原水爆禁止2004年世界大会
国際会議
アリス・スレーター
環境保護グローバル資源行動センター(GRACE)/廃絶2000
アメリカ
今こそ核兵器廃絶を!大胆に計画をつくろう!
核兵器のない世界のために結束して
来る5月、核不拡散条約(NPT)2005年再検討会議のために世界各国がニューヨークの国連に集まります。その35年前アメリカ上院が批准した核不拡散条約は、当時の核保有国アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国が、インド、パキスタン、イスラエル、キューバの4カ国を除く全ての国が核兵器を保有しないと約束することと引き替えに、核兵器を廃絶することを約束したものでした。キューバは2年前にNPTに加盟しましたが、この条約は今やボロボロの状態です。2004年5月の準備委員会会議では、会議はまったく混乱に終わり、各国代表は2005年再検討会議に向けた議事日程や背景文書の作成に関する合意にすら至りませんでした。3万発以上の核兵器を保有するアメリカは傲慢にも、NPTは北朝鮮やイランなど他の国による核不拡散問題だけを扱うべきであると言い張り、アメリカ自身の大量核破壊兵器を廃絶するという自らの責務に従う義務はないと主張し、その一方で、自らの攻撃的新型核兵器開発計画—年間予算68億ドルのバンカー・バスターやより「使いやすい」小型核兵器—と、アメリカが「ならず者」ときめつけた他の国々がこの「帝国」からの猛攻撃を回避する手段として抑止力を手に入れたいという願望との間の関連性を偽善的にも無視しました。NPTでは、この露骨な二重基準を前にして、ブラジル代表は「自分で核兵器の祭壇に礼拝しながら一緒に礼拝したいと言う者に異端者の罪を着せることはできない」と言いました。
1970年発効の核不拡散条約は、核軍縮に向けてどのような前進がなされたか、また、条約は更新されるべきかどうか、を評価するために25年経過後に「再検討・延長会議」を持つことを定めました。条約批准以来、地球上の核兵器の数は倍以上になりました。1995年、世界中からNGOが結集し、軍縮に向けてより迅速な措置をとるよう、各国代表に働きかけをしてきました。私たちはアメリカとその同盟国が条約を無限にしかも無条件で引き延ばすために強力な圧力をかけ、あるいはそれ以上の行動にでたとき、それに厳しい条件を強要しようと考える者がなかったことに愕然としました。核軍縮に向けた体系的で漸進的な努力、中東非核地帯創設、包括的核実験禁止条約締結に向けた曖昧な保証が与えられただけでした。しかも、包括的核実験禁止条約をクリントンは抜け穴だらけにし、軍需産業の支持を得るために年間45億ドル計画を与え、これによって軍需産業はネバダ砂漠地下1000フィートでの「未臨界」実験の助けを借りてコンピューター・シミュレーションによるバーチャル・リアリテティで新型核兵器を設計することができるようになったのです。
その再検討会議の期間中にAbolition 2000 ネットワークが生まれました。2000年までに核兵器廃絶条約の交渉が行われることを要求する声明が起草されました。4週間にわたる再検討会議終了前にこの声明文は世界中にフアックス送信され、600以上の組織が署名しました。私たちは科学者、弁護士、政策立案者によって起草されたモデル核兵器協定を生み出しましたが、それが今公式の国連文書となっています。私たちは世界中の国々で組織活動を行い、国際司法裁判所からの勧告的意見を求める国連決議などを採択させ、「あらゆる面において核軍縮の交渉を締結する」義務があるとの判断をかちとりました。1999年に私たちは登録運動を組織し、95カ国に広がる2000以上の団体のネットワークへの加盟を達成しました。Abolition 2000 が遅くとも2000年までの核軍縮交渉の完了を表すことがもはやできないことが私たちの目に明らかになったためです。
核不拡散条約2000年再検討会議は、核保有国から幾つかの新たな約束を引き出しました。アイルランド、スウェーデン、メキシコ、エジプト、ブラジル、南アフリカの6カ国からなる新アジェンダ連合が先頭にたち、中堅国構想を代表とするNGOの支援を受けた取り組みにより、核保有国は「核兵器を完全に廃絶する明確な約束」を行い、包括的核実験禁止の批准、核軍縮措置を不可逆的なものとすること、国の安全政策における核兵器の役割の減少、弾道弾迎撃ミサイル制限条約の「戦略的安定性」の維持など、その目的にいたるまでの13のステップを決定しました。
ブッシュは包括的核実験禁止条約を上院での批准にかけるつもりはなく、核兵器は国の安全政策の要であると言い、新型核兵器開発を進め、言語道断にも弾道弾迎撃ミサイル制限条約から手を引き、宇宙にまで新たな軍拡競争を誘発しています。実際私は核不拡散条約2000年再検討会議の最終セッシヨンでの激しい駆け引きの場に居合わせましたが、会議が最終日の真夜過ぎまで続いたところで、俗に言う「時計の針を止める」という外交上の手段が登場して会議は朝の5時まで続き、このルールの下で翌日の午後11時に再開された会議でようやく13段階の合意を生んだのです。しかしながら、中国もロシアも、コンセンサスを妨害はしませんでしたが、「もしアメリカがABM条約を守らなければ全ての賭けはご破算となる」と言って最終報告に異議を唱えました。そして今、ロシアと中国はアメリカに対抗して核兵器を増強しており、ロシアの場合にはミサイルの部分的軍縮を約束した先のSTART II(戦略兵器削減条約 II)からも後戻りしているのです。アメリカが誘発したこうした後退的政策や行動のために、NPT は2005年の再検討会議後まで生き延びることはできないかもしれません。
