大韓民国
グリーン・コリア・ユナイテッド(韓国緑色連合)
事務局長
リム・サムチン
私たちは、いま、核兵器の廃絶と平和をもとめて集まっています。しかし、平和は停滞の中で実現するものではなく、変化の中にのみ見いだすことができます。平和は人間の本質そのものです。
核兵器が存在することにより、私たちは、人類と地球上の全生命の滅亡という現実の脅威に直面しています。このような中にいることをよしとするわけにはいきません。
あたらしい千年紀を迎えるいまこそ、平和の障害を乗り越えるときです。平和な世界に生きることは、私たちの権利です。平和は、形式だけにでなく実態にも意味があるべきです。人権が、安全と平和なくして存在しないからです。
変化を生み出すのは私たちの責務です。私たち全員が、平和を創り出す者です。職業、住む場所の違いに関わらず、私たちは、平和を生み出す役割を果たさなくてはなりません。平和な世界の構築とは、とてつもない仕事です。時間、努力、汗が、ときとして血を流すことさえ必要かもしれない仕事です。それでも、よりよい社会をもとめて、最善をつくさなくてはならないのです。
いわゆる最後の「冷戦」地帯と呼ばれている朝鮮半島に変化の兆しが訪れたことは、うれしいことです。南北首脳会談において、両国の首脳が顔を合わせ、握手を交わしました。平和を願う両国の国民すべてと世界中の国民が安堵を覚えました。両国首脳は、統一問題の自主的解決と、8月15日(独立記念日)に離別家族の訪問の可能性について合意しました。
私たちは、これらの合意が、アジアにおける軍事的対立を終わらせ、あらたな平和と共存の時代の明るい始まりを生み出しうるという思っています。
今回の南北首脳会談が、アジア地域における平和の礎石になることを願っています。しかし、私たちは、よりはっきりとした変化を期待しています。当然の結果として、私たちは、この平和が、韓国と朝鮮における軍事費の削減、米軍の確実な本国撤退、日本における新軍国主義の放棄から始まることを強く願っています。自国の平和は、隣国の平和と離れがたく結びついていることを認識しなくてはなりません。戦争の種をなくさなければ、種はやがて芽を出し、破壊をもたらします。
戦争と貧困、軍拡と貧困、軍拡と人間性の破壊は、つねに相伴って起こるものです。人権は、文化的な平和を通して獲得することができます。これと同様に、米国とのそのほかの国との関係は、相互尊重にもとづくものでなくてはなりません。一方的な関係は、よい結果をもたらさないでしょう。しかし、残念ながら、多くの国において米国との関係は一方的であり、よって、改善を必要としています。
たとえば、韓国には96の米軍基地があります。米兵は、特別な地位を与えられ、特権にあずかっています。米軍が韓国にやってきて、自分たちを「平和の守護者」で、「朝鮮半島の保護者」と考えました。しかし、失望したことに、米軍は多くの問題をつくりだしてきました。
こうした問題へのひとつの対応として、韓国では6月6日、梅香里にある米軍基地の撤退をもとめるデモがおこなわれました。この基地は、米軍の主要な爆撃演習場で、ソウルから1時間ほどの所にあります。(沖縄、グアム、フィリピンなどの基地に所属する攻撃機が、この演習場で爆撃訓練をおこなう。)このデモには、地元住民、学生、市民社会組織、労組などから3千人が参加しました。この行動は、7月まで継続されましたが、米兵は、平和的集会にあつまったカトリックの司祭、市民団体、学生の頭上で爆撃をおこないました。爆撃地域に人がいるにもかかわらず、米軍は爆撃を止めるようにとの要請を無視したのです。さらに、韓国政府は、米軍によるこのようにひどい行為を隠す手立てをとりました。
私たちは、世界の平和がもたらしうる恩恵をよく考えるべきでしょう。戦争をおこなうという考えは、もはや時代遅れとなっています。核兵器や核実験が存在する余地はもうあってはならないのです。
私たちは、次の行動計画を提案します。
第一に、アジア・太平洋地域に非核の平和地帯を創りましょう。米国は大量の核兵器を保有しており、日本政府は核兵器を開発する潜在能力を備えています。核武装は、私たちの未来を奪い去るものであって、アジア・太平洋地域における核兵器の製造・移転・配備に反対する活動は、最優先の課題です。
第二に、国民同士の連帯を強めましょう。米国の軍事優先主義を退けましょう。各国の軍事優先主義をなくすためには、その国の国民が確信をもち、互いに信頼しあうと同時に、連帯をつよめなくてはなりません。私たちは、日本政府が(日米安全保障条約の改正である)新ガイドラインを明らかにした時、これに反対してたたかった日本国民の公平無私と勇気を尊敬しています。また、米軍の再配備に反対してたたかったフィリピンの国民、米軍基地に反対したたかったプエルトリコの人々にも、私たちは信頼と尊敬の念を抱いています。
第三に、人間と環境の安全という概念を強め、軍事や従来の国家安全保障の思想を弱めていきましょう。米軍は、軍事的安全保障を口実に、私たちの環境と人権を侵害しています。おおくの人的被害と環境破壊行為に照らすならば、米軍は自分たちを世界の警察国家と考えているかもしれませんが、暴力団とでも見なしたほうが適切でしょう。
私たちの心を緑で潤そうではありませんか。心に植えた木々が生長するにつれ、人類という種は、より人間的になり、世界はよりすみやすい場所となるでしょう。
ゲーテは、「正義なる者は、その瞬間をつかむ者」と言いました。私たちは、その瞬間をつかむべきなのです。待ち受けている時間も、無駄にする時間もありません。平和の世界に向かってすすむときなのです。平和を軍縮から切り離して議論することは、もう受け入れられません。平和を核兵器廃絶から切り離して考えることも受け入れられません。すべての核兵器はいますぐ廃絶されるべきであり、いかなる理由をしても核兵器の存在を正当化することはできません。核兵器は人類に脅威をもたらしているのです。平和は軍備でもたらすことはできません。「平和のための軍備」などは、空言であり、幻想でしかないのです。人間らしく、平和に生きようとするなら、戦争を平和に置き換え、軍拡を軍縮へと換えなくてはなりません。競争でなく協力し合わなくてはなりません。そして、傲慢さを謙虚な行為へと換えなくてはなりません。これらすべての変化が、将来でなく、いま起こるべきなのです。私たちは、体制側のうそやもっともらしい説明を受け入れることを拒否します。
イザヤの「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする(イザヤ2:4)」という教えを指針に生きようではありませんか。