閉会総会
長崎原爆投下59周年記念日にて
ファイサル・バロチ(パキスタン)
1945年8月9日の犠牲者へ
パキスタンの抑圧された民族の代表ファイサル・バロチです。長崎のみなさんを前にお話しすることができて光栄です。1945年8月9日、アメリカは、古い文化の町として世界に愛される長崎の罪のない市民に原爆を投下しました。そのとき人々の苦しみと恐怖を私たちは忘れることができません。こんなにも美しい町が、原爆投下実験に選ばれたのです。爆風が、長崎の街を揺るがし、罪のない人々が心から慈しんできたものだけでなく、夢までも焼き尽くしてしまいました。
核兵器の使用は悲劇であり、罪のない人々への野蛮な行為です。核兵器がいまだに存在することは悲劇です。「ならず者国家」が核戦争を戦う能力を維持するために年間数十億ドルも費やす一方で、飢えた人々は食料を得られず、寒さの中で服も着ることができません。ならず者国家は、激しく嫌悪されるべきであり、人類の将来を脅かすものです。
今日、大量の核兵器が拡散し、核兵器が三度目に使用されるかどうかの瀬戸際(せとぎわ)にあります。私たちは,言葉にしつくせないほどの暴力と悲惨さへと続く道を歩いていているのです。このようななかで、私たちはただ危険だと口で言っているだけではいけません。50年以上にわたって、世界の平和活動家は核兵器について警告を発し続けてきました。
しかし、事が起こるのを黙って見ていることはできません。まず何よりも、私たちが核の脅威から直ちに解放されるよう求めているのだと、自らの指導者に思い知らせなければなりません。核兵器は、憎むべきもので、冷酷で、非人間的であり、人類全体を脅かすものです。その違法性は明らかで、きっぱりと禁止されるべきです。私たちは、全人類に代わって、どんな国の核兵器であれ、その完全かつ全面的な禁止を求めます。全ての核兵器の一触即発の警戒態勢を解除し、外国に配備された核兵器を撤去することを要求します。私たちは、一刻の猶予もなく核軍縮がおこなわれるよう求めます。
経済的繁栄や高い教育を享受している私たち会議参加者は、自分の国の国民に核兵器の脅威について啓発する義務があります。彼ら自身を守るために、情報を伝え、彼らに行動を起こさせなければなりません。私たちの責任は、大規模な草の根の行動を起こし、国民は、核兵器廃絶を明確に実施する指導者しか支持しないことをはっきりさせることです。
私たちの当面の目標は核兵器ですが、長期的な目標は新世界秩序の創設です。その下では、支配者の富やエゴを守るために、殺したり殺されたりする愚かな人間はいません。男も女も子どもも、誰一人として、自分が翌日暴力やペスト、飢えに見舞われるのではないかと心配しつつ眠ることのないような世界が求められています。それは、この会場で感じられるように、殺人も窃盗も危険な敵もなく、兄弟や姉妹として共にお互いの安全や幸せ守っていくような人間関係にもとづく世界です。私たちの子どもたちや孫たちのために、ともに活動しようではありませんか。2005年末までに核兵器を廃絶しましょう。
ここで、みなさんにお願いがあります。日本の医師をパキスタンに派遣し、核実験の影響を調査・査定していただきたいのです。私はこの要請に、できるだけはやく皆さんが応じてくださることを期待しています。
勝利のときまで、共同してたたかいましょう。ありがとうございました。
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