しかしすべて望みが失われたわけではありません。国民の高まる力が今やNPT後に何をなすべきかに集中しています。広島・長崎の両市長が「平和をめざす市長キャンペーン」の先頭をきり、2005年に交渉が行われ、2010年までに条約締結、遅くとも2020年までには世界全体の核軍縮を実現する構想で、2020年までには核兵器のない世界を実現するための現実的日程案を提起しています。彼らはアメリカ市長会議に「私たちはわが都市がもはや核による荒廃の脅威に怯えることがなくなるまでこの問題に取り組み続ける」という宣言を採択させることに成功しました。2004年NPT準備委員会会議で彼らはチェルノブイル地域のキエフ市長、テル・アビブ副市長を含む15人の市長をニューヨークに連れていきました。その中の4人が各国代表に訴えました。来年私たちは百名の市長をニューヨークに招き、「市長と共に開く核軍縮のための世界平和祭典」をNPTが開かれる前日の5月1日に、ニューヨークの多くの人種コミュニテイや、訪れるできるだけ多くの人々と一緒に開催したいと思っています。市長たちはまた国家元首にも、交渉を認可する権限をもって国連でのNPT会議に出席するよう要請しています。
そしてもしアメリカが交渉に参加しなければ、私たちはオタワ方式に似たプロセスで交渉を開始できるかどうか検討することになります。これはまったく不可能なことではありません。NPTプロセス外で希望のもてる進展がいくつか見られます。インドの会議派新政権はラジブ・ガンジーの核軍縮計画の改定を始めています。恐らくインドはデリー・プロセスの先導をとることでしょう。そうなれば、パキスタンも間違いなく追随します。それに中国はこれまで何年にもわたって核軍縮を求める国連総会決議を繰り返し支持してきました。恐らくアジアが先頭に立つよう説得されるでしょう。また、ジョージ・ブッシュを敗北させるためにアメリカ国民は全力を尽くさなければなりませんが、ジョン・ケリーを選んでも私たちの問題は解決しないでしょう。2004年のNPT会議期間中の私たちのAbolition 2000 タウン・ミーテングでジア・ミアンが言ったように−「アメリカ国民はブッシュを敗北させなければならない。彼がもし大統領に再選されるようなことになれば、世界はあなたを許さないだろう。しかしブッシュが負けても私たちは『帝国』を相手にしなければならなくなるだろう−より優しくて穏やかな帝国ではあるが。」ケリーは核のテロに対する恐怖に満ちた現在の状況の中で、4年計画で全ての核物質を防護しようとする強固な立場をとっています。世界中のあらゆる核物質を安全にするという優先課題にたいする彼の正しい判断には賛辞を送りながらも、私たちはこれが単なる核不拡散措置を超えた措置に進むよう彼に迫らなければならないでしょう。結局、核物質がどこにあるのかがすべてあきらかになり、それが厳重に保管され、国際的監視のもとに置かれるまでは核軍縮は不可能なのです。
そしてカーネギー国際平和財団(名称で誤解しないでいただきたいのですが、これは典型的な軍備管理論機関です)は、もしも“説得手段”が効を奏しないなら厄介な“ならず者”拡散国に対してアメリカは軍事的“お仕置き”の脅しを使うよう助言していることに見られるように、アメリカの覇権を維持しようとする一方、核軍拡競争終結のための最終的交渉の絶対的必要性を取りあげずに、核兵器と核の恐怖の不可避的拡がりに蓋をしようという20世紀方式を推進し続けているところです。この組織ですら、最近の報告書「普遍的遵守−核の安全のための戦略」の中で、アメリカ政府が最小限の保有核兵器廃棄計画を設定して核軍縮について守勢的戦略から攻勢的戦略に移行するよう提言しています。核保有国が軍縮の義務を真面目に考えていることを示して核不拡散条約を救おうというわけです。計画を実際に作るよう求めましょう。アメリカでは軍縮はどのようになるでしょうか?ロシアでは?フランスでは?イギリスでは?中国では?インドでは?パキスタンでは?イスラエルでは?これらの国々が、後戻りできないかたちで真剣に保有核兵器の廃棄を始めるにはどのような条件が満たされる必要があるのでしょうか。そうした計画はその周りに非核保有国やNGOが結集できるような国家の指導力を明示することになるでしょう。それは、政府サイドばかりでなく非政府組織サイドに於いても、軍縮の擁護者に何らかの活動の手がかり、参照点と思考の材料を与えてくれるでしょう。一方で非核保有国は自分たちの軍縮計画——現存する原子炉・研究用原子炉施設を含む真剣で検証可能な核不拡散イニシアチブをも中に組み込んだ計画——を立案すべきです。私たちはやる気のある国々に、計画作成の出発点として、私たちが作成した「モデル核兵器条約案」配布することができます!!
