめとする平和市長会議のイニシャチブなどの積極的な動きもうまれています。私たちは、核兵器廃絶の願いを同じくする政府が、これら自治体、市民社会との連帯と共同を発展させ、核兵器廃絶への壮大な流れを、ともに創りだすよう期待するものです。
私たちは、核戦争阻止、核兵器廃絶、被爆者援護・連帯の課題をかかげて、被爆者とともに絶えることなく草の根からの運動をすすめてきました。各国政府が、私たちの声に耳をかたむけ、核兵器廃絶のために真摯に努力されるよう心より求めるものです。
2004年8月9日
原水爆禁止2004年世界大会−長崎
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