原水爆禁止2004年世界大会
国際会議
韓国
参与連帯
イ・ギョンジュ
2003年、韓国は戦争危機の年でした。1994年のジュネーブ基本合意書では、2003年までに軽水炉を完成することになっているが、軽水炉の完成の見通しはなく、北朝鮮はミサイル発射実験を2003年までは行わないと宣言していますが、その後は実験再開の含みを持たせています。このため、北朝鮮のミサイル発射実験再開などを理由に、アメリカの核態勢見直し(Nuclear Posture Review)では、予防戦争を積極的に打ち出しています。しかもイラク戦争が現実のものとなり、朝鮮半島における戦争危機の現実性が高まりました。
このような事態に直面して韓国政府が選んだ道は、アメリカとの協力を強化することでした。つまりアメリカの言うとおりにイラクに韓国軍を派兵し、アメリカとの同盟関係を強化し、その結果として朝鮮半島における戦争を少なくとも予防するというような論理でした。
一方、私どもの参与連帯平和軍縮センターを初めとする市民社会は、別の選択肢を主張しました。韓国政府が選ぶ選択肢は、他国を犠牲にし自分の安全を守ることになり、普遍的な平和理念に反するものだからです。
そこで、センターは、北朝鮮に対しては、核開発疑惑を積極的に解消すること、アメリカに対しては武力使用の排除などのメッセージを主張してきました。東北アジアを初めとする世界の平和勢力に対しては、北朝鮮が変化するための環境づくりと平和のための連帯に努力することを訴えました。なお、朝鮮半島の平和体制づくりについては、北朝鮮と米国、南北朝鮮の問題に限らず、東北アジアにおける安全保障問題の枠組みも必要であることも訴えました。
これまで韓国では、平和理念そのものが成り立つことが難しかったことを考えると、このような平和へのメッセージは、従来の韓国における平和認識からは大きな変化であると思います。つまり、北朝鮮のいう平和は反米の手段としての色合いが強く、一方、韓国のいう平和は北朝鮮を吸収統一する手段としての平和のイメージが強かったと思います。ところが2003年の危機に直面してから、統一の手段としての平和ではなく、平和の中に生きる権利としての平和理念がやっと形成されるようになってきました。
このようなことから、2003年の危機を契機にして、朝鮮半島そして東北アジアにおいても平和の新しい希望の兆しも見え始めています。北朝鮮の核疑惑の問題を話し合う場として六カ国協議が軌道に乗り始めていること、南北の間の平和ムードが続いていることなどです。しかも今度の原水爆禁止2004年世界大会、国際会議のような世界的な連帯運動が強まっていることも大きな力になっています。このような大会を契機に、反核平和の世論が東北アジアにも広がることを心から願います。
|