来年、私たちの廃絶2000ネットワークは、2020年までに核兵器のない世界を実現する市長たちの計画を支えるために、市民社会の動員を通して政治的意思を創り出すべく、新たなキャンペーン「今こそ核兵器廃絶を!大胆に計画をつくろう!」に私たちのエネルギ−と資源を集中するつもりです。来る5月にニューヨークの国連で開かれる核不拡散条約再検討会議に至る過程で、「今こそ核兵器廃絶を!」キャンペーンは個人、市民グループ、地域社会や市民指導者たちに、2004年8月6日から2005年8月9日の「核兵器のない世界をめざす被爆60周年記念行動」の期間に、核兵器のない世界にむけた具体的計画への支持を呼びかけるつもりです。
大胆に計画を作るときは今です!
皆さんに次のことをよびかけます。
1. 市長運動に自分の住む市の市長を登録させ、「モデル核兵器条約案」を支持し、核兵器廃絶交渉の2005年開始を呼びかけるよう要請すること
2.市長運動と協力し、国家元首に対して、2005年5月2日から28日に開かれるNPT再検討会議に、厳格で効果的な国際管理下での核兵器廃絶実現のためには如何なる措置をとるべきかを明示した具体案を手に出席するよう要請すること。私たちの「モデル核兵器条約案」を支持することは交渉の出発点であり、「市長の2020年ビジョン」は非核の世界実現の日程です。
3.それぞれのコミュニテイのなかで核兵器廃絶の機運を高めるために草の根の努力を創り出し、私たちの「今こそ核廃絶を!」運動にできるだけ多くの人の加入をかちとること。自分の住む市の市長の加入登録をかちとる努力を続けること。
4.10月4日から11月12日にかけてニューヨークで開かれる国連総会の第一委員会に出向き、NPT再検討会議前に各国代表に働きかけること。Reaching Critical Willは、外交官を教育し彼らの政府からNPTに核軍縮の具体案を持参するよう促すために、外交官対象の学習会や討論集会を促進する計画です。詳しくは以下に問い合わせください。Rhianna ? (212)682 1265, rhianna@reachingcriticalwill.org
5.ニューヨーク市で開かれるNPT2005年再検討会議に参加すること。
6.NPT再検討会議の開会日前に行われる「ニューヨーク・核軍縮のための2005年5月1日国際平和祭」について人々に知らせ、会場で私たちに合流すること
7.Abolition 2000 作業グループに加入すること。新しいグループには市民査察作業グループと青年アウトリーチ作業グループが含まれます。核廃絶集会に参加登録してください。
(申し込み先:abolition-caucus-@yahoogroups.com) 私たちのAbolition 2000についての
検索はwebsite at www.abolition2000.org
間もなく10周年を迎えるAbolition 2000 の活動の発展で今は非常にわくわくするような段階です。私たちの世界がますます不安定な方向に向かっていることに深く憂慮している人々が世界中に何百何千万と数え切れないほどいます。彼らと力を合わせて、世界から核による惨禍の脅威を取り除くための運動に私たちが参加する機は熟しています。インドの新政府の誕生、ロシアや中国を中心とする宇宙空間の軍事化阻止協定の呼びかけ、軍国主義と戦争に反対する世界中の草の根から高まる抗議のうねりを見る時、私たちは界からの核兵器廃絶の一点で団結できるこの機会を逃すわけにはいきません。
|